デビュー11年目に突入したMay J.が、これまで数々のアーティストたちと行ってきたコラボレーション楽曲を集めたデュエット・アルバム、『Best of Duets』を3月29日にリリースする。
今回、新たに録音したのは、「NIVEA」のCMソングに異例の抜擢(ばってき)をされた話題の新人、村上佳佑との Duet 曲「Yeah! Yeah! Yeah!」と、なんとMay J.が男女一人二役に挑戦した「めぐり逢えたら (Self Duet of May J.)」の2曲。中でも「めぐり逢えたら」は、PVに"謎のイケメン"が登場し話題となり、なんとそのイケメンの正体はMay J.とわかるやいなや、さらなる注目を集めた。そんなPVの撮影秘話はもちろん、コラボ相手とのエピソードなど本人にいろいろ聞いた。
男女一人二役に挑戦!「めぐり逢えたら」 (Self Duet of May J.)>>
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■ラブソングを歌う間は、歳の差も実際の関係性も忘れて恋人同士になれる
ーデュエット・アルバムを出そうと思った経緯は?
May J.: ありがたいことにこれまでのデュエット曲がたくさん集まってきたので、「それをまとめた作品を出せないかな」と以前から思っていました。デビュー11年目に入ったこのタイミングで、リリースさせていただくことにしました。
ーこうやってまとめて聴かせてもらうと、本当にさまざまなジャンルの人たちとデュエットしてきたんですね。
May J.: 本当ですよね! 最初にご一緒したのはマーチン(鈴木雅之)さんで、当時の私は19歳。しかも人生初デュエットですよ。マーチンさんからのオファーをいただいたんですけど、「どうして私みたいに経験の浅いシンガーと?」ってビックリしました。

ー緊張しましたよね?
May J.: とっても! マーチンさんは大ベテランですし...・・・。実は緊張だけでなく、レコーディングの前日に飼っていた犬が死んでしまうという悲しい出来事があって......。すごくショックで気持ちが落ち込んでいましたが、「この気持ちを歌に込めよう」と思って挑みました。「Endless Love」という、ライオネル・リッチーとダイアナ・ロスの有名な曲で、マライア・キャリーとルーサー・ヴァンドロスのカヴァー・ヴァージョンもあるんですけど、その2曲を家で何百回も繰り返し聴いて、完璧に覚えてスタジオへ行きました。
ーデュエット曲をレコーディングする時は、相手と同じブースに入って一緒に歌うんですか?
May J.: その時に生まれる熱量も大事にしたいので。例えば、本作のために新たに録音した村上佳佑さんとの「Yeah! Yeah! Yeah!」や、クリス・ハートさんとの「美女と野獣」などは、一緒に歌っています。
May J. 「Yeah! Yeah! Yeah! feat. 村上佳佑」>>
ーラブソングをデュエットする時って、ラブストーリーを演じている気分もありますか?
May J.: 確かにありますね!「美女と野獣」とか、それこそ主人公になりきって歌うようにしていますし、マーチンさんとのデュエットも、お父さんと同じくらい歳は離れていますけど(笑)、歌っている時は歳を気にしないというか、そこでは恋人同士のように歌いましたし、マーチンさんも、そういうふうに私に接してくださったので、確かにラブソングの中では、歳の差も、実際の関係性も忘れて恋人同士になれるという部分はあるかもしれないですね。
■ずっとR&Bだけでなく、もっといろいろなジャンルに挑戦したかった
ー和田唱(TRICERATOPS)さんとのデュエットも異色ですよね。
May J.: この曲のレコーディングは2010年頃だったかな。当時、ある番組のエンディングソングに私の楽曲が使われていて、それを聴いた和田さんが「この子、いいじゃん!」って言ってくださったのがキッカケでコラボが実現しました。当時、私はR&Bをメインに歌っていて、TRICERATOPSさんはロックバンドというイメージだったから、「どんな曲になるんだろう」と思っていました。
ーちょっとアーバンなコンテンポラリーソウルに仕上がりましたね。
May J.: そうなんですよ。和田唱さん、マイケル・ジャクソンが大好きですしね。レコーディングで、和田さんと二人でスタジオに入ってセッションしたんです。彼がギターを弾いて、マイケルの曲を一緒に歌ったりして。すごく緊張がほぐれましたね。レコーディングも、すごく楽しかった。TRICERATOPSさんのライブにも出演させてもらったことがあるんですよ。この曲と、アヴリル・ラヴィーンの「スケーター・ボーイ」を歌って、それも楽しかったです。
ーそういう、今まで経験したことのないジャンルにチャレンジできるのも、デュエットの醍醐味(だいごみ)ですよね。
May J.: そうですね。当時、「R&Bだけでなく、もっといろいろなジャンルに挑戦することで、歌い方の幅も広がったらいいな」って思っていたんです。だから、すごく勉強になりましたね。
ーそういうふうに思うようになったキッカケは?
