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昨年5月にリリースした最新アルバム『STOP THE WAR』を引っさげて、47都道府県ツアーを敢行したメロディック・パンクバンドHEY-SMITH。そのツアーファイナルとなった、地元・大阪府民共済SUPERアリーナでの模様を収めた2枚組DVD/Blu-ray『More Freedom』が、3月29日にリリースされる。

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猪狩秀平(G, Vo)=HEY-SMITH 、2枚組LIVE DVD/Blu-rayを3月29日にリリース


今回は、新メンバーYuji(ベース、ボーカル)とイイカワケン(トランペット)、そして紅一点のかなす(トロンボーン)を迎えた6人編成での初のツアーであり、そのフレッシュな演奏が見どころの一つだ。しかしながら、ここに至るまでの道のりは決して平坦(へいたん)なものではなく、旧メンバー脱退後にバンドは一時活動休止となり、リーダー猪狩秀平(ボーカル、ギター)は失意のどん底にあったという。そこからどのようにして這(は)い上がり、現在に至るのだろうか。本人に話を聞いた。

【ライブ映像】「Don't Worry My Friend」(DVD『More Freedom』より)>>


【ライブ映像】「Drug Free Japan」(DVD『More Freedom』より)>>


■「あいつ(Yuji)に歌わせたら、こんな感じかな」って考えると楽しくなる

ー新メンバーが加入し、活動再開後初のアルバムを引っさげての47都道府県ツアー。振り返ってみて、何を真っ先に思い出しますか?

猪狩: とりあえず、無事に終了してホッとしています。まあ、普通に疲れましたね(笑)。47都道府県ツアーはこれで2回目なのですが、新メンバーが加入してからはこれが初めてで。お披露目という意味もあったんです。「俺たち、こんな感じになったよ!」って。

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猪狩秀平(G, Vo)=HEY-SMITH 、2枚組LIVE DVD/Blu-rayを3月29日にリリース


ー新メンバーになって、サウンドはどのように変化しましたか?

猪狩: 今回、ボーカルが変わったのももちろん大きいのですが、管楽器が2本から3本になったのが一番大きな変化かな。2管の時はユニゾンか2和音しか出せなかったのが、3管になったことで3和音は出せるし、2管をユニゾンにしてもう1管はハモリにするとか、バリエーションが一気に増えたので、楽曲の幅もかなり広がったんですよ。それは、HEY-SMITHの音楽性にものすごく影響を与えています。

ー楽曲を書く上で、猪狩さんにも大きな影響を与えていますか?

猪狩: そう思います。今回、Yuji(ベース、ボーカル)を新メンバーに迎えたのは、あいつの声が好きだという理由が大きいんですけど、メロディも浮かびやすいんです。「あいつに歌わせたら、こんな感じかな」って考えると楽しくなるというか。作曲のモチベーションには間違いなくなっています。

■対バン相手は猪狩自身が直接電話をして出演交渉

ー今回、ファイナル公演を除くと対バン形式でのツアーですね。対バン相手も東京スカパラダイスオーケストラやKEMIRI、POLYSICS等々そうそうたるメンツで、しかも交友関係の広さに圧倒されます。

猪狩: 対バン形式のライブにすごくこだわりがあって。自分がライブを見に行ったときに、お目当てじゃないバンドがすごく良くて好きになり、音楽の聴き方が広がったという体験が多かったんです。なので、自分のライブでもそういう経験をお客さんにしてもらいたくて。それに演奏する側としても、前のバンドのライブがカッコいいと、よりテンションが上がって結果的にすごくいい夜になることが多いんです(笑)。

対バン相手は、ライブがカッコいいか、人間としてカッコいいかで選びました。今回、30組くらい出てもらったのかな。どのバンドも僕が直接メンバーに電話して、出演交渉しました。事務所やレーベルを通してではなく、人と人でつながっているバンドばかりなんです。本当にありがたいことですよね。

ー打ち上げも盛り上がりそうですよね。

猪狩: ライブよりもシンドイですね(笑)。いつも23時とか24時くらいから始まるんですけど、すぐラストオーダーになっちゃうじゃないですか。飲み足りないときは、そこから朝までコンビニの前やホテルのロビーで飲んでたり(笑)。

