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 長編初監督作品『ソラニン』をはじめ、『僕等がいた』、『陽だまりの彼女』、『アオハライド』、『青春エール』など数々のヒット作を世に送り出してきた三木孝浩監督。そんな彼の最新作、映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』が12月17日に公開を迎える。福士蒼汰と小松菜奈という注目の俳優を起用し、"時の奇跡"を描いたファンタジックラブストーリー。「時間を扱ったファンタジーはすごく興味があったジャンル。モチベーションが上がった」と語った三木監督に作品の魅力や、自身の映画作りに対する考え方などを聞いた。

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三木孝浩監督 = 映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(12月17日公開)


『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』劇場予告編1 >>



■時間を扱うファンタジー映画が大好き

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福士蒼汰&小松菜奈 出演 = 映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(12月17日公開)
(C)2016「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」製作委員会


――ファンタジー色の強い原作ですが、どんなところに魅力を感じたのでしょうか?

三木:もともとファンタジー映画がすごく好きで、中でも時間を扱ったものが特に好きなんです。映画を好きになるきっかけとなった、大林宣彦監督の『時をかける少女』もそうですし、『恋はデジャ・ブ』だったり、最近だと『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』みたいな映画が大好きで、いつかやってみたいと思っていました。そんなときこのお話をいただき、原作を読んだ瞬間、「ついにきた!」と胸が高鳴りました。

――魅力的な一方、設定が複雑で映像化する際、難しい部分もあったのではないでしょうか?

三木:ファンタジーってどうしても非日常であり、普通に考えると説明がつかないし矛盾するんですよね。でもどんな映画でも、設定を飲み込んでしまえば、ドキドキできると思うんです。こちら側は、観ている人をどうやってその世界観に乗せるかが勝負なんです。一番気を付けたのはミステリアスなトーンになっていく段階をスムーズにみせることですね。プロデューサーのアイデアで面白いなって思ったのは、映画のミッドポイントでタイトルを出す案だったんです。その境界線で現実とファンタジーをしっかり飲み込んでもらえるようにと、他にもいろいろと考えました。

■福士蒼汰、小松菜奈ともにこれまでと違った面をみせたかった

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三木孝浩監督 = 映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(12月17日公開)


――ファンタジックな世界観に現実味を持たせる意味では、福士さんと小松さんの役割は重要になってくると思いますが、お二人に対してはどんな演出を心掛けたのでしょうか?

三木:小松菜奈ちゃんはクールビューティーでミステリアスなパブリックイメージだと思うのですが、実際は人懐こくてキュートな女優さんなんです。今まで、男子萌(も)えするような女の子を演じたことがないと思ったので、そういう部分が出るように意識して演出しました。福士君に関しては、誰もがうらやむイケメン。欠点を探すのが難しいような方なのですが、こちらも菜奈ちゃんと同じで、今まで見たことがないような"福士蒼汰"をこの作品では出したかったんです。最初はとてもさえない感じで、それが徐々にグラデーションで格好良くなっていくような......。

■作品のイメージや空気感を伝えるには音楽は最適

――福士さん、小松さんともに三木監督から作品イメージとしてサントラをいただいたことに感銘を受けていました。こうしたことはいつもされるんでしょうか?

三木:役者本人に渡すかどうかはその時々ですが、自分の中では必ず撮影に向かう前に、全体の映画のトーンを音楽でイメージすることをしますね。もともとミュージックビデオを撮っていたので、音楽を聴いているとシチュエーションや映像が膨らみやすいんです。役者さんにも「ちょっと不思議な時間を扱ったファンタジー映画です」と言葉で説明しても、映画のトーンや空気感って伝えづらいし、音楽のほうがダイレクトに伝わることって多いと思っているんです。

――三木監督の作品は、説明過多になることなく、音楽と間でしっかりストーリー展開や人物描写していく印象がありますが、音楽の使い方など意識されていることはありますか?

三木:音楽っていろいろな説明をすっ飛ばしてくれるんです。例えばメロディーひとつで、登場人物の心情を想像できたりすることって多いと思うんです。そういう技法はミュージックビデオで培ってきたことかもしれません。

――『くちびるに歌を』では感動的な群像劇を描いていますが、三木監督といえば恋愛映画の第一人者という印象があります。

三木:とんでもないですよ(笑)。ただ得意かどうか分かりませんが、やっぱり恋愛映画は好きですね。基本的に自分が映画を見るときに、やっぱり女優さんを見てしまうんです。『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』もレイチェル・マクアダムスがすごく魅力的だったし、『時をかける少女』も子どもながらに原田知世さんのかわいさは衝撃的でした。スクリーンの中のヒロインに恋をするような......そんな感覚を描けるというのが、恋愛映画の監督の特権かもしれません(笑)。

――女優さんを演出するとき、どんな部分を大切にしているのでしょうか?

三木:特にラブストーリーでは、皆さんが知っているその女優さんの魅力はそれとして、これまで知られていなかったような新たな部分を発見して、どれだけスクリーンに映し出せるかということを常に考えています。今回の菜奈ちゃんにしても、いつもよりも少し高めのトーンでしゃべってもらうなど、結構細かく注文しました。いろいろな部分を縛ることによって、今まで見えてこなかった魅力が出てきたりするんです。現場で見ていて「ここかわいいな」って思えるようなしぐさや表情を拾うようにしています。

■特定の誰かより、より多くの人に満足してもらいたい

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三木孝浩監督 = 映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(12月17日公開)


――これまで、規模の大小に関わらずヒット作を連発しているイメージがありますが、映画を撮るときに心掛けていることはありますか?

三木:そういう印象はプレッシャーですね(笑)。特定の誰かが満足するものよりは、なるべく多くの人に気に入ってもらえるものにするにはどうしたらいいかを意識しています。次につながり、またオファーをいただけるように毎回頑張りますという感じです。

――ご自身のオリジナル作品を......という思いはありますか?

三木:もちろんあります。「こういうものしかやりません」というわけではないです。でも現時点では、自分がやりたいというよりも、多くの人が喜んでいただける作品を作ることが自分の中での喜びでもあります。求められるうれしさっていうのは自分の中では大きいです。

――これまで何度かインタビューをさせていただいていますが、座右の銘は以前から変わったりしていますでしょうか?

三木:あんまり変わるものではないですよね。いろいろ考えたのですが、やっぱり「神は細部に宿る」ですかね。映画ってちょっとしたところで全体が崩れもするし、締ったりもする。今回に関しても、役者さんにサントラを渡したり、手紙を書いたりしたことが、どこまで映像や芝居に反映されているかは分からないけれども、こういったことをするのとしないのとでは、ふとした瞬間のシーンに何かプラスのことがあるんだろうなって思うんです。

(取材・文:磯部正和 撮影:中村好伸)

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』劇場予告編2 >>


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三木孝浩(みき・たかひろ)
1974年8月29日生まれ、徳島県出身。
[主な作品]
『ソラニン』(10)、『僕等がいた 前篇/後篇』(12)、『陽だまりの彼女』(13)、『ホットロード』『アオハライド』(14)、『くちびるに歌を』(15)、『青空エール』(16)など。


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