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毎年1万1000本制作されているといわれるCM。
それらのほとんどに音楽や歌がついており、これをCMソング(コマーシャルソング・コマソン)と呼んでいる。

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サムネイル
マツコ・デラックス/Matsuko-Deluxe, Sep 25, 2015 : 「プレミアムボス微糖」の新CM発表会に和装姿で登場したマツコ・デラックスさん
写真:MANTAN/アフロ


江戸時代に平賀源内が作詞作曲した歯磨き粉のための宣伝曲が日本最古と言う説がある。ただし実際には民放が放送を始めて以降にCMソングは世に広まっており、「精工舎の時計が7時をお知らせします」のナレーションと共に流れた曲が、日本初と認識されている。

そしてテレビ初期には、企業名がストレートに歌い込まれるCMソングがたくさん登場した。
「ワッ ワッ ワッ~、輪が三つ!」のミツワ石鹸。
「明るいナショナル 明るいナショナル みんな 家中 電気で動く~」のパナソニック。
「光る 光る 東芝~」の東芝などだ。いずれも品のあるおとなしい楽曲だった。

ところが22日(火)放送の『マツコの知らない世界』では、CMソングの世界を愛しCMと共に歩んできた男・前田康二がゲストとして登場。過去30年のインパクトのある強烈なCMソングをマニアックに紹介した。

80~90年代は、企業名でなく商品名が「これでもかぁ~!」と連呼される押しの強いCMが続出した。

「スコーン、スコーン、湖池屋スコーン!」を手拍子と共に3回繰り返し、「カリッとサクッとおいしいスコーン」が2回繰り返され一旦止まる。そして「スコーン、スコーン、湖池屋スコーン!」がまた2回繰り返され、「カリッとサクッと美味しいスコーン」が2回繰り返し。わずか15秒の間に、「スコーン」が19回も連呼されるCM(1988年制作)が革命的と業界を驚かせた。

このCMを制作したのは、現在NHK『ピタゴラスイッチ』を監修している佐藤雅彦。天才CMプランナーと呼ばれた男だった。
彼のCMには他に、「ドンタコス」が15秒で13回登場するものもある(1994年)。

商品連呼型は進化する。
2004年制作のグリコ「プリッツ」では、商品名をひっくり返した"ツップリ"(相撲の突っ張りにかけた言葉)が30秒間に63回も連呼される。しかも当時のトップアイドル松浦亜弥(あやや)が力士2人を左右に従え、実際にガニ股開きの突っ張りをラッキー池田の振り付けで続ける。爆発的インパクトを持つCMで、見た人は1回で商品を脳裏に刻み込まざるを得ない。

いっぽう同じ商品連呼型でも、関西制作のCMは訳が分からない。
1991年制作のピップ「ダダン」では、女子プロレスラーがアマゾネスに扮(ふん)して「ダッダァ~ン! ボヨヨンボヨヨン」とオッパイを揺すりながら繰り返す。意味不明なれど、あまりに奇妙な世界観に視聴者の目は釘(くぎ)付け。何か強烈な効果のある栄養剤のような気がしたものだ。

われわれはふだん何気なく眺め、時にはCM飛ばしをしてしまう邪魔な存在と思いがちなCM。ところが制作側は、英知を結集して真面目に"おバカな"CMを必死で作っている。年間1万本以上が何十年続く中で、ほんの一握りだが脳裏に棲(す)み着いて一生忘れられないCMが何本か生まれているのである。
その栄光を目指して今も多くのクリエーターが日夜呻吟(しんぎん)し、時には働きすぎと労働基準監督署から目をつけられているのである。

番組では、そんな中で今年生まれた名作も紹介された。わずか2日間しか放送されなかった幻のようなCMである。CMソングは1971年に高田渡が作った「値上げ」。赤城乳業の実際の役職員が出演している。

値上げはぜんぜん考えぬ
年内値上げは考えぬ
今のところ値上げは見送りたい
すぐに値上げを認めない
値上げの時期は考えたい
値上げを認めたわけでない
すぐに値上げはしたくない
値上げには消極的であるが
年内値上げもやむを得ぬ(ここで画面には「25年間踏ん張りましたが」のテロップ)
値上げにふみきろう~(ここで会長・相談役・社長を含め社員全員が深々と頭を下げる)

25年間60円に据え置いてきた「ガリガリ君」を、今回70円に値上げすることに許しを請うCMだ。最後に爆笑してしまうところで消費者の負け。値上げを許容せざるを得ないのである。

CMソングの奥の深さをマツコの絶妙なコメントとともに映像で振り返る当番組。
「アハハぁ~」と笑いながらも、表現の裏に秘められた知恵の豊かさに驚かざるを得ない。あなたは目からウロコが何枚剥がれるか、一見の価値ありだ。


文責・次世代メディア研究所

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