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春ドラマは後半戦に突入した。
前半までの実績を、視聴率・録画数という量的側面と、満足度・見たい指数の質的側面で見ると、総合順位は3位『CRISIS』、2位『リバース』、そして1位は『小さな巨人』となった(注)。
長谷川博己主演『小さな巨人』は、警察ドラマだがテーマは組織に対峙(たいじ)する個人。『半沢直樹』『下町ロケット』『ルーズヴェルトゲーム』など、TBS日曜劇場がこれまで何度も放送してきた路線だが、今回少し違うのは原作を持たないオリジナルドラマだということ。
これが今期トップを行く原動力になっていると筆者は見る。

(注):視聴率はビデオリサーチ社関東900世帯調査から。録画数・満足度・見たい指数はデータニュース社「テレビウオッチャー」関東2400人調査から。

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各評価の上位ドラマと総合順位


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■指標別に見るドラマの評価

視聴率で見ると、1位は6話平均で14.2%の『緊急取調室』、2位が13.2%の『小さな巨人』、3位10.8%の『CRISIS』。
トップとなった『緊急取調室』は、初回で17.9%とブッチギリの数字を出したことによる貯金が大きい。しかも5~6話と2話連続で数字を上げ、6話では14.3%になっている。安定感バツグンのドラマと言えよう。ただし他の指標は今一つで、総合順位ではベスト3に入れなかった。

満足度では1位が5段階評価で3.92の『リバース』、2位が3.91と0.01差の『小さな巨人』、そして3位は『釣りバカ日誌Season2 新米社員浜崎伝助』が気を吐いて3.88。
ところが『リバース』は、録画数でも2位と気になるドラマにはなっているものの、視聴率が一桁と今一つ。結果として実際に見た人が「絶対見る」2点・「なるべく見る」1点・「見るかも知れない」0点・「たぶん見ない」-1点・「絶対見ない」-2点で計算した「見たい指数」も、回答者の絶対数が少ないために上位に入れなかった。結果として総合評価では3位に甘んじた。

録画数では、1位は2400人中144人の『CRISIS』、2位が135人の『リバース』、3位は134人と2位と1人差の『小さな巨人』となった。
規格外の犯罪に挑む規格外のチームを描いた『CRISIS』は、そのスケールの大きさと迫力から、見たい指数でも2位、視聴率で3位に入り、総合順位は2位に輝いた。フジテレビのドラマが低迷する中、同じ系列の関西テレビのドラマはこのところ元気が良い。今期も関テレの底力を見せつける力作となっている。

見たい指数では、1位は236ポイントで2位以下を大きく引き離した『小さな巨人』、2位が199ポイントの『CRISIS』、3位は195ポイントの『緊急取調室』。
実際に『小さな巨人』は、「テレビウオッチャー」調査では5~6話になっても新たに見始める視聴者が二桁と、唯一新規視聴者をたくさん集め続けている。満足度2位も含めた内容への評価の高さに加え、話題性が強い集客力となり、視聴率も2位、録画数も3位と、唯一全指標でベスト3入りを果たすバランスの良さとなっている。

■オリジナルドラマの強さ

総合順位トップの『小さな巨人』。
原作に頼らずオリジナルにしたことで、ドラマにいくつもの強さを付与させている。番組開始時に期待感を醸成し、役者の役柄と配置の妙で見たい気持ちを上げ、連続ドラマとして見続けてもらうための工夫を仕組み、そして時事的な話題を盛り込むことでより多くの視聴者の関心を集めるなどの手法の勝利と筆者は見る。
これらがいかにうまく行っているかは、視聴者の声からも確認できる。

まず序盤。TBS日曜劇場の強みを視聴者も認識し見始めているようだ。

「半沢直樹を思い出す」男23歳(満足度5)
「捜査一課と所轄刑事がぶつかり合いながら事件を解決していくなんて、今までにない刑事ドラマ」女61歳(満足度5)
「主演者・演出など、完全に半沢直樹・ルーズヴェルトゲーム・下町ロケットだな。本庁と所轄という構図は踊る大捜査線だし、いろんなモチーフを組み合わせたという感じ」男53歳(満足度4)

ドラマを見続けてもらうためには、強烈な印象のキーワードを用意し、個性的なキャラクターを並べ、どんでん返しなど展開の妙を縦横無尽に繰り出している。

「敵は味方のふりをする! すごい言葉ですね」男68歳(満足度3)
「大和田常務を超える(?)香川さんが良かった」女62(満足度3)
「この番組はスピード感があり脚本が良い。来週も楽しみだ」女69歳(満足度5)
「全編、目を離す隙を与えない。嫁姑(よめしゅうとめ)の仲睦まじいシーンがホッとする瞬間」男51歳(満足度5)
「岡田将生くんの嫌みな役も新鮮」女27歳(満足度5)
「内通者はてっきり一課長だと思っていましたが、意外や意外、署長だったんですね」女61歳(満足度5)
「所轄と捜査一課が協力して証拠を見つけ出して、悪である署長を叩(たた)きのめすことがスッキリ! だったはずなのに、署長の罰が軽すぎるなんて」女33歳(満足度5)

そして豊洲署編。時事ネタ満載で、二段ロケットへの切り替えも抜群だった。

「(第5話で)署長の罪は暴いたものの罪に問えないラストは、もどかしいと同時に次回以降の"豊洲署編"も見ないと・・・と思いました」61歳男(満足度5)
「巷(ちまた)で話題になっている"豊洲"と"○○学園"、タイムリーだ!」女61歳(満足度3)
「学校法人と政治家との癒着に迫る内容だが、どこかで聞いたようなリアルさを感じた」男34歳(満足度5)
「謎の男ユースケがあっという間に死んだのにはびっくり」男36歳(満足度5)

「芝署編」は初回よりラストの第5話の視聴率が高くなった。

そして「豊洲署編」が始まった第6話も、和田アキ子・梅沢富美男など十分アクの強い役者をそろえ、視聴者の気持ちを十分逆なでして始まった。人事課から自ら志願して異動した芳根京子の成長物語も期待感が持てる。
「芝署編」でいい味を出していた現場一筋の安田顕も、一課長の運転手役になってどう進化するのか見ものだ。もちろん一課長・香川照之との最終戦争はどうなるのか、一番の興味は骨太な展開として残っている。
そんな「豊洲署編」初回だったが、長谷川博己と共に所轄に飛ばされ態度が変わってしまった岡田将生が、事件の鍵を握る何かを知りつつも、あっさり逮捕されてしまうエンディングは、やはり視聴者に「次回が気になる」と強く思わせる展開だった。

事実「テレビウオッチャー」調査では、次回絶対見ると答えた人の比率が62%と、同シリーズの中では最高の数字となった。『半沢直樹』には届かないまでも、ラストにかけ『ルーズヴェルトゲーム』を超え、『下町ロケット』に迫るかもしれない。
オリジナルドラマゆえ、制作陣の知恵と工夫次第で、大化けする可能性は十分ある。


文責・次世代メディア研究所 鈴木祐司

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