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「テッペン!水ドラ!!」は、TBSが2015年秋にGP帯(夜7~11時)ドラマを4枠から3枠に減らし、代わりに新設された30分のドラマ枠。深夜ならではのエッジが効いた新しい企画の開拓や、次世代のドラマクリエイターの発掘・育成が目的だった。
『毒島ゆり子のせきらら日記』『死幣-DEATH CASH-』『レンタルの恋』など、尖(と)がったドラマが放送されてきたが、今回の『3人のパパ』はハートフルコメディと大きく路線を変えていた。ところがそのハートフルコメディが、視聴率もまずまずだが、それ以上に満足度で大変な数字を出しつつある(注)。

(注):視聴率はビデオリサーチ社関東900世帯調査から。満足度はデータニュース社「テレビウオッチャー」関東2400人調査から。

サムネイル

『3人のパパ』と『レンタルの恋』比較


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■2ドラマの評価比較

前期は剛力彩芽主演の『レンタルの恋』。
視聴率は1.3%で始まり、3話で2.3%まで上がったが、その後6話まで下がり続けて1.4%になってしまった。ところが『3人のパパ』は、1.9%で始まり、3話で2.4%まで上がり、その後2%前後で推移している。善戦していると言えよう。

いっぽう満足度では、『レンタルの恋』は3.40で始まり、その後2.90から3.75の範囲で推移した。ドラマの平均が3.6~3.7なので、前半戦は苦戦続き。6話でようやく平均を少し超えるところまで上がって来ていた。
ところが『3人のパパ』は、初回こそ1.80と極端に悪い評価だったが、その後はほぼ上がり続け、3話で3.86とドラマの平均を大きく超えた。そして5話では、4.20と極端に高い評価を勝ちとるところまでに来ている。初回との差は3.40ポイント。従来にない急成長を見せるドラマとなっている。

視聴者の声は、ざっとこんな感じで推移している。
『レンタルの恋』では剛力彩芽のコスプレを評価する声はあるものの、作品自体の評価はあまり芳しくない。

「コスプレは良いが、(ドラマは)面白くない」
「コスプレが毎回楽しみ」
「深夜ドラマだけあって完成度が低い感じ」
「何だかなあ」

ところが『3人のパパ』では、視聴者の反応は初回から5話にかけて大きく変わっている。
序盤では

「この枠で初めから興味がないのは初めて」
「やっぱり興味ないや。すまんね」

と、主に男たちに不評だった。一方

「(見てて)初めから泣くとは思わなかった(中略)赤ちゃんかわいすぎる」
「赤ちゃん癒される!可愛い。来週も楽しみ??(^ω^)」

と、女たちには評価が良かった。
そして回が進むにつれ、好意的な評価が増えていく。

「期待せずに見たら結構良かった」
「ゆとり世代の男の子育て、なかなか面白い」
「最初は酷かったが、見れるようになってきた」
「話が進むにつれ、いいドラマになっていく」
「ちょっと感動したりしてます」

■圧巻の第6話

そして圧巻だったのは第6話。絶賛する声が少なくない。

「技術的には拙いけど、ちゃんと感情のこもった演技をしているので、気持ちが伝わってくる。先週(5話)、今週(6話)と感動できた」
「泣かせにきてるな!」
「泣きました。笑いあり涙あり、子供も可愛いし良いと思います」

この回は3人のパパが住むアパートの大家・美奈子(濱田マリ)が主役。
実は彼女には5歳の頃まで一緒に暮らしていた息子・亮介がいた。ところが事情で、別れた夫に渡してしまっていた。
その息子・西川亮介(桜田通)が20歳になり、「生き別れた母親である美奈子を探しに来た」と訪ねてきた。
ところが美奈子はそんな事実はないと冷たい。頑として自分の息子だと認めようとしないのである。
子育てを通じて家族の絆に目覚めてきた3人のパパは、そこで夜桜の下で2人が話をできる状況を設定する。それでも美奈子は、亮介の幸せを願い、最後まで母とは名乗り出ない。
事実に気付きながら、それを認めないまま愛情を覗(のぞ)かせる濱田マリ。
母の思いに気付き、本音を抑えて前を向くと決意を伝える亮介。
それを受け、滂沱(ぼうだ)の涙を流しつつも気丈に振る舞う濱田マリの演技は、本音と表面的振る舞い方にあまりに大きなギャップがあり、それを見事に演じきっているがゆえに、見る者も涙なしではいられない圧巻のシーンとなっていた。

プロデューサー・松本友香氏は『3人のパパ』を通じ、"愛"にも"生(性)"にも無関心・無責任な"ゆとり・さとり"世代に、家族愛や絆に目覚めてもらおうとしているようだ。
5話までは、イケメンがイクメンすることで覚醒していくドラマとなっていた。ところが今回は少し角度を変え、我が子を捨てた母親なれど、あえてそうせざるを得なかった実母の存在の大きさを見せることで "愛と生(性)"の教育ドラマを成立させようとしている。

深夜ならではのエッジが効いた娯楽ドラマを求めている視聴者には、依然違和感があるかもしれない。それでも確固たる意志を持つハートフルコメディは、確実に多くの視聴者の心にリーチし始めている。
今後の展開と、視聴者の反応に注目したい。

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文責・次世代メディア研究所 鈴木祐司

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