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タラレバばかり言いながら、3人のアラサー女子が幸せ求めて右往左往する『東京タラレバ娘』。
第3話までで、倫子(吉高由里子)・香(榮倉奈々)・小雪(大島優子)の新たな(一部復活の)恋が出そろった。
3組の男女のやりとりが織りなす物語は、次第にテンポを加速させ、6人の"心の綾"が絡まることで変化に富んだストーリーへと進化している。

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吉高由里子/Yuriko Yoshitaka, Feb 13, 2014 : 第68回毎日映画コンクール表彰式(写真:MANTAN/アフロ)


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■安定とマンネリの間

こうした構成は、初回から3話までの視聴率13.8%⇒11.5%⇒11.9%に表れているように、極めて安定した魅力を発している。ただし、この安定感にはマンネリという負の側面のリスクを伴う。例えば、その状況は音楽に典型的に表れている。

3話までで、それぞれの登場人物に対して、それぞれテーマソング的な音楽が当てはめられ、登場人物のイメージ化が固定した。「そうそう、ロックはキンパツ男でしょ!」といった感じだが、同時にこれは新鮮さに欠ける一面もある。まあ言ってみれば、いつもの店で同じものを頼むときの感覚"慣れ"に似ていると言えよう。

他にもフィックスされた音楽がいくつかある。
倫子・香・小雪の3人がグループLINEで行うチャットシーンは、必ずパーカッションのハイテンポな32ビートのサンバが流れる。LINE画面とサンバがポップなドラマのワンシーンとなり、ゲーム感覚な軽いノリでなじみやすい。

小雪が倫子・香と歩いている時、自転車のバランスを崩し、ジャガイモを落としてしまう。それを拾ってくれた35歳サラリーマン丸井良夫(田中圭)に、一目惚(ぼ)れをし、丸井も小雪にアプローチする。ここでは、ピアノをスローテンポなメロディでフェードインし、バックをオーケストラのストリングスが雰囲気を作り、効果音"キラリッ""キラキラ"をふんだんに使い、マンガっぽさを強調する。

小雪は、丸井が「また明日、店に来る。」と言ったのを信じ、店のドアが開くたび、丸井の来店を心待ちにした顔で出入り口に視線を送る。"冷静で大人の女"と思い込んでいたものの、恋に落ちてしまった自分の素を改めて知ることになる。乙女の揺れる恋心は、ピアノのせつないメロディでお決まりの演出となる。これは、ちょっと古臭いが、少女マンガ風な意図的な演出とも言える。

倫子は、酔った勢いで寝てしまったKEY(坂口健太郎)に対する気持ちに、葛藤する。「何とも思われてなかったら、傷つくだけだし......」でも、「私が欲しいものは、何だろう」。自分の幸せは何かをわかっていながら、傷つかないように踏み出さない。心の葛藤のバックミュージックは、もちろんピアノソロのバラードに広がりを持たせる弦楽器のハーモニー。定番の貼り付けで、わかりやすすぎる効果音楽だ。

■安定

少女マンガを読む時、女子の気持ちってどんなものだろう?マンガ本を手に取り、主人公の女子に自分を重ね合わせながら、恋する気持ちでストーリーを追う。主人公の男子に完全に振り回されながら、傷ついたりドキドキしたりする。これが由緒正しい少女マンガへのハマり方ではないだろうか。
『東京タラレバ娘』の原作は少女マンガである事は言うまでもないが、そのドラマ化に際してのコンセプトはどこに絞るべきなのか。ここがポイントになると考える。

タラレバ娘3人のそれぞれの恋愛は、誰にでも起こり得る恋だからこそ、アラサー女子は簡単に入り込める材料になる。しかも3者3様の恋がテンポよく展開し、見ているものを適度に感情移入させつつ、飽きさせない工夫がされている。

ところがドラマ音楽の演出については、裏腹な側面がある。まず曲数が多すぎて、しかも曲想がポップでバーチャルになりすぎている。60分のドラマの中で、CMの8分を除けば、実質52分のストーリーの中に、音楽が33曲も展開される。ほぼすべてのシーンに音楽があり、曲のパターンは、リズム系からメロディ系合わせて8種類が使い分けられている。
同じ曲が何度も流れることで、なじみやすいし安定感はある。ところがメロディ系の音楽がどれも似通っているので、マンネリ化を避けられないのは残念だ。映像のイメージに、いかにもという音をはめ込みすぎずに、時には単純化や簡潔さ、時には奔放すぎる自由な解釈が加われば、マンガに入り込んでしまう女子の気持ちをさらに大胆に翻弄(ほんろう)させ、結果としてわしづかみできるのではないだろうか。

■ジャンプの前の屈曲?

ただし3話までのマンネリは、全て分かった上での作戦かもしれない。3人のアラサー女子の恋は、3話までで出そろった。
ところが小雪(大島優子)の久方ぶりの恋は不倫、香(榮倉奈々)の復活愛は二股、そして倫子(吉高由里子)の出会いがしらの一夜はあっさり全否定となったように、3人のアラサー女子の恋愛は波乱万丈の予感に満ちている。第4話では、さっそく3人娘が今までにない大ゲンカをやらかすようだが......。

ドラマの音楽も第4話からは当然、あっと驚く転調を聞かせてくれるだろう。
その変化の妙を見せるために、第3話までをマンネリと少し感じさせるくらい、これでもか、これでもかと固定的でわかり易すぎる音楽を付けてきたのではないだろうか。

第一楽章・第二楽章を今一度反芻(はんすう)していただき、第三楽章で音がどう飛翔・飛躍するのか。物語との緊張関係はどう進化するのか。展開を楽しみにしたい。

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文責・パリ帰りのピアニスト はたじゅんこ
   次世代メディア研究所

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