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テレビ朝日「金曜ナイトドラマ」(夜11時台放送)は、2000年春に同局が連続ドラマ枠のテコ入れのため、GP帯のドラマ枠を廃止して新設したもの。『トリック』シリーズ・『特命係長 只野仁』シリーズを初め、『OLヴィジュアル系』シリーズ・『スカイハイ』シリーズなど、数々の話題作がある。
特に『特命係長 只野仁』は第2シリーズの視聴率が14.1%・第3シリーズ14.3%と深夜にも拘らずGP帯を超える実績を残した。深夜ドラマに火をつけた枠と言えよう。
過去3年で見ると5~9%台を推移しているが、GP帯ドラマの数字もかなり傷んでいるため毎クール数本の視聴率を凌駕(りょうが)している。

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剛力彩芽, Apr 17, 2017 : ドラマ「女囚セブン」の制作会見(写真:MANTAN/アフロ)


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今クール同枠『女囚セブン』の主役は剛力彩芽。
この1年、夜11時台のドラマで主役を張り続けている。『ドクターカー ~絶体絶命を救え~』(16年春・日テレ系)・『グ・ラ・メ~総理の料理番~』(16年夏・テレ朝)・『レンタルの恋』(17年冬・TBS)に続く登板で "夜の女王"の異名が付き始めている。

■壮絶なプリズン・サバイバル

今回は女囚に挑戦だ。魑魅魍魎(ちみもうりょう)の女子刑務所で頂点(トップ)に君臨すべく、山口紗弥加、トリンドル玲奈、平岩紙、橋本マナミ、木野花、安達祐実らと繰り広げる壮絶なプリズン・サバイバルが展開される。

初回は以下の通り。
「受刑者は、真摯(しんし)に更生しようとしている。ピンクの制服で女性らしく明るく、塀は低く、女性に優しい刑務所を!」と法務大臣の内藤裕次郎(高嶋政伸)が演説する。
そんな中 "現代的で平和、模範囚ばかり"と言われる『花園刑務所』でサイレンがなる。脱獄犯"野獣"こと山川まお(山崎静代)が逃亡を試みる。
刑務所の脱獄にあと少しというところで、敷地内に収監された神渡琴音(剛力彩芽)が乗るバスに衝突し脱獄は失敗に終わる。

刑務官に罪状を問われた琴音は京都弁で「殺人どす」と一言。
新しく"共同室"と呼ばれる部屋で、琴音は6人の受刑者と過ごすことになる。
遺産目当てでじいさんを殺しまくった"エロ女"津田桜子(平岩紙)、悪徳政治家の秘書"ヅカ"楠瀬司(山口紗弥加)、患者を殺した元ナースで体は全身整形"ナース"矢島千鶴香(橋本マナミ)、旦那を殺した育児ノイローゼ" 元ヤン"市川沙羅(トリンドル玲奈)、介護疲れで旦那を殺した"ウメボシ"平塚うめ(木野花)、自称無銭飲食犯で刑務所情報屋の坂本奈津(安達祐実)がメンバー。

琴音は "芸妓を殺した芸妓"と週刊誌にも報道され、新人イジメの的にされる。
落とし穴にハメられ臭い肥料をかぶる、トイレ掃除、うそのラブレターを出され女囚に襲われる、ゴキブリを食べさせられる、とその嫌がらせは後を絶たない。

イジメられる琴音に声をかけ親切に寄り添う奈津は、実はイジメの共犯者で実行犯でもあった。
奈津の動きを捉えていた琴音は奈津の知られざる過去と心内を見抜き、脱獄に失敗した"野獣"が逆恨みして襲いかかるところを見事にかわしケリをつける。
琴音が冤罪(えんざい)であるにもかかわらず、罪を認め刑務所入りしてきたのはなぜなのか......
壮絶なプリズン・サバイバルの幕が切って落とされた。

■ベテラン脚本家の言葉の力

今クールのドラマでは警察官を描く刑事ドラマが多い。
その中にあって女囚に的を絞り、笑いありのストーリーは斬新だ。

脚本を手掛けるのは西荻弓絵。
かつて93年に大ヒットした『誰にも言えない』では、"マザコン""ストーカー"という言葉を世に広めた。主題歌のユーミン『真夏の夜の夢』もミリオンセラーと話題を呼んだ。
その後、数々のドラマを手がけ、『ケイゾク』『SPEC』ではドラマアカデミー賞脚本賞を受賞するなどスゴ腕の持ち主だ。

今回のドラマでもその実力は随所で現れる。
新人受刑者のための説明会のシーンでは、DVDに出演する囚人のモザイクがズレている所で「そもそも同じ人間なのに隠す必要ありますか」と刑務官が答える。笑いどころのシーンにちょっとしたメッセージを投げ入れる小技はベテラン脚本家の粋と言えよう。
またラストシーンでは、ずっと沈黙を続けていた琴音が奈津の過去と心の深い傷を見抜く。琴音の長いセリフには、数々の力強い言葉が登場し視聴者をぐっと引き寄せる。
京都弁で見事に演じた剛力彩芽のスゴさも見どころのひとつ。

■天才的な音楽のクオリティ

劇伴(ドラマの伴奏音楽)担当はスキャットマン後藤。
たくさんの引き出しからクオリティの高い音楽を惜しげもなく披露し、ドラマに豊かな色付けをしている。
例えば冒頭の脱獄シーンは、ハードロック系でパンチの効いたパワフルなオープニングに仕立てた。
脱獄に失敗した女囚を運ぶシーンでは、ピンクフロイドを思わせるスモークやエフェクトをかけたロックを楽しめる。

エレクトロからレゲエ、モダンジャズ、ヘビメタを用いて、三味線とロックの融合もとても聴きごたえがある。さらに心境を見抜いた心理的描写のシーンで流れるピアノの芸術性には脱帽だ。
「大丈夫か?」と思うほど音の数が少なく、劇伴としてでなく現代音楽としても十分作品性を持つ。

ストーリーが刑務所での女囚たちのサバイバルということもあり、ハードロック系のごっつい音楽をベースに「どのジャンルももってこい!」という作曲者の声が聞こえてきそうだ。
とにかくシーンに合わせたその場しのぎの音楽は一切ない。ドラマ作品のイメージ、登場人物のキャラクターを塾考した仕事ぶりはスゴイ。そして何より音楽がカッコイイ。
劇伴としての役割を十分に果たし、単体の作品としても成り立つ音楽性の高さは、スキャットマン後藤の音楽知識と教養の豊かさを証明している。

金曜の深夜にミステリーでありながら、気を張らずに見られるコメディとなっている当ドラマ。
しかも西荻弓絵の言葉の力、スキャットマン後藤の音楽の魅力、そして剛力彩芽の演技力と脇を固める女優たちの多様な魅力。一週間の終わりに楽しめるドラマになること間違いなしだ。久しぶりに同枠が二桁を獲る可能性を強く感ずる。

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文責・パリ帰りのピアニスト はたじゅんこ
   次世代メディア研究所

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