【インタビュー】橋本愛の"未知の世界"と"読書の未来"
2016/10/15 10:00
ニコニコカドカワ祭り2016開催記念、電子書籍特別企画 トレンドニュース×KADOKAWA 読書に関する新企画「ドクショノミライ」。第3回ゲストには橋本愛さん。主演映画『バースデーカード』が10月22日に公開となる橋本さんは大の読書好き。そんな橋本さんは映画を通じ、読書を通じ、どんな未来を見つめているのでしょうか。
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■ 絵本『スイミー』が私をノルタルジーの世界へ
デビュー以来、まさに〃映画女優〃としての活動を続けている橋本愛さん。その凜(りん)とした美しさは映画の大スクリーンの中で見事にその存在感を発揮している。そんな橋本さんは知らない世界へと自分を連れていってくれる読書が大好きだそう。10月22日公開の映画「バースデーカード」にも母親と一緒に絵本を読む場面が登場するが、自身の思い出の中にはどんな本があるのだろうか。
「一人で本を読むのが好きだった記憶があります。特に好きだったのは『スイミー』(アメリカの絵本作家レオ・レオニの作品/兄弟みんなが赤いのに、自分だけが黒くて小さい魚・スイミーが自立していくストーリー/日本版題名は谷川俊太郎訳『スイミーちいさなかしこいさかなのはなし』)ですね。今でも時々『スイミー』のことは思い出して、ちょっとノスタルジックな感情になってしまう時があるんです(笑)」
現在もさまざまなジャンルの本を読むという。
「移動時間とか、時間が空いた時などにいろいろな本を読みますね。エンタテインメントも好きだけど、最近は普段生活している身の周りにあるような何気ない小さなお話が好きです。静かな生活のすき間が描かれているような作品。そこにいろいろなものを感じるので」
■ 私が一番言いたかったせりふ
映画「バースデーカード」では、橋本さん演じる紀子が10歳の時に亡くなってしまった母親から、紀子が20歳になるまで毎年届けられる母親からのバースデーカードと、紀子の成長が描かれていく。
「監督とは撮影に入る前に『王道をていねいにやりたい。母と娘の映画にしたい』という言葉がありました。そこを私は貫いていきたい、成し遂げたい、と思ったんです」
自身が出演作品を決める時のポイントはあるのだろうか。
「脚本を読んでそこに『書かれているせりふを言いたい!』と思うことでしょうか。そうした作品に出会えることが一番の幸福。自分の演じる役は基本的に女の娘なので、その女の娘が好きだな、とかかわいいな、と思えることも大事だし。『バースデーカード』の中では劇中でお父さんに『頭をなでて』ってお願いする場面のせりふが一番言いたくて(笑)。家族に対して書かれているせりふがすごく好きだったので、今回の作品に関してはそれがポイントですね」
■ 演技の道を地図でたどって
最近の読書の傾向として「身の周りにある何気ない小さな話が好き」だということも『家族に対してのせりふが好き』なことに通じているのかもしれない。では、映画の脚本は橋本さんにとってはどのようなものなのだろうか。
「やはり、脚本は私にとって演じるうえでの地図だし、一番頼りにするもの。でも原作がある場合は、原作に対するリスペクトは私にとってとても必要なので必ず読みます。原作を読んでいれば脚本はそこから何を抽出し、何を取ったのかも分かりますから。でも演技を考えるうえでは脚本が一番大事ですね。原作には登場人物の感情も描かれているけれど、脚本に起こす時は原作に書いてあるものの真逆の感情も必要だったりもしますし。そういう意味では2時間という映像作品の中にいかにして感情も含めて収めるか、ということを優先しています」
■ 橋本愛の"未知の世界"と"読書の未来"
原作でのリスペクトを持ちつつ、映画という映像作品への冷静なスタンスもしっかりと考える。それは「バースデーカード」で見せてくれる等身大の彼女の姿にも映し出されてくるのだろう。
「でもそれは、今まで私がやったことのない役、新しい一面を見せるということの意義も含めてのものだと思います。それは私だけではなく、監督・スタッフ側にもあるはずで、そういうお話も私にしていただきました。それに加えて私は脚本が面白く、意義があると感じれば、自分に対する世間の皆さんのイメージとは関係なく「その作品に入っていきたい」と思えると、そう思うんです」
そう言う橋本さんは本を読むことについてこんなことも語ってくれた。
「あくまで趣味の範囲ですけど、本を読むことはすごく好き。それは本を読まないで自分の考えだけで完結してしまう生活はつまらない、と思っているからかもしれないですね。自分の考え以外のことをたくさん見たいし、知りたいんです」
その欲求こそが、女優・橋本愛の未来に限りなくつながっているのかもしれない。
(取材・文/永田よしのり)
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記事で紹介した書籍はこちら
・「スイミー 小さなかしこいさかなのはなし」(作: レオ・レオニ 訳: 谷川 俊太郎)
PROFILE/橋本愛
1996年1月12日熊本県出身。2010年映画「告白」で重要な役どころを演じ一躍注目される。2013年映画「桐島、部活やめるってよ」などの演技が評価され、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。最近作品に「バースデーカード」「うつくしいひと」「古都」など。2017年には「美しい星」が控えている。
