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メインキャラクターたちが中学生というアニメは数あれど、これほど生々しく思春期を描いた作品が過去にあっただろうか。4月よりTOKYO MX他で放送中のアニメ『月がきれい』は、徹底したリアル路線が魅力だ。

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(C)2017「月がきれい」製作委員会


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■"経験済み"の中学生カップルも

小説家志望の文芸部員・小太郎と陸上部の茜(あかね)は、中学3年生で初めて同じクラスになり出会う。学校生活の中で2人はお互いを意識し始め――。

何かとアニメで主人公になりやすい、"中学3年生"という時期。しかし、ここまで正面きってリアルな14、5歳の日常を描写した作品も珍しい。まず第1話の序盤、小太郎と茜がファミレスで出くわすシーンを見れば、『月がきれい』の特異さがわかるだろう。家族で食事に出かけたら、たまたま同級生も家族と食事に来ていた。なんとなく気まずくて気づかれまいと息をひそめていたのに、母親が相手のテーブルにあいさつに行ってしまったときの「あぁー......!!」という気持ち。こんな誰でも共感できる、しかし格好悪すぎる一連の流れをわざわざ描写するなんて、『月がきれい』は"中3が主人公"のアニメの中でも何か違う作品だと一気に理解させられる。

大人のアニメファンから見ると、「今の中学生はこんな感じなのか!」と驚く部分もある。登場キャラクターたちはLINEを使いこなしており、たとえば運動会の用具係になったら、すぐ「用具係で連絡用のグループLINEを作ろう」と決まる。茜が小太郎のLINE IDを聞き忘れてしまってしまったせいで、小太郎1人だけ連絡が届かず、担任にサボリとみなされることになってしまうのだが......。このようなトラブルも、今の中学生からすると"あるある"なのだろう。

さらに『月がきれい』の世界観では、中学生は未熟ではあっても純粋な存在ではない。節子と永原のカップルは、すでに"経験済み"らしく、当たり前のようにホテルに行こうとする。確かに現代においては、中学生で初体験を済ませる場合も少なくないらしいが、ここまで生々しく中学生のイマに迫るとは!

■テレビ業界でも"アニメ"が盛り上がる?

単なる"イマドキの中学生あるある"に終わらず、『月がきれい』が人気を集めているのは、そのムズキュンな恋模様にある。ムズキュンとは、TBS系ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」から広まった言葉で、もどかしくてムズムズするけどキュンとときめくラブストーリーを指す。

小さな出来事の積み重ねからクラスメイトを意識するようになり、はにかみながら距離を縮め、外野からすると「それはもう付き合っているのでは?」という関係になっても、まだ恥ずかしがっていたり......。LINEを駆使する現代の中学生の日常を描きながらも、物語の核となっているのは、誰もが覚えのある思春期の普遍的な感情。だからこそ『月がきれい』は大人のアニメファンの支持を獲得できたのだろう。

『君の名は。』の大ヒットにより、非・アニメファンの間にも「面白そうな作品であればアニメであっても見る」という意識が広がった。今後の映画界においてアニメ全体が盛り上がっていくことが予想されているが、テレビ界においてもアニメに対する注目度が高まっていくかもしれない。普段あまりアニメを見ない人には、『月がきれい』は入門としてうってつけの作品だ。

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(文/原田美紗@HEW

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