ここから本文です

シンガー・ソング・ライターの大黒摩季が、6年ぶりに活動を再開させた。長年悩まされていた子宮腺筋症が完治したことで復帰を決意。8月には新曲を配信リリースし、野外音楽フェスティバルのステージにも立つと、力強い歌声で復活を見せつけた。11月23日には、ミリオンヒットを連発した彼女のシングル32曲に加え、新曲2曲を含む全48曲を収録したベスト盤『Greatest Hits 1991‐2016 ~All Singles +~』がリリースされる。活動休止中の時期を振り返りながら、アーティストとして、女性としても前へ進み続ける彼女の今の心境を語ってもらった。

サムネイル

大黒摩季の復活ベストアルバム『Greatest Hits 1991‐2016 ~All Singles +~』11月23日リリース


大黒摩季 「My Will ~ 世界は変えられなくても ~」(ライブ映像)無料配信中>>


■活動休止中は「もう無理だ......」と思ったことも

「6年ぶりに活動を再開して、まずはみんなと一緒にライブをできることが最大限にありがたいです。おなかを2回も切ったので、また歌えるだけでも御の字です。『もう無理だ......ダメかもしんない』という覚悟を2回しましたから。歌うときは開放的になって自分の心の中にあるものを全部吐き出せているような気持ちになるけれど、やっぱり歌は伝わってはじめて楽しいもの。一緒に同じ歌を共有して同じ気持ちになり、一喜一憂して最後には笑顔になるライブができる喜びは大きいですね。私は諦めの悪い女だなと思うんですけど、どうしても諦めざるを得ないこともあるわけで......」

「本気のレコーディングができるのもうれしいです。自分1人で制作するとき以上に、一流のアレンジャーとかミュージシャンたちと曲の完成に向かって、みんなで一丸となって絞り出すことを思う存分やれて、それもたまらなくうれしいんです!『もう寝かせてくれ、このスケジュール! 病み上がりなんだし、私のこといくつだと思ってんの!!』なんて言いながらも、今、ここにいるだけでも奇跡的なこと。すべてがありがたく、すべてがうれしいんです」

■人生に寄り添う楽曲がそろったベスト盤

「今回のベスト盤を作るに当たって、BIG盤という初回限定生産の方は特に好きにやらせてもらいました。普段から歌詞はブレスに左右される行間やマス目までこだわって書いているので、ちゃんとした歌本も作ってみたかったんです。歌詞は、小さい文字が見にくくなった世代の方にも見やすい、A4サイズパッケージにしましたよ(笑)。私の歌は、子どもの頃に聴いて意味がわからなくても、人生を進める過程でドンピシャにはまってくるみたいです。歳を重ねていくと通る『関所みたい』と言われたこともあります(笑)。恋をして、誰かと別れてはじめて『別れましょう私から消えましょうあなたから』を歌いたくなるっていう。このベスト盤は、一家に一枚置いておくと、家族みんなのいろんな人生の場面とリンクする曲が収録されていると思います(笑)」

「活動休止の間は、母の介護をしているときにベスト盤に収録されている『Our Home』をよく聞いていました。病気のときは『風になれ』に救われましたし。皆さんにとっては印象が薄い曲かもしれないけれど、『道のない道を行けば いろんなことで迷う かたちのない愛を信じれば かたちが欲しくなる どうして あれもこれも 欲しくなるのだろう』という歌詞が、"どうしてこう欲張っちまうんだろう"という自分の心境と重なっていました」

■活動休止の6年間が変えたこと

「この6年間で、大黒摩季をどうやるか忘れちゃったの。病気に自分のすべてを奪われてすべてが悔しくて悲しかったですね。半端に音楽業界をちょろちょろすると、人をうらやんで嫌な自分になっちゃうから、とにかくピタっとやめようと思いました。"大黒摩季"という存在は、私の一部がデフォルメされている、もう一人の自分だと思います。私の私物ではなくブランドみたいなものだと思っていて、たくさんのスタッフの願いとか、たくさんのミュージシャンの才能をいただいて、私という素材に肉付けしてもらっています。活動を再開して、とりあえず、既定の大黒摩季まで戻ってみよう、改めて皆さんに大黒摩季にしてもらおうという心境でいます」