■親戚から「スーツ着て演奏したらモテるで?」ってアドバイスされたので実行した

ー6月から始まって、ファイナルが12月ということは季節が2回も変わっているんですよね。

猪狩: そうなんです。いろいろありましたよ。移動中、高速道路のパーキングで俺だけ置いてけぼりにされて、2、3時間一人で待ったりとか(笑)。あと、山口の「印度洋」や、奈良の「RHEBGATE」というライブハウスは、ステージがないんです。客席とほぼ同じ高さなんです。お客さんとの距離も、ものすごく近い。そこで暴れるからマイクスタンドは倒れるわ、シールドはぐちゃぐちゃになるわ、地獄のような状態になるんですよ(笑)。もちろん、お客さんもそういうライブを求めているわけですが。

ーDVDに収録されているのは、大阪でのファイナル公演です。地元でのファイナルということで、思い入れもだいぶ違いますか?

猪狩: 僕ら、ツアーの最後は常に大阪で締めているんですけど、もう「なじみの場所」という感じ。この日はファンだけでなく、地元の友達も全員集合するので。アルバムを出して、ツアーに出て最終日を迎えるたびに、同窓会をやっているような気持ちになるんです。たぶん、この日の打ち上げも200人くらい参加していたんじゃないかな。でも、「地元での最終公演ということで、とてもリラックスした打ち上げのような雰囲気」と見せかけて、メチャ気合入れてますよ(笑)。

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猪狩秀平(G, Vo)=HEY-SMITH 、2枚組LIVE DVD/Blu-rayを3月29日にリリース


ーそうですよね。ステージ上の演出にしても、途中で流す映像にしても、めちゃめちゃ凝っているしバンドのこだわりを強く感じます。

猪狩: ありがとうございます。特にファイナル公演は仕掛けがたくさんあります。LED映像や火の演出だったり。映像は、みんな2時間半近くあるライブでずっと暴れているから、どこかで力を抜く部分も必要かなと思って入れたんです。

ー途中、みんなでスーツを着て、「エレクトリカルパレード」のカヴァーをする企画もありましたしね。

猪狩: あれ、親戚から「スーツ着て演奏したらモテるで?」ってアドバイスされたので実行したんですよ(笑)。曲もいいですよね。聴いているだけでハイになるというか。

■「聴いているだけでハイになる(体に悪い音楽)」を意識

ー「聴いているだけでハイになる」というのは、「エレクトリカルパレード」だけでなくHEY-SMITHの全ての楽曲の特徴でもありますよね。

猪狩: ハイになるというか、アタマおかしくなるというか(笑)、ちょっと体に悪いくらいの刺激物って大事だなって、最近は改めて思うんですよね。「アタマおかしくなる」というのは、表現としてあまりよろしくないのかもしれないんですけど、たまにはそういう刺激を受けた方が、日々の生活のエネルギーになるじゃないですか。ラーメンとかジャンクフードとか、体に悪いからこそおいしい(笑)。そういう、「体に悪い音楽」というのは、だいぶ意識していますね。

■1年近くは昼間から酒浸りで、「うわ、ドラマに出てくる"落ちぶれたキャラ"そのまんまや!」と

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猪狩秀平(G, Vo)=HEY-SMITH 、2枚組LIVE DVD/Blu-rayを3月29日にリリース


ー他にDVDの見どころは?

猪狩: やっぱり、火の上がるタイミングをミスするところじゃないですか?(笑)上がるはずのないときに火が上がって、その時の俺のリアクションは注目ポイントかも。めっちゃキレてますからね。熱すぎて死ぬかと思った! あと、クライマックスのいいところで俺のギターが音出なくなるんですよ。あとから修正しても別に良かったんですけど、そういうハプニングも楽しいかなと。1番と2番、同じ歌詞を間違って2回歌ったところもありますし。

ー(笑)。それも「ライブならでは」のハプニングですよね。GYAOでは「Don't Worry My Friend」のライブ映像を配信予定なのですが、この曲にまつわる思い出を。

