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日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞を受賞するなど唯一無二の存在感を示す女優・安藤サクラ。そんな彼女の最新作は、高倉健をはじめ映画スターを撮り続けてきた降旗康男監督×木村大作キャメラマンという日本映画界のレジェンドが16度目のタッグを組んだ、映画『追憶』(5月6 日公開)だ。降旗監督が安藤の出演を熱望したというエピソードが語られると「監督が私のことを知っていたという事実にビックリ」とおどけてみせたが、それほどまでに「雲の上の存在」である人の現場で得たものはなんだったのだろうか。安藤に話を聞いた。

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安藤サクラが出演する映画『追憶』(5月6 日公開)


■まさか自分が降旗監督や木村さんの絵の中に入るとは......

――降旗監督×木村キャメラマンという偉大なる方たちの現場でしたが、経験してみてどんなことを得ましたか?

安藤: まさか自分が降旗監督や大作さんの画の中に入るということは想像もしていなかったので、すごく緊張したというのが正直な感想です。そして撮影が終わってしばらくたった今でもその緊張感は続いているんです。

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安藤サクラが出演する映画『追憶』(5月6 日公開)


――その緊張感というのはどんなものなのでしょうか?

安藤:映画の歴史を作ってきた方たちの現場ですから、何でも見透かされてしまう恐怖みたいなものもありますし、すべてひっくるめて映画の中に飛び込んでゆく緊張感でしょうか。それは今も残っているし、生涯緩むことがないだろうし、緩ませたくないという思いもあります。そして、感動もしました。

――どんな部分に感動を?

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『追憶』(5月6 日公開)
(C)2017 映画「追憶」製作委員会


安藤: (岡田准一、小栗旬、柄本佑ら)男性陣と監督たちに混ざって、私もロケ先ではよく食事をしたり、お酒を飲んだりさせていただいていたのですが、世代を超えて映画作りを全力で楽しんでいたんです。そのみなさんの勢いがものすごくかっこ良くて、また一つ、歴史的瞬間を目撃した気持ちになりました。

――涼子という役柄は、非常に難しいと思いましたが、脚本を読んだとき、すんなりとイメージできたのでしょうか?

安藤: 普段は自分の役柄だったり、少し偏った視点で脚本を読んでしまいがちですが、この作品は物語に集中して読む事ができました。だからあまり涼子という役を意識する前にただ、ただ、降旗監督の作品で、こんな重厚な物語が展開するということで、すぐ「やりたい!」って手を上げてしまったんです。そのあとに「ちょっと待てよ、ものすごく難しい役なんじゃないのか」って思いました(笑)。

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『追憶』(5月6 日公開)
(C)2017 映画「追憶」製作委員会


――そこからどんな形で役にアプローチしていったのでしょうか?

安藤: 頭の中で整理するのが難しい役でした。体を売っていたという側面と、一方で、子どもたちに対しては包み込むような愛情を......。子どもたちの目にどう映るかが重要だと感じました。彼らの素直な目に何が映るのだろうかということ。そこにうそがあったら、降旗監督は見抜くだろうし、大作さんのフィルムにも映ってしまう。そう思って、子どもたちとは時間をかけてコミュニケーションをとって、関係を築いていきました。

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『追憶』(5月6 日公開)
(C)2017 映画「追憶」製作委員会


■降旗監督×木村キャメラマンの現場は「うそがつけない」

――「うそがつけない」という言葉は印象的ですが、やはり降旗監督作品は特別ですか?

安藤: 実をいうと、私が初めてスクリーンで父親(奥田瑛二)の主演作を見たのが、『現代仁侠伝』という映画で、そのメガホンをとっていたのが、降旗監督なんです。

――しかも降旗監督が熱望されたわけですからね。

安藤: 降旗監督と大作さんの映画って、女優さんの印象がすごく強いので演じるのが怖かったです。いまだに怖さが残っています。もし叶(かな)うなら、もっと自分が大人の女になったら、もう一度リベンジさせていただきたいです。20年後とかに......。監督は100歳超えてますが、ぜひお願いしたいです!!

――出来上がった作品を見たときはどんな感想でしたか?

安藤: 映画が始まって、俳優陣の名前が出たときに涙が出てきました。まさか自分たち同世代の俳優さんたちが、あの降旗監督の映画の中にクレジットされているという事実に感動してしまいました。降旗監督の作品の中の大作さんの絵って、本当に独特なのですが、そこに自分たちが映っているというのは、非常に興奮しました。

■映画のすごさを実感できた作品

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安藤サクラが出演する映画『追憶』(5月6 日公開)


――完成披露試写会には、若い人たちもたくさん来場されていました。

安藤: 映画のすごさって時代をつなげていく力だと思うんです。私たちが死んでも映画は残っていきますよね。特にこの映画は、フィルムで撮影していて、映画の振動がそのまま伝わるような感じがします。いまはデジタルの時代になって、感覚はちょっと変わってきているのかもしれませんが、世代を超えて、生き物から生き物へ伝わっていく感じがします。この映画も、次の時代の人への良いバトンになればいいなと思っています。

――本作の出演者は、次世代の日本映画界を背負っていくような俳優さんたちだと思いますが、そういった責任感はありますか?

安藤: この映画で得た緊張感は絶対伝えていくべきものだと思います。映画を作るシステムや形態は変わってきていますが、この経験で得たことは、次の現場にもしっかり持っていきたいですね。あと個人的なことですが、「あの降旗監督と木村大作キャメラマンの現場経験しているんだぜ! フィルムで撮影していたんだぜ!」って自慢できるかなって(笑)。

――この映画を見て多くの人がいろいろな影響を受けるといいですね。

安藤: 私も映画を見て、いろいろなことに影響を受けているんです。自分の着る服なんかは、映画から影響を受けることが多いです。特に昨年から今年にかけては、日本アカデミー賞で司会をさせていただいたので、多くの作品を拝見したんです。日常の生活サイクルの中で、映画館に行くという行為はとても楽しかったですね。

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『追憶』(5月6 日公開)
(C)2017 映画「追憶」製作委員会


映画『追憶』は、降旗康男監督×木村大作キャメラマンの巨匠コンビが奏でるヒューマンサスペンス。主演に岡田准一を迎え、小栗旬、柄本佑、長澤まさみ、木村文乃、安藤サクラ、吉岡秀隆と日本映画界を牽引する豪華俳優陣が集結した。一つの殺人事件をきっかけに刑事、被害者、容疑者という形で25年ぶりに再会を果たした幼なじみの3人。それぞれが家庭を持ち、歩んできた人生が、再び交錯し運命の歯車を回し始める――。2017年5月6 日公開。

(取材・文・撮影:磯部正和)

安藤サクラ(あんどう・さくら)
1986年2月18日生まれ、東京都出身。2007年に『風の外側』で女優としてデビューすると、2009年公開の映画『愛のむきだし』で第31回ヨコハマ映画祭・助演女優賞、第24回高崎映画祭・最優秀新人賞を受賞。その後もコンスタントに映画やドラマに出演し、2012年公開の『かぞくのくに』では主演を務め、第55回ブルーリボン賞・主演女優賞を含め、数々の映画賞を受賞。2014年公開の『百円の恋』では女性ボクサーを好演し、第39回日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞を受賞するなど、日本映画界を代表する女優となった。

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