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『逃げ恥』『タラレバ』に続く、マンガ原作ドラマ『あなたのことはそれほど』第1話が初回拡大で放送された。
アラサー女子の結婚をテーマにしたドラマはジューンブライドがある春クールに最適のように思えるが、このドラマは今までのラブコメとは一味違い、大いに期待できそうだ。

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波瑠, Apr 11, 2017 : ドラマ「あなたのことはそれほど」会見(写真:MANTAN/アフロ)


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■「優しすぎる夫」と「忘れられない運命の人」で揺れ動く心

眼科クリニックで受付事務として働く三好美都(波瑠)と、ものもらいの治療に来ていた患者の渡辺涼太(東出昌大)。涼太が美都に一目惚(ぼ)れし、二人は交際を経て結婚する。涼太は、インテリアデザイン会社の総務部勤務。趣味は料理で、優しい。
美都は "条件のいい安心できる夫"にプロポーズされ結婚し、毎日の生活にどこか物足りなさを感じながらも、いつか占い師に言われた「2番目に好きな人と結婚した方が幸せになれる」という助言を守り、幸せなのだと自分に言い聞かせるように暮らしていた。

ところがある日、寝室で先に寝ていたところ「有島くん」と寝言でつぶやいたところを涼太に聞かれてしまう。
実は中学生の頃に好きだった有島光軌(鈴木伸之)のことを忘れられず、いつか会える日のためにと、有島に言われた美都の「細い腕」をキープするためのダイエットをしていたのである。いっぽう穏やかで優しい涼太は美都の寝言を聞いてから嫉妬心を抱くようになり、1日に何度もラインをしたり美都の携帯をのぞいたりするようになった。
そして前の職場の女友達と飲み会に行った日。途中で抜けた美都はダイエットを中断し、一人でハンバーガーショップに入ったところで偶然にも一人で来ていた有島に出会ってしまった。

美都と有島は、叶(かな)わなかった2人の気持ちを再びつなぎ合わせるように時間を取り戻していく。
そして2人はそれぞれ夫と妻がいながら、ある一線を越えていく......。

■波瑠がW不倫の役に挑戦! そして東出昌大がマザコン夫を好演!?

主演の波瑠は2015年のNHKドラマ「あさが来た」でヒロインを演じ、その後ドラマに出演。今年の新春ドラマ "ドラマ10"「お母さん、娘をやめていいですか?」では、毒母を持つ娘役を見事に演じ好評を博した。その正統派のイメージをこのドラマでは一変してW不倫の役を演ずる。
同じくNHK連続ドラマ小説「あまちゃん」や「ごちそうさん」で好評だった東出は、涼太という役を通して "いい人"で安心する人柄でありながら、妻への強い思いからだんだんと豹変(ひょうへん)していく役となった。1990年代に大ヒットした『ずっとあなたが好きだった』の狂気じみたマザコン夫・冬彦さん(佐野史郎)を彷彿(ほうふつ)させると、早くもネット上では話題になり始めている。

今シーズンのドラマを見渡すと、前クールで共演した俳優たちがまたも共演するケースがいくつかある。
例えば『お母さん、娘をやめていいですか?』で共演した波瑠と麻生祐未が今回は親子の役で出ている。違ったドラマで新たな演技と異なる一面を見るのも面白い。そして恋愛モノだけを見ると、初回からキスシーンが目立つ。はやりなのだろう。マンガ原作でありながら、今シーズンの傾向があるのかと思わせるストーリー展開は興味深い。

■作曲家のこだわり

ドラマ音楽は若手作曲家の兼松衆氏が手がけている。
ドラマのシーンを尊重し、シーンに合わせた都会的なライトな音楽が聞き心地が良い。冒頭の結婚式のシーンでは、軽快な8ビートのリズムにピアノが特徴的なモチーフを乗せて、盛り上がりと共にシンセのオーケストラをプラスしていく。スタンダードな手法と言えるが耳なじみが良い。このピアノが奏でるモチーフをテーマとして、シーンが変わるごとにモチーフも少しずつ形を変えながら、いろいろなパターンで展開している。
美都の"初恋と失恋"を描くときは、アコースティックのピアノとヴァイオリンが緩やかなワルツを奏で、頭で聞くより心で聴く音楽を投げかける。涼太の嫉妬心が芽生えるシーンでは、抽象的で心のグレーな空間を不協和音で演出しているが、ハモらない数々の音は意図的に選ばれ、不協和音なのに汚くない。
兼松氏がピアニストであるからか、そのピアノはサティやドビュッシーなど印象派と近現代の音楽の香りがほのかに漂う。ドラマ音楽の中に作曲家の好きなものがこぼれ落ちていて、耳で拾い掬(すく)うのも楽しみの一つになる。

「よくあるラブコメか......。またマンガ原作......」と見くびってはいけない。
確かに主人公の仕事や結婚など日常を描いているが、結婚生活の中で不倫に溺れていくどうしようもない恋心。妻への嫉妬に捉われて行く夫。誰もが持ちえる負の心を、このドラマは巧妙に描いている。
その意味で、「幸せをつかむの? つかめないの?」と幸せばかりを追い求めてきたラブコメとは一味も二味も違う。
きっと最終回では「気軽に見ていたつもりが、なんだかハマっちゃった!」ってことになりそうだ。

淡い思い出の初恋はW不倫を経て、本物の思い出になることができるだろうか。
2番目に好きな夫との本当の幸せはあるのだろうか。
最後まで見届ける価値がありそうだ。

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文責・パリ帰りのピアニスト はたじゅんこ
   次世代メディア研究所

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