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 放送作家・樋口卓治の同名小説を映画化した『ボクの妻と結婚してください。』(11月5日公開)。余命半年と宣告された放送作家の男が、愛する妻と家族のために「最高の結婚相手」を探す奇想天外なストーリーだ。メガホンをとるのは映画『阪急電車 片道15分の奇跡』など人物の深い感情を描くことに定評のある三宅喜重。「見る人に預けてみたい」と語った難しい題材、彼はいったいどんな想いをこの作品に乗せたのだろうか。

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三宅喜重監督 映画『ボクの妻と結婚してください。』2016年11月5日(土)公開


映画「ボクの妻と結婚してください。」予告編映像>>


【インタビュー】ただ悲しいだけでない、こんなにも「温かい悲しみ」がある......中島美嘉が映画『ボクの妻と結婚してください。』の主題歌を歌う>>

■織田裕二は少年のような一面を持っている魅力的な俳優

――奇想天外なストーリーですが、原作に対してどんな印象を持ちましたか?

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映画『ボクの妻と結婚してください。』2016年11月5日(土)公開
(c)2016映画「ボクの妻と結婚してください。」製作委員会


三宅:「自分が死ぬので妻の再婚相手を探す」という主人公がやろうとしていることに、どれだけ気持ちを乗せられるか。すんなり気持ちを乗せられれば面白いけれど、その入り口が難しいなと......。この作品は、乗れるかどうかがすべてだと思います。

――乗ってもらうためにどういう部分に気をつけましたか?

三宅:僕らは主人公と同じテレビの人間なので、この放送作家の考えることや気持ちは理解できるのですが、一般の人は理解できるのかなという不安はありました。でも、人を想う温かい気持ちというのは職業に関係ないので、うまく主人公に乗せて伝えられました。

――そういった主人公の想いを織田裕二さんが見事に演じていました。

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映画『ボクの妻と結婚してください。』2016年11月5日(土)公開
(c)2016映画「ボクの妻と結婚してください。」製作委員会


三宅:織田さんといえばヒーローというイメージだったので、等身大の人をどれだけ演じてもらえるかというのが、僕に課された宿題だと思ったんです。でも織田さんって熱さも持っているけど、少年っぽさを今でも持ち続けている感じがするので、それがハマるかもとは思っていました。見事に修治というキャラクターを演じていただけました。

――現場では織田さんとはどんなお話を?

三宅:笑いを大切にしている職業ですが、これは死んでいくストーリーなんです。面白いテイストの方がいいのか、真面目にやった方がいいのか、そのあたりのさじ加減はずっと話をしていました。ある朝、「すごくいいアイデア思いついたんですよ」って少年のような笑顔で来られたときもありました。とても魅力的な方ですね。

――吉田羊さんはいかがでしたか?

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映画『ボクの妻と結婚してください。』2016年11月5日(土)公開
(c)2016映画「ボクの妻と結婚してください。」製作委員会


三宅:羊さんはキャリアウーマンの役柄が多く、どんな方なんだろうって思っていたのですが、とても気さくな方で、原作を読んだ感想を話されているときに「これは似たもの夫婦ができる」って思ったんです。織田さんとの相性は抜群でした。

――原田泰造さんの役柄も非常に難しいと思いました。

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映画『ボクの妻と結婚してください。』2016年11月5日(土)公開
(c)2016映画「ボクの妻と結婚してください。」製作委員会


三宅:そうですよね。彼は初めましてで、どういう方か分からなかったのですが、すごく真面目に役に取り組まれていました。原田さんが演じる伊東は、ある意味ですごくいい人だけれど、怒るところは怒って欲しい。でも修治と男同士の友情みたいな関係も出せたらいいなと思っていたのですが、織田さんと泰造さんを見ていたら、いけるって確信しました。

■見た人が前向きになれる映画を撮りたい

――三宅監督の作品には人の血が通った体温を感じるのですが、映画を撮るときに大切にしていることはありますか?