「デビュー当時は不安の塊の火の玉みたいだったので、当時の自分に声をかけるとしたら『そのままゴー!』と伝えたいです。今の自分は体当たりして本気で生きてきた人だけがもらえる境地みたいなのをもらえていると思っています。人から見ると、遠回りしたりバックしているように見えても、私はずっと真っすぐ歩いているんですよ。そこに後悔はないんです。だから"大人になるってすてきなことよ"とみんなに言ってあげたいです。歳を重ねて減った物について考えるより得たものを足し算していく方が、気分がいいでしょ(笑)。ほとほと自分に疲れてしまったときに、前に転がるような考え方ができるようになって、あまり悩まなくなりました」

■素直な自分の姿が重なる新曲

「テレビ朝日系 木曜ミステリー『科捜研の女』主題歌として今年リリースした『My Will ~世界は変えられなくても~』の歌詞にあるけれど、『大人になるということは、多くを知ることじゃなくて 本当の望みを知ること』であるならば、"私は今いい感じなんだな"って。あの曲は番組イメージと主演の沢口靖子さんの役柄を踏まえて書いて、100点をいただいたんです。でもよくよく見ると"大黒摩季物語"みたいになっていて。自分が作ったものを見て、自分のことを知りました。こんなこと、本当は私思っていたんだなと理解できたことで、『私 わりと イイ感じかも』というフレーズが出てきたんです。こんなに素直に書いていいもんかねぇなんて思いましたけど(笑)」

■変わりゆく自分を楽しむ今

「10年前くらいから、音楽業界を目指す子のための専門学校で教育顧問をやっています。活動を休止していたからこそ授業の数も増やせて、生徒たちと1対1で深くつき合うようになりました。そこで彼らから仲間を作る大切さを習いましたね。私は一人が好きだったから、群れる習性が最初は理解できなかったけど、1人じゃ弱いからみんなでやるって、すごくすてきで思慮深いことだと思います。世界平和の第一歩なんじゃないかな。若いときは突っ張って意地張ってたりして、特に女の子は『助けて』って言いにくいですよね。これくらいの年齢になると、『助けて』と言いやすくなるから楽ですよ。プロジェクトの中で自分と周りの役割分担をはっきり分けてそれぞれ任せると、みんなが持ち場をがんばるから内容も濃くなるし、結局プロジェクト自体が大きくなると思います」

「私はかつて、いい作品を作ろうと死ぬほど犠牲を出してがんばったりもしました。音楽業界の中で駆け上がっていく喜びと駆け下りていくときの悲しみも、ラッキーなことに全部やれちゃいました。私は物を作る喜びと悲しみも全部通ったし、アーティストとしてやりきって、女の人生も選んで6年休んだからこそ、自分のことがわかってきたんです。今は自分のことを他人の中に置いても放り出せる状態ですね。人というスパイスをもらって変わっていく自分をおもしろがって、今後も自分をバージョンアップさせていきたいです。その前に、2月から行う全国ツアーは、"活動再開しました"というファンの方への"ご挨拶まわり"ですね(笑)」

◆大黒摩季
北海道・札幌市出身。「第3回ビーイングBADオーディション」に合格し、B'zやTUBE、ZARDなどのレコーディングコーラスに参加。92年にシングル「STOP MOTION」でデビュー。2作目の「DA・KA・RA」が110万枚のセールスを記録し、数々の新人賞を受賞、その後も数々のヒットを放つ。1997年、有明に47,000人を集めて、初ライブを披露し、その後ライブ・ツアーを積み重ねるも、2010年に病気療養のため無期限のアーティスト活動休止に入る。後半は新人アーティストの育成や楽曲提供も行いながら、2016年夏、地元・北海道で行われた「RISING SUN ROCK FESTIVAL」にて6年ぶりのパフォーマンスを披露し、完全復活を果たす。
<座右の銘>負けるが勝ち(負けた人は負けた理由を考える。考えて検証して......最後に乗り越えることができるはず)

大黒摩季 「熱くなれ」ミュージックビデオ>>


大黒摩季 「あなただけ見つめてる」ミュージックビデオ>>


大黒摩季 「ら・ら・ら」ミュージックビデオ>>


大黒摩季 「愛しています」ミュージックビデオ>>


大黒摩季 「夏が来る」ミュージックビデオ>>


大黒摩季 「DA・KA・RA」ミュージックビデオ>>


大黒摩季「チョット」ほか、これまでのヒット曲も無料配信中>>

(取材・文/岩木理恵@HEW

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