人妻を押入れにかくまう秘密の生活...手塚治虫の息子が監督した映画『白痴』

2022/5/24 17:06

"漫画の神様"手塚治虫の息子である手塚眞監督の映画『白痴』(1999年、R15+)を動画配信サービス「GYAO!」にて6月10日23時59分まで無料配信中。退廃的な世界観と映像美が見どころの本作は、孤独な主人公が人妻を自室の押し入れにかくまう生活が描かれている。

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映画『白痴』


心身ともに疲れ果てた主人公(浅野忠信)と、彼が押し入れでかくまう人妻の奇妙な共同生活にドキドキ......退廃的な世界観と映像美に見とれる映画『白痴』を無料配信中>>

物語の舞台は、過去とも未来とも思える終末戦争下の日本。テレビ局でアシスタントディレクターとして働く伊沢(浅野忠信)は、粗暴なディレクターとサティステックなアイドルの標的にされ、身も心も打ちのめされる日々を過ごしている。そんなある日、帰宅した伊沢は自室の押し入れに隣室に住む人妻・サヨ(甲田益也子)が潜んでいるのを見つける。その日から、ふたりの秘密の生活が始まるのだった――。

伊沢とサヨが初めて押し入れで出会うシーンについて、『リリイ・シュシュのすべて』などで知られる映画監督・岩井俊二は「ルネサンスの名画をじかに触れるような美しさ」と評している。夫から逃げてきたサヨは実は伊沢に思いを寄せており、事情を察した伊沢は戸惑いつつも彼女を受け入れるのだ。伊沢が恐る恐るサヨに触れるシーンや、ふたりが押し入れの中で身を寄せ合って食事をするシーンなどは、BGMで流れるバイオリンやピアノのメロディも相まって非日常的な雰囲気に包まれている。

戦争や仕事に疲れ果てて自殺願望に取り憑(つ)かれていた伊沢にとって、サヨの存在だけが救いだった。しかし、奇妙ながら穏やかなふたりの生活に容赦なく空襲の脅威は訪れる......。映画『白痴』でメガホンを取った手塚眞は、「ヴィジュアリスト」を名乗り映画も含め映像全般を手がけるクリエイターなだけあり、本作でも映像表現に終始こだわっている。男女の不思議な共同生活のシーンはもちろん、街一帯が火の海に包まれるクライマックスにも息を呑(の)むだろう。

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(文/カオタニ@HEW