猪狩: その曲は、タイトル通り友だちに向けて歌った曲なんです。「大丈夫。俺はおまえの友達だから、何も心配すんなよ」っていう。今回はそれを、対バンしてくれたバンドに贈るつもりで演奏していますね。あいつらはホンマにホンマの友だちやから。助けてもらうこともたくさんあったんですよ。バンドメンバーが辞めてしまったときも、いろんな人たちがアドバイスをくれたり、バラバラになりかけてた他のメンバーを繋(つな)ぎ止めてくれたり。そういうことがたくさんあったんです。

ー新メンバーを迎えて活動再開するまでは、大変なこともたくさんあったのでしょうね。

猪狩: 大変でしたね。しばらくは廃人のような生活をしていました(笑)。1年近くは昼間から酒浸りで、「うわ、ドラマに出てくる"落ちぶれたキャラ"そのまんまやん」なんて自分で思ってた(笑)。そこから救い出してくれた人たちには、本当に感謝の思いでいっぱいなんですよ。バンドも辞める気でいたんですけど、いろいろな人たちから「アカン!」って、かなり強く言われて......。
ほんと、心の中に土足で踏み込んでくるような勢いでしたよ。「自分だったら、バンドを辞めようとしている友人に対してここまで言うだろうか?」と。それが本当にありがたかったし、そのおかげで「もう一度やろう」って思えたんですよね。

ー2月にはアメリカツアーをおこないましたね。

猪狩: そうなんです。とにかく移動が大変で。全て車なんですけど、もうアメリカでか過ぎ!(笑)州でいうとカリフォルニア、アリゾナ、ユタ、コロラド、ニューメキシコ、ネバダ。カリフォルニアは、日本では秋くらいの天候で、昼間は半袖でも大丈夫だけど、コロラドは札幌みたいな気候なんですよ。1、2日の移動で温度差がそこまであるから大変でした。

ーライブの反応は、日本とは違いました?

猪狩: 違いましたね。中には俺らを待っていてくれた人もいたりして、それがすごくうれしかった。ライブ中はみんな、自由ですよね。日本だと、何か話せばちゃんと聞く耳を立ててくれますけど、向こうは全然聞いちゃいないし(笑)。でも、いざ演奏が始まって、「いい」と思ってくれたらちゃんと正直なリアクションを返してくれるので、それはものすごくいい勉強になりました。今回、オーソリティ・ゼロのオープニングアクトとして回ったんですけど、アンコールをやらせてくれた場所もあったんです。それもすごく感動しました。

ー今後はもっと、海外進出していきたいですか?

猪狩: そうですね。あまり気負わず、ちょっと遠い地方公演に行くくらいの軽い気持ちで行けたらいいなと思います。以前は海外に住んで、海外で活動したいと思ったこともあったのですが、やっぱり日本のご飯おいしいし......(笑)。それに、最近は日本のバンドも海外に負けず劣らずカッコいいですよね。だから僕らは僕らのまま、日本から音楽を発信し続け、そのスタンスで海外でも勝負できたらいいなと思っています。

◆ HEY-SMITH
猪狩秀平(G, Vo)を中心に結成されたパンクバンド。2006年に大阪を拠点にライブ活動を開始し、2009年に1stミニアルバム「Proud and Loud」でCDデビュー。2010年の1stフルアルバム「14 -Fourteen-」を経て2011年にリリースした2ndフルアルバム「Free Your Mind」はオリコン週間インディーズランキングで1位を記録する。2013年5月、2年ぶりのフルアルバム「Now Album」を発表し47都道府県を回るレコ発ツアーを敢行。2014年9月には大阪・泉大津フェニックスにて初の野外開催を成功させた。2015年1月に同イベントの模様を収録したDVD「Live at OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2014」をリリース。メンバーチェンジを経て、現在は猪狩秀平、YUJI(B, Vo)、満(Sax)、Task-n(Dr)、かなす(Tb)、イイカワケン(Tp)の6人体制で活動を行っている。猪狩の座右の銘は、「他力本願」

(取材・文・写真/黒田隆憲)

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