「ニコニコカドカワ祭り2016 開催記念電子書籍特別企画 トレンドニュース×KADOKAWA『ドクショノミライ アサヤケナノカ ユウヤケナノカ』」は、今輝いているあの人に、自分について、読書について、未来についてを聞く、連続インタビュー企画です。〔全6回予定〕。次回登場は東出昌大さん。映画『聖の青春』で、本物そっくりの羽生善治役を演じた東出さんにお話を伺います。お楽しみに。
映画『バースデーカード』予告編映像>>

第2回ゲスト:橋本愛さん(今なら無料! 作品随時更新中「ニコニコカドカワ祭り2016」)
衣装:トップス /キワンダ キワンダ チョーカー /デプト パンツ/マヌカンズジャポン シューズ/スタイリスト私物
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■ 絵本『スイミー』が私をノルタルジーの世界へ
デビュー以来、まさに〃映画女優〃としての活動を続けている橋本愛さん。その凜(りん)とした美しさは映画の大スクリーンの中で見事にその存在感を発揮している。そんな橋本さんは知らない世界へと自分を連れていってくれる読書が大好きだそう。10月22日公開の映画「バースデーカード」にも母親と一緒に絵本を読む場面が登場するが、自身の思い出の中にはどんな本があるのだろうか。
「一人で本を読むのが好きだった記憶があります。特に好きだったのは『スイミー』(アメリカの絵本作家レオ・レオニの作品/兄弟みんなが赤いのに、自分だけが黒くて小さい魚・スイミーが自立していくストーリー/日本版題名は谷川俊太郎訳『スイミーちいさなかしこいさかなのはなし』)ですね。今でも時々『スイミー』のことは思い出して、ちょっとノスタルジックな感情になってしまう時があるんです(笑)」
現在もさまざまなジャンルの本を読むという。
「移動時間とか、時間が空いた時などにいろいろな本を読みますね。エンタテインメントも好きだけど、最近は普段生活している身の周りにあるような何気ない小さなお話が好きです。静かな生活のすき間が描かれているような作品。そこにいろいろなものを感じるので」
■ 私が一番言いたかったせりふ
映画「バースデーカード」では、橋本さん演じる紀子が10歳の時に亡くなってしまった母親から、紀子が20歳になるまで毎年届けられる母親からのバースデーカードと、紀子の成長が描かれていく。
「監督とは撮影に入る前に『王道をていねいにやりたい。母と娘の映画にしたい』という言葉がありました。そこを私は貫いていきたい、成し遂げたい、と思ったんです」
自身が出演作品を決める時のポイントはあるのだろうか。
「脚本を読んでそこに『書かれているせりふを言いたい!』と思うことでしょうか。そうした作品に出会えることが一番の幸福。自分の演じる役は基本的に女の娘なので、その女の娘が好きだな、とかかわいいな、と思えることも大事だし。『バースデーカード』の中では劇中でお父さんに『頭をなでて』ってお願いする場面のせりふが一番言いたくて(笑)。家族に対して書かれているせりふがすごく好きだったので、今回の作品に関してはそれがポイントですね」
■ 演技の道を地図でたどって
最近の読書の傾向として「身の周りにある何気ない小さな話が好き」だということも『家族に対してのせりふが好き』なことに通じているのかもしれない。では、映画の脚本は橋本さんにとってはどのようなものなのだろうか。
「やはり、脚本は私にとって演じるうえでの地図だし、一番頼りにするもの。でも原作がある場合は、原作に対するリスペクトは私にとってとても必要なので必ず読みます。原作を読んでいれば脚本はそこから何を抽出し、何を取ったのかも分かりますから。でも演技を考えるうえでは脚本が一番大事ですね。原作には登場人物の感情も描かれているけれど、脚本に起こす時は原作に書いてあるものの真逆の感情も必要だったりもしますし。そういう意味では2時間という映像作品の中にいかにして感情も含めて収めるか、ということを優先しています」
■ 橋本愛の"未知の世界"と"読書の未来"
原作でのリスペクトを持ちつつ、映画という映像作品への冷静なスタンスもしっかりと考える。それは「バースデーカード」で見せてくれる等身大の彼女の姿にも映し出されてくるのだろう。
「でもそれは、今まで私がやったことのない役、新しい一面を見せるということの意義も含めてのものだと思います。それは私だけではなく、監督・スタッフ側にもあるはずで、そういうお話も私にしていただきました。それに加えて私は脚本が面白く、意義があると感じれば、自分に対する世間の皆さんのイメージとは関係なく「その作品に入っていきたい」と思えると、そう思うんです」
そう言う橋本さんは本を読むことについてこんなことも語ってくれた。
「あくまで趣味の範囲ですけど、本を読むことはすごく好き。それは本を読まないで自分の考えだけで完結してしまう生活はつまらない、と思っているからかもしれないですね。自分の考え以外のことをたくさん見たいし、知りたいんです」
その欲求こそが、女優・橋本愛の未来に限りなくつながっているのかもしれない。
(取材・文/永田よしのり)
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記事で紹介した書籍はこちら
・「スイミー 小さなかしこいさかなのはなし」(作: レオ・レオニ 訳: 谷川 俊太郎)
PROFILE/橋本愛
1996年1月12日熊本県出身。2010年映画「告白」で重要な役どころを演じ一躍注目される。2013年映画「桐島、部活やめるってよ」などの演技が評価され、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。最近作品に「バースデーカード」「うつくしいひと」「古都」など。2017年には「美しい星」が控えている。

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