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沙村広明の人気コミックを鬼才・三池崇史監督、木村拓哉主演で実写映画化した『無限の住人』(4月29日公開)。木村演じる、死ぬことを許されない「無限の体」を得てしまった伝説の人斬り・万次(まんじ)が、運命によって引き寄せられた少女・凜(りん)の敵討ちの用心棒として、壮絶な戦いに挑むアクション・エンタテイメントだ。

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殺陣担当の辻井啓伺氏=木村拓哉主演『無限の住人』(4月29日公開)


トレンドニュースでは、本作を支える技術者たちのインタビューを連載。それぞれの視点から『無限の住人』の魅力をお届けする。
第一回は、本作の最大の見どころともいえる、迫力あるアクションシーンを創造性豊かに作り上げた、殺陣担当の辻井啓伺さんに話を聞いた。

主演・木村拓哉、監督・三池崇史 映画『無限の住人』特報>>


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■100人以上が戦うシーンも全員に殺陣をつけます

――『無限の住人』で辻井さんが担当されたことを教えてください。

辻井:要するに戦いをどうするかを考える役目です。木村さんが戦う際、どう立ち回るか、殺陣や振り付けを考えて作っていく仕事ですね。
三池監督の場合、絵コンテでカット割やアングルは相談して、その中で「ここは5人ぐらい、この場面では10人ぐらい死んでもらいまいしょう」といった話し合いをしました。そのあと、木村さんとも確認しながら立ち回りを完成させます。

――本作ではどういったコンセプトで作っていったのでしょうか?

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殺陣担当の辻井啓伺氏「いろいろな武器が登場するのが特徴」


辻井:この作品は、なんといってもいろいろな武器が登場するのが特徴。武器が出来上がったあと、実際使いながらひたすら動きを研究しました。三池監督は、例えば戸田さん演じる乙橘槇絵(おとのたちばなまきえ)の持つ、三節棍(3本の棒を鎖で連結した武器)だったら、どこまでをCGにして、どこからを実写にするのかを考えていました。でも、基本的に三池監督は吹き替えが好きではない方なので、役者がアクションを演じるんです。だから僕らは、どうやったらリアリティが出るのかを研究しました。剣と剣との戦いは、映画でも何十年もの歴史がありますが、本作のように武器によって戦い方が変わる映画というのは、僕らにとっても、とてもやりがいのある仕事でした。楽しかったです。

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戸田恵梨香演じる乙橘槇絵が扱う三節棍(3本の棒を鎖で連結した武器)


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アクションにリアリティーを追求


――劇中では、木村さん演じる万次が100人近くの敵と戦う壮絶なシーンがありますが、全ての人に殺陣をつけるのでしょうか?

辻井:今回は全カットに対して全員演出しました。やり方としては、アングルが決まってから、どう動くかという場合と、役者さんが動くので、それにあわせてどうカット割するかなど、いろいろあるのですが、三池監督はお芝居を重視される方なので、現場でプラスアルファされることは多いです。ある程度の形は作っていくのですが、役者の一手目で全部ぶっ飛ぶこともあります。臨機応変に対応していくことが必要ですね。

■過酷なシーンでも、リアリティを追い求めなくては意味がない

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殺陣担当の辻井啓伺氏=木村拓哉主演『無限の住人』(4月29日公開)


――今回の殺陣のシーンは、足場も悪く、かなり過酷なシーンが多かったように感じます。

辻井:映画監督ってSが多いので、役者さんを追い込んで、余計なことを考えさせずに集中させることをよくやりますよね(笑)。一方、役者さんってMが多いのか、監督の要求に応えようと頑張る人が多い。三池監督は原作に対するリスペクトが強い方で、世界観を大切にしています。そんな中、僕らは、わざわざ実写でやる場合、二次元じゃないリアリティを追い求めなくては意味がないと思っているので、漫画原作の方が、難易度が高いぶん、やりがいはあります。

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木村拓哉主演『無限の住人』(4月29日公開)


――木村さんが演じる万次は、不死身であるものの、完全無欠の強さを誇っているわけではありませんね。

辻井:弱いんじゃないかって思うぐらいやられますよね(笑)。まあそれは敵が強いからなんですけれど。それでも諦めない、思いが負けていないと画面から伝わってくるのは、木村さんのお芝居のすごさなんだろうと思います。

■木村拓哉はやっぱりスター!

――殺陣をつけていて、木村さんにはどんな印象を持ちましたか?

辻井:すごく真面目に、貪欲に現場に臨まれる方ですね。中でもやっぱり「スターだな」って思いました。映り方をわかっている。今回、初めて見るような武器もあったのですが、見せ方がすごく格好いいのです。この武器だったらこういう風に見せるのがいいとか、こう構えたらどうフレームに収まるのかまで、考えてやっているんです。ワンカットで何十人も斬ったあと、止まってカメラを見るポーズがしっかりフレームに収まっているのなんて、やろうと思ってもできることじゃないです。

――そういったスター性というのは天性のものなのでしょうか?

辻井:そういう生き方をしてきたんじゃないですかね、SMAPさんというのは......。普通の人ではわからない木村さんならではのスター性なのだと思います。

――木村さんの他の出演者も、主役級の輝きを持った方ばかりです。

辻井:そうでうね。みなさん主役級なので、それぞれ違う面白さはあります。お互いのぶつかり合いは、はたから見ていてドキっとしました。お互い本気で負けたくないという気持ちが戦いに出ていて、映像的には万次が勝つのですが「負けてたまるか!」という役者さん同士のぶつかり合いが生で感じられるのは、殺陣をつけていても楽しいです。

――辻井さんから見た映画『無限の住人』の魅力を教えてください。

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福士蒼汰が演じる天津影久=木村拓哉主演『無限の住人』(4月29日公開)


辻井:役者さん同士、見せようと思ってぶつかり合う姿は、迫力があります。木村さんが中心となって他の役者さんを引っ張っていて、最後の戦いなどでは、(天津影久演じる)福士(蒼汰)くんもすごく格好いいんです。木村さんという方は、自分だけ格好いいんじゃなくて、対峙(たいじ)する相手も格好よく引っ張っていく力があるんですよね。そういう部分も見て欲しいですね。

(取材・文・撮影:磯部正和)

トレンドニュースでは、本作を支える技術者たちのインタビューを連載。
第2回は、キャラクターを総合的に形作る役割を担うキャラクタースーパーバイザーの前田勇弥さんにお話を伺います。
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辻井啓伺(つじい・けいじ)
スタントマンや殺陣師としてさまざまな作品に参加。三池崇史監督作品は本作のほか、『妖怪大戦争』(05年)や『クローズZERO』シリーズ(07/09年)、『十三人の刺客』(10年)、『一命』(11年)、『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』(14年)、『テラフォーマーズ』(16年)など。

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

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