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初回視聴率14.5%と好調なスタートを切った『警視庁・捜査一課長』。
400人以上の精鋭集団たる捜査一課を束ねるリーダー・捜査一課長大岩純一を内藤剛志が演ずる。「ヒラから成り上がった最強の警部」というサブタイトルがついているが、沈着冷静で情にも厚い正義漢である。
もともとは単発の2時間ドラマとして12~15年までに5回放送し、好調な視聴率を受けて去年春クールに連続ドラマとなった。
多数の捜査員を動員して行う"大捜索"で目標物を探し当てる能力に長けた"見つけのヤマさん"小山田大介(金田明夫)、洞察力と直感力に優れた女性刑事"大福"平井真琴(斉藤由貴)に加え、シーズン2から田中圭が大岩一課長の運転担当刑部・刑部公平(ぎょうぶこうへい)として参加している。

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提供:アフロ


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スピード感のある"展開"

第1話は初回2時間スペシャルで、ゲストに国生さゆり、高橋ひとみ、渡辺えりの豪華キャストの熱演に加え、ミッツマングローブ、さらには単独初出演のペコの出演など、田中圭のレギュラー参加に加え、見どころ満載だった。

展開はドラマ冒頭から、スピード感ある衝撃の展開で始まり、飛ばしまくりだ。
捜査一課長・大岩純一(内藤剛志)は、10年前に起きた事件の殺人容疑で中谷静江(渡辺えり)を逮捕していた。ところが服役を終えた彼女は、出所後に突然再審を申し立て、冤罪(えんざい)を主張。大岩は自身の判断を確信していたが、マスコミは誤認逮捕を疑い、大きなスキャンダルとして大岩を追い詰め始めた。
そんな中、東京日本橋で新たな殺人事件が起きる。大岩は、捜査一課の新人の巡査部長、刑部公平(田中圭)を運転手とし、公用車で現場に到着。被害者の東田加代(安藤裕美)は、初の女性総理候補と言われている国会議員の松宮玲子(国生さゆり)の私設秘書だった。大岩はすぐに、特別捜査本部を設置し、庶務担当管理官の小山田大介(金田明夫)と、現場資料班・主任の平井真琴(斉藤由貴)らが捜査を開始。被害者の所持品を操作するうちに、なんと、10年前の殺人事件の凶器のスパナが、日本橋で相次ぐ殺人事件の凶器であることが発覚!
犯人は、中谷静江でないとしたら、一体誰なのか。

新進気鋭の"音楽"

初回2時間スペシャルという映画なみの第1話を初め、この大作シリーズの音楽を手掛けるのは"若手実力派クリエイター"の山本清香だ。
幼少からピアノとエレクトーンを習い、東京芸大の作曲科出身。大学時代からすでに演奏活動、作曲も手がけており、クラシックにとどまらず、ジャズ、映画音楽、ポップスなど、幅広い才能を持ち合わせる。今や世界的作曲家、坂本龍一氏の後を追うかのようだ。

劇中音楽は、捜査一課長のイメージにリンクする、ドラムセクションを生かしたスピード感、オーケストラの雄大な迫力、ストリングスのキレのある切迫感、東京の街にピッタリなドライなジャズサックスなど、さまざまな引き出しを駆使し、盛り上げる。
大岩のイメージとジェームスボンドは結びつかないが、冒頭で流れる、"007"風な音楽は、刑事系ドラマの定番なのだろう。インパクトがあって、映画が始まる時のワクワク感を誘う。そして大岩が捜査現場に向かうシーン。ハイヤーを走らせるフルスピードに乗って、ドラムのリズム、ストリングスのハーモニーの上をジャズサックスが軽快なメロディを奏でる。視覚的スピードと聴覚的スピードが交差し、躍動感あふれる演出となっている。
ただシーンとイメージに合った音楽は素晴らしい演出だが、少々音楽が喋(しゃべ)りすぎな印象も否定できない。ドラムベースに、ミステリー的効果のあるストレスフルな音楽も豊富だが、欲を言えばどこかにドキっとするような沈黙がほしい。猛ダッシュで駆け抜けながら、「えっ! そんな展開?」と思わせる急ブレーキがあれば、より一層の効果的な演出が得られるだろう。

最大の売りは"哲学"

テレビ朝日のドラマは、木曜8時が「木曜ミステリー」、水曜9時が「刑事ドラマ」として定着している。例えば前者は『科捜研の女』『京都地検の女』、後者は『相棒』『警視庁捜査一課9係』など、シリーズ化した警察ものが大半だ。その分、定番化によるマンネリというイメージが伴う。

ところが『警視庁・捜査一課長』には、事件解決に向かって犯人が割り出されていく中、大岩の正義感と哲学が語られ、その潔さに爽快感が伴う。これが当ドラマの最大の魅力ともいえる。

例えば大岩が、捜査一課長になることを夢見る刑部公平(田中圭)に対して、「相手が感情的な時こそ、冷静を保て」「弱い者はうそをつくが、権力のある者のうそは許されない」など、シンプルなフレーズには貫き通すべき強い信念が感じられる。
大岩が誤認逮捕を疑われ、進退伺を刑事部長(本田博太郎)に提出した際にも、部長は「組織とは個人の集まりだ。個人を守れないリーダーが、組織を守れると思うか。大岩、捜査のことだけを考えろ」と、その進退伺をその場で破り捨てる。

「ヒラから成り上がった最強の警部」というサブタイトルの当ドラマは、明らかに"組織とはどうあるべきか"を声高に訴えており、現実の多くの会社や組織がそうなっていないだけに、多くの視聴者の共感を呼んでいるのだろう。

こうした哲学は、エンディングでは弱者に対しては人間味ある優しい哲学となり、犯人に対しては容赦ない厳しい哲学として語られる。
大岩を窮地に追い込んだ10年前の犯人・中谷静江(渡辺えり子)に対しては、「あなたのうそは、いつも誰かを庇(かば)うためのうそでした。これからは自分のために本当のことを言ってください」。そして真犯人たちに対しては、「自分の欲望のためにつく醜いうそ」と断罪する。
凛とした哲学を前提にしながらも、こうした硬軟とりまぜたフレーズが、出演者は一見地味ながら強い人気の秘密となっているのだろう。
視聴者は新人の刑部公平(田中圭)に自らを重ねることで、犯人を見つける謎を解く楽しみと、捜査一課長の哲学を学ぶこともできる。社会人となり世の中の裏も表も経験してきた人々にとっては、見どころ満載のドラマと言えよう。

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文責・パリ帰りのピアニスト はたじゅんこ
   次世代メディア研究所

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