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演出振付家MIKIKO。
パフュームの楽曲振付の他、去年は「リオ五輪閉会式 東京2020 フラッグハンドオーバーセレモニー」の演出、TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のエンディング"恋ダンス"振付などで一役有名になった。
そんな彼女に密着したのが『情熱大陸』(4月23日放送)だった。

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MIKIKO, Mar 13, 2017 : 「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'16/第22回AMDアワード」の授賞(写真:MANTAN/アフロ)


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■独学ゆえのオリジナリティ

東京生まれのMIKIKOは、2歳の時に父の転勤で広島に移り住んだ。
高校2年で始めたダンスの才能は抜きんでていた。数々のダンスコンテストで優勝を飾り、22歳で「アクターズスクール広島」のインストラクターとして活動を開始。
当時小学校5年生だったパフュームは、この時からの生徒である。

28歳の時に転機を迎える。初めて手掛けた舞台で「誰かを輝かせることの魅力に取りつかれた」という。
その後、アメリカの舞台演出を学ぶためニューヨークへ。そして帰国後、多くのアーティストのプロモーションビデオや、映画・CMなどの振り付けを手掛けるようになった。
特にパフュームと一緒に、次々と大きなステージを経験したことが大きかったようだ。

今や音楽アーティストやCMからのオファーは引きも切らないほど超多忙。
「息を止めて走り続けている感覚」を味わうほどの忙しさだという。
それでもMIKIKOは、どんなに忙しくても自身が主催する「ELEVENPLAY」のレッスンを毎週必ず続けている。自分の好きな曲を選び、好みの振りを付け伝えているが必ずしも発表を前提にしていない。
「自分の趣味は何だっけって立ち返らないと、怖いなっていう気持ちがなんかいつもあって」という。レッスンのためだけの振付が、彼女の創作の原点となっている。

振り付けと演出において、MIKIKOには特定の師匠がいない。すべて独学でやって来た。
自分の感覚に忠実で、かつ「相手を輝かせたい」「最後の1ミリまでこだわって美しさを引き出したい」という強い思いが、彼女の振付や演出のオリジナリティになってきた。

■振付誕生の瞬間

今回の『情熱大陸』の圧巻は、パフュームの新曲「TOKYO GIRL」の振付を創り出す瞬間を撮ったシーンだろう。

レッスンスタジオに座り込み「TOKYO GIRL」を何度も何度も聴きながら、ひたすらメモを取り続けて2時間。ようやく動き出した。
さびの部分の歌詞は「踊れ Boom Boom TOKYO GIRL」。
彼女のメモでは、歌詞の上に記号がつけられる。音の抑揚を示すそうだ。そして歌詞の下にはハンド・サインが記される。これが振付の大まかなイメージとなる。

「ちょっと出来そう。今から動きます」
鏡を前に、顔や指先などの角度を細かく変えながら、最も美しく見えるポーズを探し続ける。特に「TOKYO GIRL」のところで、TとGのカタチにポーズするが、納得するまでいろいろ試し、1時間以上を費やした。

さらにイメージが出来あがったところで、パフュームと同じようにヒールを履いて感覚を確かめる。
「パフュームの振りの場合は、ダンスの振り付けというよりは、声を動きにしたり、音を動きにしたりというのが何時もの振り付けより濃いから抑揚に忠実にしないと、と思っています。先に体を動かすとダンスになっちゃうので」

実はこのロケでは、MIKIKOが鏡の前に立った瞬間から撮影スタッフは退室した。定点カメラで孤独な作業を撮り続けた結果、映像化されている。構想が形を成し始めるのは現場が前提。そうした創作の瞬間を捉えた貴重なシーンと言えよう。

それでも振付師の仕事はここで終わりではない。振りを付けた相手が完全に自分のものにするまで続く。
ただし「その瞬間が何よりうれしい」という。

■世界に通用する日本のパフォーマンス

番組後半は、ドイツ・ハノーバーで開催された世界最大級のテクノロジーエキスポ「CeBIT」となる。
オープニングセレモニーで日本はショーを披露することになったが、MIKIKOが総合演出を託された。
彼女が主催する「ELEVENPLAY」と、エモーショナルで自由なダンスを得意とする森山未來が踊る。そこに最新テクノロジーがシンクロし、斬新な表現を見せることになっていた。

タイトルは「Breathing with BIT」。
映像・音楽・光・ダンスが寸分たがわずシンクロしたパフォーマンスとなった。
観客からは称賛の声。「パフォーマーはとてもしなやかで素晴らしかった」「デジタル化と未来のテクノロジーをうまく描写した素晴らしいショー」「日本がとても革新的な国だという印象を受けた」

番組最後には、MIKIKOの本音も紹介される。
「みんなを良く見せようと演出しているつもりだが、結局は自分たちの魅力をガーって皆が出してくれて、それを作った私がうっとりして見られるって、最高に幸せなことだなって思います」

正味23分ほどに、一人の実存をギューッと凝縮する当番組。
この1年でも「土屋太鳳(つちやたお)」「羽生結弦」「林家たい平」など数々の名作があった。その中にあっても、映像・音楽・光・ダンスが交錯する数々のシーンを見事に編集し、しかも創作の原点にきっちり迫った今回は、いつもになく秀逸だったと言えよう。

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文責・次世代メディア研究所

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