ここから本文です

『A LIFE~愛しき人~』の視聴率は初回と第2話が14.2%・14.7%と今クール全ドラマの中でトップを走り注目度が高いなか、それでも厳しい評価を下すメディアは少なくなかった。3~4話で13.9%~12.3%と少し下降しようものなら、『ついに視聴率がダウンし始めたドラマ』『主演ドラマには酷評の嵐 キムタクはなぜ嫌われるのか?』など、批判の声は大きくなった。

サムネイル

イメージ画像(ペイレスイメージズ/アフロ)


木村拓哉 主演ドラマ「A LIFE~愛しき人~」最新話を無料配信中>>


視聴率下落も満足度は上昇!

しかし「ちょ、待てよ!」とここで言いたい。
SMAPの解散騒動などから離れ虚心坦懐に見て、『A LIFE』の評価は本当にそのとおりだろうか。

データニュース社「テレビウオッチャー」の関東2400人の定点調査では、初回の満足度は3.46と、ドラマの平均3.6~3.7を下回った。ところが2話~4話は3.79~3.61~3.81と上昇し、遂に平均を上回るところまで来ている。
それでも傑出していないのは、「キムタクが医者というところがリアリティに欠ける」という声もあるなど、キムタク主演ドラマに対するステレオタイプな見方が、今回でも少なくない。

ところが序盤では批判しながらも、次第にドラマの世界にハマっていく人が多いことも事実だ。

「いつも通りの"キムタク"感が出てて嫌だった」と初回で答えた28歳女性は、第3話で一転して「感動した」と答えている。初回「キムタクの演技はいつも一緒」と答えた50歳男性も、第4話では「木村文乃と竹内結子の関係が今後どうなっていくのか面白そうな展開」と内容に引き込まれ、ドラマには最高評価を与えている。

特に第4話は、各登場人物の背景やこれまでの経緯が出そろい、物語の展開に緊迫感・緊張感がみなぎるようになってきた点を特筆したい。見終わった後「は~っ」とため息をつき、「あぁ、おもしろかった。。。」と思わず呟いた人が少なくなかったことだろう。
登場人物の心情を巧妙に色づけする音楽が、控えめに内容をサポートする。
心の描写には、緻密に計算されたドラマ音楽が流れ、重要なセリフの上には、ほとんど音楽は載せない。昨今はドラマ音楽が流れっぱなしという作品が多いが、『A LIFE』ではセリフ・表情・雰囲気など、どの瞬間も最も重要な要素を活かすような繊細な設計が徹底している。
そのプラットフォームの上で、シナリオと役を熟慮した俳優たちの演技力が、時に静かに、そして時に激しく爆発している。

改めて感じる、橋部敦子の脚本力

主人公沖田(木村拓哉)が貫く、患者を救うためにかける誠実さ。
幼なじみで副院長の壇上壮大(浅野忠信)の経営者としての冷徹さと妻・深冬(竹内結子)に対する愛と嫉妬。
深冬の純真無垢な清らかさと多面性を持つ女性としての寛容性。

このトップ3を取り巻く、医師や看護師の一人一人の心の描写まで、少しも手を抜かない。
すべての登場人物が、ストーリーの中で必要不可欠な存在で、その人間の絡み合いと関係を見ながら、「生き方」を改めて考えさせられる影響力と説得力は、まさに"威風堂々"とした佇まいのドラマになっている。

社会で生きることの難しさ、与えられた環境で何を優先し、何にベストを尽くすのか。
私たちは、「生きること」の意味を質問されて、そんな簡単に答えを出すことができない。だから、このドラマに引き寄せられ、ヒントを探ろうとまた1話、また1話、と答えが出るまで見続けるのではないだろうか。

セリフに込められた哲学

第4話では、重要なセリフに登場人物の過去やそれまでの経緯が凝縮され、結果として各人の生き方の哲学が示されるようになっていた。
細かく確立された役者の人物像に、さらに深く掘り下げられた心の描写が、セリフの一つずつに込められている。
その言葉は、どれもとてもシンプルで、だからこそ人の心に直球で、しかも剛速球で届くのだろう。

人の気持ちは進化する!

ドラマは主役一人で決まるわけではない。
脚本、役者の演技、編集、音楽などトータル組み合わせで、描かれた世界の納得性が決まる。視聴者の声に、こうしたメカニズムは明らかに表れている。

初回で「木村拓哉っぽい面を抑えている感じ」と言った65歳女性は、第3話で「木村拓哉のはまり役」と感じ、第4話では、「松山ケンイチの演技が良かった。名優です」と脇役にも目配りするようになっていた。
「キムタクの医師は似合わない」と当初冷ややかだった67歳男性は、第3話「キムタクが竹内結子に言った医者の本質はヒューマンドラマでよかった」、第4話「主役級の俳優をたくさん使っているので、スポットの当て方が難しいと感じた。今回は木村文乃をメーンに使ったがうまかった」と、入口で抱いていた感情が見ているうちに徐々に変化しているようだった。

「テレビウオッチャー」の定点調査では、次回見たい率(「絶対見る」「なるべく見る」の合計)は初回が71.8%、一方見たくない率(「絶対見ない」「たぶん見ない」の合計)は7.8%。見たい率はそこそこだが、見たくない率は高めだった。
ところが第4話では、見たい率は90.0%とかなり高くなり、見たくない率は1.4%と極端に低くなっていた。ドラマの世界観が伝わるにつれハマる人々が増えていることは間違いない。本格派ドラマとしての面目躍如といったところだ。

現代社会に生きる私たちは、時間に追われ、物事をゆっくりと考察する暇がない。
果てしなく情報が飛び交い、どんな知りたい内容だってネットで容易に選ぶことさえできる。
疲れたり弱ったりした時には、考えることをサボるため、バラエティ番組で時を忘れることもできる。
そんな中、連続ドラマも1話ずつ完結するものも多く、途中からでも見られるようなバラエティ化したドラマも出てきている。

ところが『A LIFE~愛しき人~』は、続けて見ないと意味がない。
そうすることで"考える"材料を与えられ、私たちはほんの少しの時間でも、自分が生きること、家族と暮らすこと、大切な人が成長することの意味を考えることができる。
各人の譲れない哲学の衝突を描く病院ドラマを描き上げる脚本家の見識と筆力、それを最大限に具現化しようとする役者や演出陣に脱帽としか言いようがない。

「A LIFE~愛しき人~」最新話を無料配信中>>

文責・パリ帰りのピアニスト はたじゅんこ
   次世代メディア研究所

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