May J.: もともとはR&Bが大好きで、R&Bシンガーになりたいと思ってデビューしたんですけど、当時はまだR&Bを聴く人が少なくて、歌う場所も限られていたんです。それで、もっとたくさんの人が聞きたいと思ってくれるような音楽がやりたいし、そういうシンガーになりたいって思うようになっていったんです。
ーそうやって、表現の幅を広げていったからこそ、「ディズニーソングを歌う」という子供の頃の夢も叶(かな)ったのでしょうね。
May J.: そうですね、つながったのかもしれないです。

ー本作の中でも、クリス・ハートさんとの「美女と野獣」は声の相性がもうバッチリというか、聴いていて安心しますね。
May J.: そういってもらえるとうれしいです。最初は、彼の東京公演で「何かカヴァーを1曲やろう」という話になって、それが「美女と野獣」だったんです。
ークリスのどんなところが好きですか?
May J.: 女性をリードしてくださるのが上手なんです。輝かせてくれる歌い方というのかな。ハモるところは奇麗に寄り添ってくれるし、それでいて自分の「歌」を、ちゃんと持っているところが魅力だと思います。
May J. 「美女と野獣 with クリス・ハート」ミュージックビデオ>>
■今まで自分では使ったことのなかった歌い方や声を引き出してもらえるのが、デュエットの良さ
ー個人的にはフィフス・ディメンションの大ファンなので、ゴスペラーズとのデュエット曲「Up, Up And Away」に感動しました。
May J.: ありがとうございます。当時『PAN AM/パンナム』という海外ドラマがあって、その主題歌が「Up, Up And Away」になり、女性シンガーを入れたいということでお声がけいただきました。
ーコーラスグループとのコラボは、他のデュエットとは違いました?
May J.: すごく大変でした。一つひとつのパートはシンプルなんですけど、声が重なることによって複雑な響きが生まれるんです。村上さんがディレクションしてくださったんですが、それがすごく厳しくて。ピッチとか、声の長さとか、すごく細かく指摘されて苦戦したのを覚えています。コーラスパートの中で私がトップノートでファルセットだったから、長く伸ばすのも大変なんです!
ー他に大変だったのは?
