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 週刊ヤングマガジンで連載されるやいなや、その過激かつ戦慄(せんりつ)の描写と、緊張感あるストーリー展開が大いに話題になった巴亮介のサスペンスホラー「ミュージアム」。そんな問題作が、大友啓史監督、小栗旬主演で実写映画化された(11月12日公開)。センセーショナルな映像描写はもちろん、大友監督ならではの深い人物描写による家族の物語が展開される本作で、猟奇的殺人を繰り返すカエル男に対峙(たいじ)する刑事・沢村を演じた小栗に、本作の魅力や、数々の人気漫画の実写化で主演を務めることへのモチベーションなどを聞いた。

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小栗旬主演で実写映画化された『ミュージアム』(11月12日公開)


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■子を持つ父親として、この作品に出会えたのはすてきなめぐりあわせだった

――非常に衝撃的な漫画でしたが、読まれたときにどんな印象を持ちましたか?

小栗:大友監督も話していましたが、こういう題材を日本でやるのは大変だなって思いました。それよりなにより、原作を読んで嫌な気持ちになったし、明日からの日々が怖くなりましたね。

――そんな中、小栗さんが主人公の沢村を演じるということについてはどんなお気持ちだったのでしょうか?

小栗:サスペンススリラーの作品ですが、一方で沢村を中心とした家族の物語という側面もある映画。大友監督が「自分の子供が生まれたからこそできるんじゃないか」と話しているのを聞いたのですが、自分も子を持つ父として、どう生きていくべきかを考えていくとき、いまこのタイミングで沢村という役が来たのはすてきなめぐりあわせだと思いました。

■「小栗ちゃん、(車に)ひかれてみようか」

――大友監督とは初めてのタッグだと思います。監督の現場のことはいろいろとお聞きしていたと思いますが、いかがでしたか?

小栗:監督曰(いわ)く「そういううわさは風評被害だよ(笑)」って言っているのですが、そういう点でいうと、今回は拍子抜けでしたね。

――それはどういう意味ですか?

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小栗旬主演で実写映画化された『ミュージアム』(11月12日公開)


小栗:以前、僕が『信長協奏曲』の撮影で東宝スタジオにいたとき、隣のスタジオが大友監督の『秘密 THE TOP SECRET』の撮影だったんです。『秘密』チームが出てくるたびにみんな疲弊していて、すごく過酷な現場なのかなって思っていたんです。実際、生田斗真や岡田将生が「かなりテイクも多いし大変」と言っていて。それを聞いていたので、覚悟していたのですが、今回の現場では意外と撮影は順調で、巻いて終わるなんてこともあったんです。そういう意味ではあまり大変だったという印象はなかったですね。でも、普通に考えたら「小栗ちゃん、(車に)ひかれてみようか」なんていう監督はなかなかいないですけれどね(笑)。

――長回しでの撮影はいかがでしたか?

小栗:捜査一課のシーンなどは、あたまからお尻まで長回しで撮ったりしていました。でも僕自身、そのやり方が好きだったので、やりやすくてよかったですね。楽しかったという言葉が正しいか分かりませんが、演じる喜びが感じられる現場でした。

■本当の意味で守るってどういうことなんだろ

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小栗旬主演で実写映画化された『ミュージアム』(11月12日公開)


――クランクイン前に「なぜいまこの作品を突きつけるのか」ということを自問していたとお聞きしましたが、撮影を通してその答えは見つかりましたか?

小栗:今の日本ってハッピーな作品が愛されると思うのですが、この作品って言ってしまえばネガティブな題材ですよね。犯罪を肯定してしまう危険性すら含んでいると思うんです。そこをどうすべきかと思いながら臨んだのですが、演じていて子を持つ父親には、とてつもなく突き刺さる作品だなって思ったんです。子供のことを考える瞬間だったり、妻に対して思うこととか、仕事をしながら生きていると確実に感じることがある。沢村を通して、父親というものがどういう存在なのかを考えるきっかけになる作品になったらいいなって思いました。家族を守るって、口でいうのは簡単だけれど、本当の意味で守るってどういうことなんだろうって深く考えました。

――本作のもう一人の主役ともいえる妻夫木聡さん演じるカエル男。沢村は嫌と言うほど追い込まれて行きますが、現場ではどんなやり取りを?

小栗:特に話し合ったりはしませんでしたが、本当に転がされ続けるので、俳優としては当たり前の作業なのですが「先を知らないでいること」を自分に言い聞かせていました。台本を読んでいるので、先を知ってしまっているのですが、予定調和な演技だけは避けたいので、すごくそのことは意識しました。

――カエル男を演じてみたかったと思いませんでしたか?

小栗:今回はなかったですね。ある意味、カエル男みたいな役って、役者は間違いなくやりたい役だと思うんです。僕も20代の頃だったら「やりたい」って言っていたと思います。でも最近は、エキセントリックな見え方をするキャラクターよりも、しっかりと人間として生きている人物に興味があるのかもしれません。台本をもらって「どちらを演じる?」って言われたら僕は沢村を選ぶと思います。

■漫画原作の実写化へのモチベーションとは!?

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小栗旬主演で実写映画化された『ミュージアム』(11月12日公開)


――今回の沢村は原作のビジュアルにも似ていると思ったのですが。

小栗:僕は漫画原作の実写化に携わる機会が多いのですが、原作のキャラクターのインパクトがとてつもなく強い場合は、なるべくファンの方たちが「実物が出てきたよ」みたいに思ってくれるようにキャラクターに寄せようとするのですが、今回の沢村は、それほど特徴があるわけではないので、ちょっとやさぐれた感じに自分が近づいていけばいいかなって程度でした。ただ、目の傷だけはメイクさんと話をして、しっかりビジュアルを考えました。

――ご自身がおっしゃっているように漫画原作の実写化に数多く携わっていて、当然いろいろな声が聞こえてくると思いますが、そういう作品に向かうときのモチベーションは?

小栗:変な話、現在の映像界で「漫画原作じゃないものだけやります!」って言ってもなかなか作品がないですよね。オファーをいただく立場からすると、そこを意識してはいられないというのが正直な気持ちです。でも『ミュージアム』みたいな作品は、社会的なテーマを持ったうえで作っていく映画として考えて、どれだけメッセージを伝えられるかというのがモチベーションでした。

――ただのサイコ的なサスペンスではなく、大友監督ならではの重厚な人間物語が色濃く出ていますね。

小栗:原作もすごいエネルギーを持った作品ですが、そこにもう一つ生身の人間が体験していくことでの肉付けができたかなって、出来上がった作品を観て思いました。

(取材・文:磯部正和)

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小栗旬主演で実写映画化された『ミュージアム』(11月12日公開)


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小栗旬(おぐり しゅん)
1982年12月26日生まれ、東京都出身。98年放送の「GTO」で連続ドラマ初出演を果たすと、映画やテレビドラマ、舞台と幅広いジャンルで活躍。『キサラギ』(07年)、『クローズZERO』シリーズ(07年、09年)、『TAJOMARU』(09年)、『ルパン三世』(14年)、『信長協奏曲』(16年)など数々の映画で主演を務める。待機作に『追憶』(17年)、『銀魂』(17年)などがある。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

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