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9mm Parabellum Bulletによる、通算7枚目のアルバム『BABEL』が5月10日にリリースされる。メンバーそれぞれが作詞作曲を行い、バンドしての音楽性をぐっと広げた前作『Waltz on Life Line』から一転、本作では全ての楽曲の作詞を菅原卓郎(Vo、Gt)が、作曲を滝 善充(Gt)が担当。9mmサウンドの"核"である、ダークでヘヴィなトーンに貫かれている。疾走感溢(あふ)れるリズム隊と、バンド名のごとく弾丸のように撃ち込まれる高速ギター、狂おしいほどドラマティックなメロディ。そして菅原のつづる歌詞は、漆黒の闇を灯す光のように強い希望に満ちている。

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菅原卓郎(Vo、Gt) 9mm Parabellum Bullet、アルバム『BABEL』を5月10日にリリース



「今回、初めて自分やバンドについての歌詞を書いてみた」という菅原。そこに至った心境の変化は一体どのようなものだったのだろうか。先行シングル「眠り姫」に隠されたメッセージについてなど、意外なエピソードも含めて真摯(しんし)に語ってくれた。

9mm Parabellum Bullet これまでのミュージックビデオを配信中>>

最新アルバム『BABEL』リード曲「ガラスの街のアリス」ミュージックビデオ>>


■9mmが表現する、ダークでヘヴィな要素

ー 今作『BABEL』のテーマ、サウンドのコンセプトはありましたか?

菅原: 今回、曲がすべて出そろってから歌詞を書いていったんですけど、この10曲というのは昨年、滝が作った大量のデモから選んだ楽曲なんです。それを選ぶ基準は「ダークであるもの」「ヘヴィであるもの」でした。これまでは似通った印象のある曲は外していくことが多かったんですが、今回はその逆で、何か通じるもの、一つのトーンを目指して選曲していきました。

ー 9mmの「ダークでヘヴィ」な要素って、どこから来るのでしょうか。

菅原: やっぱり、一つは滝の書くメロディやコード感ですよね。ちょっと切ない音使いというか。アッパーな曲調であっても、そこは全く変わらない。以前は、「メジャーコードだと気恥ずかしくて曲が作れない」なんて言っていましたし(笑)、全体的にマイナーコードが多かったです。
僕自身も歌詞を書くにあたって、日記を歌にするような感じとか、明るい気持ちからインスパイアされて書くとか、そういう性格ではないし(笑)。「なんで、あんなことになってしまったんだろう」と、自分にとって腑(ふ)に落ちない出来事を元にして、そこからインスパイアされて曲を書くことが多いんです。「怒り」の感情も、もちろんありますね。ただそれは「相手を打ちのめしてやる」という気持ちというよりは、「なぜあの時、一歩踏み出さなかったのだろう」みたいな。

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9mm Parabellum Bullet、アルバム『BABEL』を5月10日にリリース



ー ひたすら自分に向いていく感情なのですね。アルバムタイトルの『BABEL』には、どんな思いが込められているのでしょうか。

菅原: これから自分はどうなるかわからないというか、どんな目に遭うかわからないというか。そういう「緩衝地帯」を歌にしていることが多いなって自分で思うんです。「バベルの塔」って、そもそもそういう寓(ぐう)話じゃないですか。みんなが意気揚々と塔を築き上げたけど、それが神様には気に入らなかったようで(笑)。塔を壊されたとか、雷を落とされたとか諸説ありますが、「神様の怒りに触れて、みんなコミュニケーションが取れなくなってバラバラになってしまった」というところが、自分は一番琴線に触れたところなんです。あと、神様の怒りに触れたということは、人間が不可能なことにチャレンジしていたからだとも思っていて。今回のアルバムも、状況的にチャレンジングな時期でもあったので、それもこの寓話とリンクしたような気がしたんです。ま、俺たちは別に神様に怒られたわけじゃないですけどね(笑)。

■ふと見渡してみたら、自分の周りだっておかしなことで溢れていると気がついたんですよね

ー 歌詞については?

菅原: 今回、自分たちのことを書こうと思いました。もちろん、直接的な描写ではなく他の言葉や状況に置き換えていますけど、まずは自分が感じていること、バンドについてのこと、自分たちの家族のこと、チームのことなど、パーソナルな事柄から書き始めてみようと思ったんです。それって今までは「禁じ手」というか、自分としてもあまり面白味を感じられなかったんです。「自分の人生なんて、素材として面白くないんじゃないか?」っていう気持ちもあって。でも、ふと見渡してみたら、自分の周りだっておかしなことで溢れていると気がついたんです(笑)。

ー パーソナルなことが起点となっていても、決して独りよがりなものではなく、作品として普遍的なものに昇華されているな、と。

菅原: まさに。そこは気をつけましたね。歌詞は英語で「リリック」というだけあって、リリカルなこと、感情の動きをいかに書くのかだと思います。聞いた人が「すごくパーソナルなバンドへの気持ちを歌っているのかな」と思ったとき、そこで自分が何を感じたのか、どう感情が動いたのかを、同じように感じて欲しかったんです。

■「眠り姫」は、「寓話」としての意味があるのと同時に、「原発」のメタファーでもあるんです

ー それを聞くと、結構意味深な歌詞が多いですよね。バンドのことを歌っていて、「ロング・グッドバイ」って......(笑)。

菅原: しかもアルバムの1曲目ですからね、「シニカルな人たちだな」って思われても仕方ない(笑)。ただ、歌詞を書く時って、メロディに乗せた時の響きというものも大事にしていて。例えば「ここの母音は絶対に"あ"だな」とか、そういうことを手掛かりにして書いていくので、自分でも意図していないような意味があらわれてくることもあります。「ロング・グッドバイ」に関しては、"君のまばたきが終わる前に 長いお別れをすませておくんだ"という最初の2行ができた時に、すでにそこで物語ができたなって思えましたね。