May J.: 西川貴教(TMレボリューション)さんとのデュエット曲「last resort」ですね。デュエットに加えて、西川さんの声にハモリを入れたんですけど、西川さんの声はとてもパワフルで、それに合わせるのは大変でした。例えばビブラートも西川さんの歌い方があって、ちょっとでもズレると、「はい、そこもう一回!」って(笑)。
ー千本ノックのような......(笑)。
May J.: ほんと、特訓でしたよ。シャウトして歌うというのも、これまで経験したことがあまりなかったですしね。でも西川さんから、「いやメイちゃん、こういう曲もっとやった方がいいよ。シャウトしたときの声、すごくいいよ」って言われて。今まで自分では使ったことのなかった歌い方とか、声を引き出してもらえるのもデュエットの良さですよね。
ー「異色」という意味では、Zeebraさん、難波章浩さんとのデュエットが特に異色ですよね。
May J.: 3人で集まった時から、「どんな曲にしようか」と話し合いながら作っていったんですけど、難波さんが歌詞を書いてくださるということになって。彼が思うMay J.のイメージというか、「こういう部分をフィーチャーしてほしい」と思って作ってくださった曲なので、それはすごくうれしいことでした。それと、この組み合わせだからもっとハードな曲調が来るのかなと思ったら、意外と優しくてピースフルなメッセージだったのも印象的でしたね。きっと、難波さんが当時訴えたかったことが入っているのだと思います。
May J. 「ONE MORE KISS / May J.×Zeebra×難波章浩」ミュージックビデオ>>
■注目のセルフデュエット曲「ちょっと違う人格になれるよう意識した」
ーそして、何といっても驚いたのがセルフデュエット曲「めぐり逢えたら」です。この男性役って、May J.さんが歌っているんですって?
May J.: そうなんです(笑)。「自分とデュエットしたら、どうなるんだろう?」という好奇心から作ってみました。でも、あまり低い声は出ないし、「できるのかな」って私だけじゃなく、スタッフもみんな心配していました。いざプリプロをやってみたら、案の定全然ダメで。「どうしよう」ってなったんですけど、エフェクトをかけたわけでもないし、紛れもなく「私の声」です!(笑)
ーそうだったんですね!
May J.: ただ、声色だけでなく歌い方も男っぽくしないと、ただのハモリにしかならなくて......。そこは男っぽく歌う練習をしましたね。レコーディングの前に、久保田利伸さんや三浦大知さんの曲を聴きまくって、ちょっと違う人格になれるように意識して歌いました。特に語尾には気をつけたので、その辺を聞いてもらえたらうれしいです。
ーミュージックビデオの「男役」もMay J.さんなんですよね。これもビックリしました!
May J.: そうなんです。ジャケットの男装は、メイクもしているし「女性が男装しています」っていう感じですけど、PVの方はリアルに男役を演じました。男っぽいカツラを被って、眉毛を太くした以外はほぼスッピンで。服装も、体のラインを隠すためにダボっとさせています(笑)。

ー今後、デュエットしてみたい人はいますか?
May J.: 今ここで名前を出すのは恥ずかしいですけど(笑)、たくさんいます! 女性シンガーとももっとデュエットしてみたいです。すごく世代の離れた方とも一緒に歌ってみたい。
ー改めて、デュエットの魅力とは?
May J.: ちょっと、二人で遊んでいるような感覚ですかね。二人のベストを出し合いながら、お互いを試し合っている場でもあるし、そこでしか生まれない新しいものが発見できる場でもある。そこでのケミストリーが生まれた瞬間は、ソロでは味わえない達成感がありますよね。やっぱり、一人で歌うというのは孤独な作業なので、一緒に歌う人がいるだけでもスタジオが明るくなりますし。
ーどんな人たちに聞いて欲しいですか?
May J.:さっき、ラブソングの話になりましたけど、ロマンチックな曲が多いですし、カップルで聞いてもらえたらうれしい。一緒に歌ったりして楽しんでもらいたいですね。
May J. 「Back To Your Heart」 feat. Daniel Powterミュージックビデオ>>
May J. 「I Believe」 (Japanese Version) feat. V.I (from BIGBANG)ミュージックビデオ>>
May J. 「北極星 ~Polestar~ feat. SHOW」ミュージックビデオ>>
◆May J.
日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち多彩な言語を操るマルチリンガルアーティスト。2006年7月12日、ミニアルバム「ALL MY GIRLS」でメジャーデビュー。2014年公開のディズニー映画『アナと雪の女王』の日本版主題歌を担当し、その歌声でお茶の間人気を不動のものにしている。テレビ・ラジオのレギュラーMCや多数のCM出演でも活躍中。2014年の第65回NHK紅白歌合戦に初出場。座右の銘は、「照千一隅」
(取材・文・写真/黒田隆憲)
トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。
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