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「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである」
これは、アメリカの実業家ジェームズ・W・ヤングによる著書『アイデアのつくり方』の一節だ。知的発想術について書かれたこの本は初版が1940年。その後数十年にわたって売れ続けているロングセラーである。

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田中裕二(爆笑問題), 太田光(爆笑問題), Jan 08, 2017 : 田中裕二、妊娠報告会見(写真:MANTAN/アフロ)


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この言葉はこれまで数多くの場面で実践されてきた。
机に置いた消しゴムをよく失くしていた画家のハイマンは、便利にと消しゴム付き鉛筆を発明。フランスのサブリエール夫人は、もっとコクのある紅茶が飲めないかとミルクティーを考えついた。現代でも、電話にパソコンと同様の機能が付いたスマートフォンが一世を風靡(ふうび)している。

テレビの世界においても、この手法は有効だろう。
4月クールの新番組『バクモン学園 ~鬼教師・太田と委員長・田中と芸人30人の物語~』(テレビ朝日:月曜深夜0:15~)では過去にヒットしたアイデアの巧みな組み合わせが見て取れる。

この番組は、ネクストブレイク候補の若手芸人30人が、1分以内のオモシロ動画や写真をスマホを使って撮影。集められた動画を太田光が厳選し、採用された作品のみがオンエアされるという趣向だ。
5月1日(月)の放送では、モノマネ芸人ジャッキーちゃんやヤクザ風キャラのネタで人気のペンギンズなど、8組が見事オンエアを果たした。

■オンエアを制限する『オンバト』手法

1999年からNHKにて放送された『爆笑オンエアバトル』は、観客による判定で面白いと選ばれたネタだけがオンエアされる仕組み。自称「史上最もシビアなお笑い番組」として人気を博した。
バクモン学園では、判定者が観客か、太田光かという違いはあるものの、オンエアされるネタ数を制限しているという点で同様の手法を用いている。出演者には厳しい方式だが、視聴者は誰が選ばれるかというハラハラ感と同時に、面白いネタだけを見られるという安心感を得ることができる。また、放送されなかったネタも一部ホームページ上で見ることができるため、ひいきの芸人がオンエアされない場合でもがっかりしなくて済むだろう。

■1分で笑わせる『爆笑レッドカーペット』手法

2007年からフジテレビにて放送された『爆笑レッドカーペット』は、1分程度のショートスタイルのネタを披露するのが特徴的だった。先述の爆笑オンエアバトルやM-1グランプリなど、4分前後のネタが一般的であった当時にこのスタイルは革命的で、テンポの良さとネタの多さで好評を博した。バクモン学園も視聴者を飽きさせない先人のアイデアを上手に取り入れ、ネタに1分という時間制限を設けている。

「人間は考える葦(あし)である」で名高いフランスの思想家パスカルは、友人に宛てた手紙で「今日は時間がなかったので、つい長い手紙になりました」と記したと言われている。一見すると長い文章の方が時間がかかりそうに思えるが、短い文章の方が、短い中にエッセンスをまとめる必要があるため難しく時間を要すると言う。お笑いも同様で、1分と短時間にまとめる方が難易度は高いが、その分面白さが凝縮され質の高いネタが生まれるように感じる。

■漫才でもコントでもない、映像で魅せる『オモクリ監督』手法

『オモクリ監督 ~O-Creator's TV show~』は、フジテレビにて2014年よりゴールデン帯にて放送された番組(深夜時は『OV監督』の名称)。高い発想力を持つ芸能人が監督となり、テーマに沿った面白いVTR「オモブイ」を作成するという趣旨だ。
この番組では、映像作品という性質を生かし、漫才やコントには出せない面白さを引き出すことができる点がとても新鮮だった。データニュース社「テレビウォッチャー」調査でも、視聴者から「新鮮な感じがした」、「監督の個性が出て楽しい」と高評価の感想が寄せられていた。一方で、「面白いものとちょーつまらないものが混在し、番組としての完成度は低い」、「たまにひどくおもしろくないものがある」など、安定感のなさを指摘する意見もあった。バクモン学園ではこの欠点をオンエアの制限という手法で見事にカバーしていると言えよう。

組み合わせの妙で新たなアイデアへと昇華したこの番組、これからも期待して見てみたい。

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文責:一般社団法人日本味覚協会 代表 水野考貴
著者ブログ:『味覚ステーション~世界一面白く食品・栄養・味覚を学べるサイト

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