ー そもそも歌詞というのは、全てが事実でも虚構でもないということですよね。とはいえ「Story of Glory」の"続きを今も待ち焦がれているよ 終わりそこねたままの物語の"というフレーズは、さまざまな紆(う)余曲折を乗り越えたバンドが「さらに先へと進もう」と高らかに宣言しているように思いました。

菅原: 「Story of Glory」は「栄光の日々」を過去に求めるのではなく、続いているものだと歌いたかったんです。「『あの頃は良かった』で終わらせるのはよそうよ」と。「たとえ今はパッとしなくても、すげえことだって体験してきたじゃん」っていう日々の、延長線上に自分たちはいるのだし、この先だって何があるかわからない。そうやって聞いてくれた人も、自分たち自身も勇気付けたかったんです。

ー GYAO!ではアルバムから「眠り姫」と「ガラスの街のアリス」のPVを配信しているのですが、この映像は何を意味しているのでしょうか。

「眠り姫」ミュージックビデオ>>


菅原: これまで9mmの楽曲は、歌詞が先だったことはなかったんですけど、「眠り姫」は歌詞から先にできたんです。この歌詞のイメージがどこから来たかというと、一つは「寓話」としての意味があるのと同時に、「原発」のメタファーでもあるんです。

ー え、そうだったんですか?

菅原: 僕は小さい頃からチェルノブイリ原発事故にも関心があったのですが、自分の暮らしている国でも原発事故が起きて。その後、原発について「賛成か? 反対か?」という意見が大きな声で交わされてきましたが、いずれにせよ事故そのものを、まずは収束させなければいけない、そのために働いてくれている人たちがいるわけで。事故がもたらした様々なことを考えた時の「やるせなさ」みたいなものを、どうしても「歌詞」として形にしたかったんです。はじめは発表するかどうかは別として、メモしていたものでした。そうしたら、滝が「歌詞から(曲を)書いてみたい」と言うので、最初はワンコーラス分しかなかったものを送りました。その後何度かやりとりしてブラッシュアップして完成させました。あのPVの中で、眠っている女の人たちは原子力発電所の比喩なんですね。

ー じゃあ、赤い服を着て目を開けている人たちは......。

菅原: 稼働している原発を意味しています。人数も原発の数と同じ17人にしてあって。山口監督とは、楽曲の寓話としての世界観と、メッセージとのバランスをどう表現するかでアイディアを交わしました。こういった話題は一人歩きしてしまう可能性もありますから。まずは音楽そのものを受け止めて欲しいので、こうやってしっかり話せる時に、自分の言葉で説明したかったんです。

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9mm Parabellum Bullet、アルバム『BABEL』を5月10日にリリース



ー そんなテーマが隠されていたのですね。「ガラスの街のアリス」は?

菅原: この曲は、メンバーがガラスの箱に入って演奏しているという、そのままの映像(笑)。(インタビューの時点で)まだ完成版を見ていないのですが、ガラスの箱をバベルの塔のように積み上げるなど、アルバムのテーマと連動した映像になっています。

ー さらに、「初回限定盤 Special Edition」に収録されたDVD「TOUR 2016 "太陽が欲しいだけ"」からも、数曲配信しています。

菅原: この時のツアーは、サポートギタリストとして武田将幸(HERE)くんが参加してくれたのですが、アンコールの「Talking Machine」だけ9mmの4人で演奏したんですよ。それは、来てくれたファンに対して、「この4人が9mmなんだ」っていうメッセージを送りたかったからです。そもそも9mmの大ファンである武田くんにも、4人の演奏を見せてあげたかったし(笑)。その辺りは見どころですね。

ー では最後に、6月から始まるツアーの意気込みをお願いします。

菅原:すごく完成度の高いアルバムを、どんな風に演奏するかという時に、今までなら楽曲は生き物だしライブでは形が変わって当然だという考え方でしたけど、今回は「この世界観を完璧に再現してやるぞという気持ちが強いんです。もちろん、実際にステージで演奏した時に「どんな生き物になるんだろう?」っていうワクワク感もあるんですけど、これまで以上に「再現の精度」を高めていきたいと思っていますね。

【LIVE映像】「太陽が欲しいだけ」(2016.11.05 TOUR 2016 "太陽が欲しいだけ" at 豊洲PIT)>>


【LIVE映像】「The Revolutionary」(2016.11.05 TOUR 2016 "太陽が欲しいだけ" at 豊洲PIT)>>


【LIVE映像】「Talking Machine」(2016.11.05 TOUR 2016 "太陽が欲しいだけ" at 豊洲PIT)>>



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9mm Parabellum Bullet、アルバム『BABEL』を5月10日にリリース


9mm Parabellum Bullet これまでのミュージックビデオを配信中>>


9mm Parabellum Bullet(キュウミリパラベラムバレット)

2004年3月横浜にて結成。
2枚のミニアルバムをインディーズレーベルからリリースした後、2007年に「Discommunication e.p.」でメジャーデビュー。これまでに6枚のオリジナルアルバムをリリース。メジャーデビュー10周年を迎える2017年、5月に7thアルバム「BABEL」リリース決定。滝 善充は、ライブは休養中だが今作品でも作曲はもちろんギターとして活動中。6月よりホールツアー"TOUR OF BABEL"の開催が決定している。ロックのみならずジャンルに捕らわれない独特のサウンドと世界観を確立し、爆発的なライブパフォーマンスで日本ロックシーンの支持を得る。
菅原の座右の銘:「オープンマインドでいること」

(インタビュー・文/黒田隆憲)

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