三宅:特別意識しているわけではないのですが、見た人が前向きになれるものにしたいという想いがどこかにあるのかもしれません。この映画も「悪い人が出てこない」と言われていますが、意識していたわけではなく、それぞれの人をちゃんと描きたい、リアルに描けたらいいなという思いに従っているだけなんです。

――テレビドラマも撮られていますが、三宅監督にとって映画とは?

三宅:映画を撮るのは目標でした。だからといってテレビドラマをとりたくないというわけではないのですが『阪急電車 片道15分の奇跡』の時は「本当に映画を撮れるの?」っていう驚きの気持ちでしたね。ただ、現場に入れば映画もテレビも関係なく、登場人物をどう描いていくかということに集中しています。

――三宅監督は関西テレビの社員なのですよね? 映画監督をすることになった経緯は?

三宅:うちはドラマ枠を持っていて、連続ドラマを作っているのですが、制作の人間は、僕も他の人も、いつかうちで映画を作りたいと思っていたんです。たまたま『阪急電車 片道15分の奇跡』の話があったときに「やってみないか?」って言われたんです。そのあとは映画事業部というセクションができたので、そこから提案されたり、自分から「こういう企画はどうですか?」って提案したりすることもあります。

――『ボクの妻と結婚してください。』を撮ってみていかがでしたか?

三宅:自分の中でも映画の撮り方が変わってきたのかなって思いました。テレビの場合、視聴者に「こう見てほしい」というものがあるのですが、この映画では見る人に預けるというか、見終わった後に余韻が残ってくれればいいなという思いでした。劇中の誰に感情移入するかで感想も変わってくるし、僕自身も、編集段階で何度もこの映画を見ているのですが、見るたびに人や感情のポイントが違っていたんです。「こう感じて欲しい」というメッセージではなく、見る人がどう感じるか......。そういう部分を意識しました。

■中島美嘉との15年ぶりの再タッグ!

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――主題歌の「Forget Me Not」を担当している中島美嘉さんとは15年ぶりのお仕事ですね。

三宅:『傷だらけのラブソング』というドラマでプロデューサーと演出をしていたのですが、それが彼女のデビュー作でした。才能ある歌手の役をレコード会社と組んでオーディションしたのですが、最初に受けに来たのが彼女です。オーディション前は「役柄にあった子なんているのかな」なんて言っていたのですが、彼女を見て、「いた!」って思いましたよ(笑)。

――中島さんは監督と久しぶりにお会いした際に敬語を使われたのがショックだったと仰っていました。

三宅:どう接していいかわからなかったんです(笑)。当時は「美嘉、美嘉」って言っていたと思うのですが、15年たって今では日本を代表する歌姫ですからね。そりゃあね......(笑)。

――とても作品にマッチした、すてきな主題歌でした。

三宅:映画の編集が終わったあとに、主題歌をお願いしたんです。彼女の声と歌い方って、懸命さが伝わるんですよね。それがいいなって。縁があってまたお仕事できるのはうれしかったですね。

――いろいろな解釈ができる作品。公開が楽しみです。

三宅:原作を読んだときから、一生懸命な主人公を応援したくなりました。たとえ突拍子のないことをしても、一生懸命やっている人や周りのことを思いやっている人って応援したくなるじゃないですか。そんな人たちの懸命さを見てほしいですね。

(取材・文・撮影:磯部正和)

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三宅喜重(みやけよししげ)
1966年生まれ、大阪府出身。1990年に関西テレビに入社し制作部に配属。『傷だらけのラブソング』(01年)、『僕の生きる道』(03年)、『結婚できない男』(06年)、『銭の戦争』(15年)など数々の人気テレビドラマを手掛ける一方、11年公開の映画『阪急電車 片道15分の奇跡』で映画監督デビュー。以降、『県庁おもてなし課』(13年)、『レインツリーの国』(15年)の映画でメガホンをとる。座右の銘は「努力できるのも才能」。

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エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

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