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1月クールの民放GP帯(夜7~11時)ドラマ全12本の初回。データニュース社「テレビウォッチャー」が調べる次回視聴意向調査では、「次は見たくない」(「たぶん見ない」と「絶対見ない」の合計)と多くの人が答えたワースト5は以下の通りとなった。

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堤真一/Shinichi Tsutsumi, May 13, 2015 : NTTドコモの新イメージキャラクター(写真:MANTAN/アフロ)


『スーパーサラリーマン左江内氏』の進化を支える「音楽」に注目>>


■「次は見たくない」ドラマのワースト5

1位:フジ月9『突然ですが、明日結婚します』21.6%(5人に1人が「見たくない」と回答)
2位:フジ木10『嫌われる勇気』18.3%
3位:日テレ日10『視覚探偵 日暮旅人』16.2%
4位:日テレ土9『スーパーサラリーマン左江内氏』13.2%
5位:フジ日9『大貧乏』11.7%

このうち1位の『突然ですが、明日結婚します』は、見たくない率とほぼ同じだけ視聴率を失った。初回8.5%が2話は6.9%に下がってしまったのである。ちなみに2位以下の4ドラマも、量の多寡は多少異なるが、ほぼ全てが1~4割ほど2話で数字を下げている。初回でダメ出しされたドラマの2話には、厳しい結果が待っていたのである。

■それでも持ち直したドラマ『嫌われる勇気』『スーパーサラリーマン左江内氏』

ところが既に3話まで放送されている『嫌われる勇気』と『スーパーサラリーマン左江内氏』は、3話でほぼ下げ止まりを見せた。2話でも相変わらず「次は見たくない」と答えた視聴者が5~9%いたにもかかわらず、3話からは数字を持ち堪えさせていた。
これら2つのドラマは極端な世界を描いているため、ハマる人はしっかりハマっている。ところが合わない人は毛嫌いし、逃げてしまっていた。それでも2話から3話で数字があまり落ちていないのは、3話からでも新たに見始めた人が少なくなかったからだ。それだけ話題性があることを意味する。

特に『スーパーサラリーマン左江内氏』の場合、主人公の左江内氏を演じた堤真一が、普段は硬派な役が多いが、今回は会社でも家でもうだつの上がらない"冴(さ)えない"中年役。しかもスーパーマンのような変身スーツを着てしまうというギャップの大きさが話題になった。
また鬼嫁・円子を演ずる小泉今日子のずぼら&タカビーぶりも新鮮。他にも、毎回1度出て来る店員役の佐藤二朗、左江内氏の手柄を横取りする刑事役のムロツヨシなど、キャラの立ったキャスティングも目を見張るものがある。

そして、これらの登場人物やお決まりの場面に奥行きと付加価値を加えていたのが、劇中音楽を知り尽くした瀬川英史氏の音楽だ。瀬川氏の今回のドラマ音楽には、他の11本のドラマと異なる楽しみ方がある。

■テーマソングの効能

左江内氏の娘・はね子(島崎遥香)がアイドルのオーディションを受ける第3話では、特徴的な登場人物や場面に対応した定番のテーマソングが定着してきたことである。

例えば左江内氏の手柄を自分のものとし、おいしいところをいつも持って行く小池郁男刑事(ムロツヨシ)。警察官の刈野助造(中村倫也)といっしょに事件現場に出動するシーンでは、オーケストラの弦楽器が低音で刻み、"ダダダダダン!"と打楽器の効果で迫力感を底上げしている。つまり"ダダダダダン!"が、刑事のテーマソングとして定着して来ている。

またアイドルグループ・ルージュパンクのセンター・真中ありさ(浜辺美波)の誘拐事件で、刑事が捜査を進めるシーンには、ジェームズボンド風の音楽が流れた。決してスゴ腕ではない刑事が、音楽のおかげで一瞬デキそうに見えてしまう。その落差の大きさに、思わずほほ笑んでしまった人は少なくないはずだ。

左江内氏の会社シーンは、ノリの良いハービーハンコック風の70年代ファンクミュージックが定番となって来た。軽く耳触りの良い音楽が、カジュアルでストレスの少なそうなオフィス(つまりグダグダした職場)をうまく表現している。

第2話でもんじゃを食べる月島のシーンに使用されていたのは、キューバの"チャチャチャ"だった。この3話では、アイドルのありさと娘のはね子が、それぞれ調子に乗って自信過剰にタカビーな自分を誇示するところで流れる。あっけらかんとした自己チューな明るさが、太陽の音楽"チャチャチャ"にドンピシャとハマった。

■音楽の見えない説得力

各登場人物に合った音楽を結びつけ、イメージを定番の音で定着させている。まるでヒーロー映画のテーマソングのように、見れば見るほどシリーズを継続してみていきたい気持ちを誘う設計だ。例えば映画『インディジョーンズ』『スター・ウォーズ』、アニメ『ルパン』のように、テーマ音楽・テーマソングを聞くだけでヒーローを想起させる。そして「音楽もいいから、見よう」と思ってしまう。

隠された音楽効果の定着感が、リピーターを惹(ひ)きつける効果をもたらしているのか、明らかに視聴率も落ち着き始めた。この安定感を前提に新規視聴者が続けば、視聴率の反転攻勢もあり得る。
突拍子もない演出なのに安定感のあるドラマと、それを支える説得力のある音楽が、視聴者をどこまで納得させるのか。今後の躍進を期待したい。

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文責:パリ帰りのピアニスト はたじゅんこ
   次世代メディア研究所

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