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TBS日曜よる9時放送の『A LIFE~愛しき人~』。
初回視聴率が14.2%と民放GP帯ドラマの中でトップとなった後、2話14.7%・3話13.9%と首位のまま安定している。

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イメージ画像(ペイレスイメージズ/アフロ)


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■視聴者の満足度と期待感が上昇

データニュース社「テレビウォッチャー」の質的調査でも、視聴者の満足度と期待感はストーリーが進むに従って盛り上がっている。
5段階で評価する満足度は、3.46→3.70→3.66と良好に推移。次回見たい率(「絶対見る」と「なるべく見る」と答えた人の割合)も、初回71.9%が2話83.7%・3話87.1%と着実に上がっている。逆に見たくない率(「絶対見ない」と「なるべく見ない」と答えた人の割合)は7.8%→3.9%→2.6%と下がっており、「期待はずれ」と感ずる視聴者はほぼいなくなっている。

高評価の理由は、まずはシナリオにある。
命を描くヒューマンストーリーに定評のある橋部敦子が、説得力のある物語を丁寧に紡ぎあげている。
そうした本格派ドラマを繰り出すTBS伝統の枠で、ひと癖もふた癖もある豪華な実力派俳優たちが存分に魅せている点も大きい。
木村拓哉・竹内結子・浅野忠信・松山ケンイチ・木村文乃・及川光博・柄本明などだ。

■音楽が独特の味わいを出している点も見逃せない

そして、これらキラ星の如きスーパースターたちに負けじと、音楽が独特の味わいを出している点も見逃せない。
初回の音楽は、強いインパクトと高い実力を見せつけ、存在感をこれでもかとアピールしていた。
ところが第3話では、第2話に続き、主役から"重要な脇役"へと次第にポジションを変えている。1つのドラマに終結した強烈な要素が、当初は自己主張し合い、ある意味存在感を相殺していた部分も否めなかったが、2話3話と話が進むうちに、ベストなコンビネーションに収まり、互いに活かし合う関係へと進化を始めている。

例えば第3話冒頭のシーン。
深冬(竹内結子)の手術について、壇上壮大(浅野忠信)と沖田(木村拓哉)の会話では、音楽はシンコペーションを利用し、ピアノのモチーフが、後から後からと追いかけてくる。ドラマが始まる期待感を煽(あお)る、ワクワクする演出で始まっている。

小児外科に診察を受けに来た7歳の少女の腹痛を治すため、院長(柄本明)の娘で小児外科医の深冬(竹内結子)が担当する。
第3話では初めて、病院を背負い、一児の母であり、医師でもある深冬の葛藤と劣等感が描かれ、変わり始めるという彼女の新たな一面が出て来る。
その深冬の揺れる心と微妙な部分を、"重要な脇役"の音楽がとても繊細に表現している。
深冬のイメージについて、監督は「寛容でマリア様のような人」と言っている。
ところが当の深冬を演じる竹内結子はインタビューで、「個性が定まらず、たくさんの役割の中で揺れ動く女性」と受け止めていることを語っている。
まさに音楽は、こうした揺れる心と姿を丁寧に描き分けている。

例えば深冬が少女を診察するシーンでは、小さく刻んだリズムに乗って、ピアノの高音メロディが、シンプルにポロポロと鳴る。医者としての誠実で寛容な深冬を象徴する音だ。
いっぽう診察をサポートする沖田に礼を述べ、沖田と共に再度診察をするシーンでは、一転してピアノのソロが優しくシルクのような感触となる。前に歩み始めた希望を控えめに演出している。
ところが小児学会のドンの意向を心配する病院長は、少女を転院させるよう深冬に命ずる。「少女を自分の手で救いたい」という本心とは裏腹に、やむなく妥協し、自分を抑えようとする曖昧で弱い深冬。音楽は抽象的でスモーキーなハーモニーを奏で、彼女の複雑な思いを象徴的に表現するようになる。

こうした中、経営に追われる壮大(浅野忠信)と、患者の治療に専念する沖田(木村拓哉)の摩擦は、2人の会話の中でヒートアップして行く。ここで音楽は、シンセサイザーのオーケストラ音で、弦楽器のギザギザした刻みが、意見の不一致と意思のバトルを鋭角的に表現して来る。

さまざまな葛藤と揺れの末に、院長の父と副院長の夫の指示に初めて背くことにした深冬。
結局は沖田に頼んで、一度は諦めた少女の手術に毅(き)然と向かう。
このドラマの最大の見所となる手術シーンでは、オーケストラに躍動感あるパーカッションが加わる。テーマは金管楽器が奏で、カラを破った開放感を以て、深冬の心の扉を全開させる。

そして、エンディングでは、壮大が嫉妬と怒りを沖田にぶつけ、次回の展開へとつないで行く。
冒頭で流れたのと同じシンコペーションのピアノの切迫感が、視聴者に第4話への期待をたっぷり持たせ、幕は閉じられる。

これだけ演技派がそろうキャスティングで、誰もが主役になり得るシーンがふんだんに盛り込まれるドラマでは、音楽もモリモリに盛ってしまいそうになりがちだ。
しかし重要人物を的確に絞り込み、その役に適したイメージの楽器が選ばれ、和音やニュアンスなど精密かつ繊細に選び抜かれた音で、各シーンの意味を的確にサポートする。

『A LIFE~愛しき人~』が重厚な名作に成長していくと、音楽の変化の中に予感する。
状況に応じて手法を進化させる佐藤直紀氏の才能に、改めて拍手を送りたい。

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文責・パリ帰りのピアニスト はたじゅんこ
   次世代メディア研究所

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