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ピアニストの世界は本当に厳しい。
どんなに努力しても、活躍できるのは一握り。「どの世界も同じじゃないか!」とマツコが漏らしていたが、ピアノの世界は、他のどの世界より厳しい。さらに、最近では、弾けるだけじゃダメで、顔やスタイルも良くないと、はっきり言って売れない。だから、楽器を弾きながらセクシー系で行くヴァイオリニストや、モデルのようなピアニストだって、どんどん出てくる。エンターテイメントとしてのミュージシャンでなければならないのだ。

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マツコ・デラックス/Matsuko-Deluxe, Oct 05, 2014 : 「マツコの知らない世界」(写真:MANTAN/アフロ )


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■コンクール受けするといわれる演奏とは?

今回『マツコの知らない世界』の「ピアニストの世界」が紹介したのは、俳優でもある清塚信也氏。
「んむ......どこかで見たことがある......」
そう!2013年の映画『さよならドビュッシー』で、卓越した技術と見事なピアノ演奏を披露し、俳優としても主人公のピアノ教師役で、重要な役を演じていた、あのピアニストである!

番組はいくつかのコーナーに分かれ、その一つに"コンクール受けするか、素人向けの演奏はどちらか"というコーナーで、ベートベン、バッハ、ショパンの作品の抜粋を演奏した。
せっかく弾くのだから、「電子ピアノではなくて、アコースティックのグランドピアノで弾いて欲しかった」というのが正直なところだ。ピアニストは、自分の楽器を持ち運ぶことはないので、その場所にあるピアノで演奏するため、いろんなピアノで演奏することに慣れてはいる。そうは言っても、きっと清塚氏も「電子ピアノか......」というのが、本音だったのではないだろうか。

そして、その問題にマツコが回答するのだが、マツコの音楽の教養の高さを改めて知ることになる。
清塚氏の言う通り、マツコの発言は、コンクール審査員も顔負けで、ピアノを冷静に聞き、音楽を解釈している。要は"耳が肥えている"のである。

ピアノを演奏する時、強弱を多少大げさにつけて、盛り上がりをしっかり提示しながら、メロディを利用してお客の心と駆け引きすると、音楽を聴き慣れていない聴衆は、簡単に拍手してくれ、盛り上がる。
しかし、クラシック音楽は、作曲家が楽譜に記した思いや歴史、時に政治的なメッセージを時代背景とともに、いかに深く読み取り、時代を超えて再現するかが重要で、そこが醍醐味(だいごみ)でもある。
では、「解釈を統一すれば、誰が弾いても同じか?」というと、そうでもなく、その演奏をするとき、演奏者の個性が作曲家と作品に反映されるのだから、またさらに面白みが増すのである。
例えば、映画にはストーリーがあり、監督がいて役者がいる。役者はストーリーを読み、役を自分の解釈で演じる。ここまでは、ピアニストが譜読みをして弾くことと同じだ。
だがピアニストの演奏には、作曲家が生存していてコメントをもらえる現代曲を除けば、監督は存在しない。
作曲家をリスペクトしながらも、自由があり、聴く方にも好き嫌いを言える、選択の自由がある。

■成功率1%のピアニストの現実

話を番組に戻そう。
では、ピアニストの現実について。
世界を飛び回り演奏活動を主にするピアニストは、清塚氏の言う通り、本当に音大卒業生の1%くらいしかいない。
しかしピアノの仕事は、皆無ではない。
それは、大きく2つに分けられる。
教えるか。弾くか。
給料は安いが、大手のピアノ教室に所属して教える。技術の高い者や学歴によっては、大学や高専などの高等教育に携わることができる。そういう場合、個人レッスンでもかなり稼げる。
一方、演奏していくには、厳しい道となるが、仕事がなくはない。
結婚式や葬式、合唱の伴奏や単発のイベントで演奏するか、バレエやオペラを専門に活動する伴奏家という道もある。
ただ、実力の世界なので、安定はないと言っても良いだろう。

芸術の世界は、ビジネスの世界に比べれば、経済的に苦しくなるリスクは高い。
しかし、"人前で演奏すること""時代を超えてタイムトリップする楽しさ"は、自由そのものだ。
作品と向き合うこと、楽器に向かうことで、自分と向き合い、心のコアへ問いかけることができる。
その魂の音楽を聴くことによって、違う角度から、自分を発見することもできる。
そうやって、音楽に影響された画家や彫刻家、建築家、舞踏家など、アーティストは数え切れない。
簡単に手に入らない自由だからこそ、身近にある存在であってほしいと願う。
「音楽は、好き以上に必要なもの」と言う人が増えたら、この国の文化が育ち発展していくだろう。
その意味で今回の『マツコの知らない世界』は、ピアノの世界について、多くの人にその奥深さを示してくれる良い機会になっていたと思う。

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文責:パリ帰りのピアニスト はたじゅんこ
   次世代メディア研究所

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