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『テッペン!水ドラ!!』は、2015年秋改編でGP帯(夜7~11時)ドラマを、深夜枠ならではのエッジが効いた新しい企画の開拓や、次世代のドラマクリエイターの発掘・育成を目指す観点から始まった。
2015年にオダギリジョー主演『おかしの家』で始まり、前田敦子『毒島ゆり子のせきらら日記』で最高視聴率2.5%を記録した。他に松井珠理奈(SKE48)『死幣-DEATH CASH-』、剛力彩芽『レンタルの恋』など、尖(と)がったドラマを中心に放送してきたが、今回の『3人のパパ』はハートフルコメディと大きく路線を変えてきた。
ただしコメディとはいえ、実はアイデア満載の志が尖った作品である。

サムネイル

親子 イメージ画像(写真:アフロ)


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■アイデア1: イケメンがイクメン

ルームシェアをして暮らす3人のイケメン男子の家に、突然赤ちゃんがやってきた!
平林拓人(堀井新太)は遅刻魔のサラリーマン。拓人が帰宅すると部屋の中で赤ちゃんがスヤスヤと眠っていた。そこには「しばらく預かってください。あなたの子供です。」と名のないメッセージが残されていた。
ルームメイトの一人、羽野恭平(山田裕貴)は大手商社に勤めるエリートで、婚約者の高橋るい(相楽樹)と交際中だが合コンで知り合った何人かとひそかに浮気していた。
もう一人のルームメイトの岡山朔(おかやまはじめ)(三津谷亮)はアパレルブランドで働き、クールでマイペース。センスが良く中性的なので女性にモテるが「女性に興味がない」と言う。

突然現れたベビーに仰天しながら誰が父親なのかを話し合うが、みんなそれぞれ心当たりがあり誰も現実を受け入れない。それどころか責任逃れをし、赤ちゃんの存在さえも隠そうとする。
ところが泣きやまない赤ちゃんのオムツを替え、発熱した赤ちゃんをついに「ほっとけない!」と拓人が心を決め看病し始めると、恭平も朔も手伝うのだった。
ドラマ制作の意図はイケメンをイクメンにするだけでなく、今ドキの男をイクメンに育てようとしているな、これは!

■アイデア2: コメディなのにドキュメンタリー?

深夜のコメディなら軽いノリでいきそうな気もするが、3人にそれぞれドキュメンタリー・タッチでインタビューするシーンがあり、構成としては斬新で新鮮だ。
セリフや演技に込めるのではなく「知りたいところはインタビューで聞いちゃおう」という思い切りの良さ。シーンの切り替えもわかりやすく、全く飽きさせない演出がおもしろい。

番組ホームページで松本友香プロデューサーは「ゆとり・さとり世代」が恋にも愛にも無関心で無責任であることに不安を抱えていた。命の象徴である赤ちゃんとイマドキの若者を掛け合わせることで "愛と生"の大切さを投げかけられないか、と言う強いメッセージを語っていた。
やっぱりイケメン男子の軽薄さに対する女からの挑戦状だ。でも「意識を持って命の責任を負う」という重いテーマだからこそ、コメディタッチにしている。心憎い!

■アイデア3: 物語のテンポを音楽が後押し

音楽を手掛けるのは、世武裕子。パリ帰りの作曲家、ピアニスト、ボーカリスト、と多彩な才能を持った若い世代だ。
冒頭から3人の男子が、起きるシーンではドラムがきいたリズミカルで軽いノリ。朝のシーンにぴったりだ。
センスの良い朔の起きがけシーンには無駄のないスタイリッシュなハウス系ジャズ。ここには作曲家の音楽スタイルが反映されているのだろう。

冒頭の3人が、それぞれの目覚ましで起きるところから仕事をこなし、赤ちゃんの出現までスピード感あふれるロック系のリズムに、ドラマ音楽っぽさを取り入れたシンセのオケを駆使し一気に展開が進む。拓人の心の動揺や気持ちの変化にも音楽が繊細に寄り添う。しかもインタビューでは、あえて無音にすることで質問と答えのリアリティを生かしている。ドキュメンタリーの重みが良く分かっている!

一つ残念なのは、世武裕子氏の個性あふれる独特の世界が音楽の中にあまり見られないことである。
曲を書く上でドラマ音楽という材料が決まっているので、ある程度の制限はある。だがせっかく書くのなら、シーンとのリンクはもちろん大事だがアーティストとしてのスタイルをもっと前面に出してもいいように思える。
抑制されて映像に音をつけるのなら誰が書いてもあまり変わらなくなってしまうのだが......。

■アイデア4: 評価は男女で両キョクタン!

放送後のネット上の感想・評価の声が面白い。

まず男たちは、非難ゴーゴーだ。

「この枠で初めから興味がないのは初めてかも」
「やっぱり興味ないや。すまんね」
「毛嫌いせずに暇なときみてみようかなあ」
「医者に連れて行けよ・・・」

正反対に、女たちは評価マンテン。

「予想以上に面白い。3人の掛け合いには、面白さだけじゃなく、安心感も」
「初めから泣くとは思わなかった(中略)赤ちゃんかわいすぎる」
「30分あっという間~!テンポもよく面白かった」
「赤ちゃん癒される!可愛い。来週も楽しみ~~(^ω^)」

......この男女の受け止め方の差は、間違いなく松本プロデューサーの狙い通りの結果だろう。テレビ番組は毀誉褒貶(きよほうへん)が激しいほど名作という。視聴者の反応も織り込み済みでいろいろなアイデアをちりばめて行くのは脱帽だぁ!

ところで赤ちゃんの父親はいったい誰なのか。
子供という、大事に育てなければ消えてしまうはかない命を3人の若者がおのおの責任として受け止め、命に対する価値観を変えることができるのだろうか。
女性だけでなく、ぜひイケメン気取りの男たちに見てもらいたいドラマだ。
ドラマの展開とともに、視聴者の今後の変化に注目したい。

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文責・パリ帰りのピアニスト はたじゅんこ
   次世代メディア研究所

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