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TBS系ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の盛り上がりが止まらない。12月20日の最終話放送から1週間がたったが、"逃げ恥ロス"に苦しむ人々は多く、続編を期待する声が続出している。2016年を飾る高視聴率ドラマという以上に、人々の記憶に強く残る作品となったらしい。新垣結衣や星野源たち同ドラマの出演者には一層オファーが殺到することが予想されるが、脚本を担当した野木亜紀子氏にも注目が集まっている。

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星野源, 新垣結衣, Oct 04, 2016 : 都内にて行われたテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の出演者舞台挨拶および第1話の試写会(写真:MANTAN/アフロ)


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■野木亜紀子の実写化にハズレなし!

「逃げ恥」は、職ナシ彼氏ナシの主人公・みくり(新垣結衣)と恋愛経験ナシの独身サラリーマン・津崎平匡(星野源)の"契約結婚"を描いた社会派ラブコメディー。女性と仕事、シングルマザー、性的マイノリティといった現代社会の問題に切り込みながらも、軽妙なタッチは崩さず、さりげなく視聴者に気づきを与えるようなストーリーとなっている。

その手腕にうなった視聴者は多いようで、脚本家の野木氏に対して、Twitter上では、

「将来朝ドラやってほしい」
「野木亜紀子さん脚本で朝ドラ待ったなし!」
「朝ドラの脚本を担当する日も遠くないな」

とNHK連続テレビ小説の脚本に起用されることを期待する声があがっている。

野木氏は、TBS系ドラマ「空飛ぶ広報室」「重版出来!」、映画『図書館戦争』シリーズ、『俺物語!!』、『アイアムアヒーロー』といった作品をこれまで手がけてきた。また、「逃げ恥」主演の新垣結衣とは、昨年10月期に放送された日本テレビ系ドラマ「掟上今日子の備忘録」でもタッグを組んでいる。

このように野木氏は実写化作品に多く関わってきており、ファンが「野木亜紀子の実写化にハズレなし」と評するのも納得だろう。残念ながら視聴率はヒトケタ台と振るわなかったものの、業界誌『コンフィデンス』が主催する「第4回コンフィデンスアワード・ドラマ賞」で作品賞を受賞するなどクオリティの高さには定評があった「重版出来!」にも、「逃げ恥」のヒットにより再び注目が集まりそうだ。

■明確な"修羅場"がなかった「逃げ恥」?

野木氏脚本の特長として、"修羅場だよりではない作劇"が挙げられるだろう。もちろん物語である以上、事件やトラブルは起こるのだが、野木氏がドラマティックに描写するのは、事件やトラブルそのものではなく、あくまでその状況における登場人物たちの感情だ。

ネット上では、「逃げ恥」の魅力として「明確な恋敵や悪人が出てこない」という点が指摘されている。もちろん平匡の後輩の風見(大谷亮平)という存在はあったものの、よくあるドラマならば、みくりと平匡、風見の三角関係で何話も引っ張ったことだろう。しかし、「逃げ恥」ではそのもつれは数話で解消される。なぜならみくりが取り組むべき問題は、そんな外的トラブルではない。平匡との考え方の違い、そして社会から押し付けられるルールという"目に見えないもの"たちなのだ。

わかりやすい修羅場にたよって物語を進行させるのではなく、登場人物たちの内面の変化によって物語も動いていく。その繊細な作劇がよく表れていた担当作品のひとつが、昨年10月に公開された映画『俺物語!!』だろう。鈴木亮平が役作りで体重30kgの増量を敢行するなど、主人公・剛田猛男の強烈なビジュアルが何かと話題になった本作だが、物語としては「自信が持てないために、他人に好意を伝えられず、他人の好意を受け取ることにも臆病になってしまう」という非常に内的なものだった。

もちろん「逃げ恥」も『俺物語!!』も原作付きの作品であるため、"修羅場だよりでない"というのも、野木氏の力というより原作の力というべき部分はあるだろう。しかし、同じ原作であっても、野木氏以外の脚本家が担当していたならば全然違う形の作品になっていたかもしれない......というのは、ファンのひいき目だろうか?

■朝ドラ脚本は名誉にして鬼門......!?

"大事件抜きでも物語を進行させられる"という能力は、朝ドラ脚本において強く発揮できるものではないだろうか。朝ドラは月~土曜の1日15分、1週間ぶんを1単位として半年かけて展開していく。この独特の構成はやりづらいものらしく、売れっ子脚本家が担当しても途中で破綻してしまうことは珍しくない。多くの場合、1週間で「月曜にトラブルが起こり、火曜~金曜で取り組み、土曜で解決する」という構成になるのだが、脚本が巧みでなければ視聴者は、月曜にどんな大問題が起きても「どうせ土曜には解決するんでしょう」とシラケてしまう。事件に取り組む人々の姿で魅せてくれないと、ただ先読みできるだけの物語になってしまうのだ。

朝ドラの脚本を任されるというのは、脚本家にとって大変名誉ある仕事のひとつだろう。野木氏本人が希望しているかはいったん置いておいて、「逃げ恥」のヒットによって、彼女が朝ドラ脚本家に1歩近づいたことは間違いない。

(文/原田美紗@HEW

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