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去年4月期のシーズン1に続き、今期シーズン2が放送されている『警視庁・捜査一課長』。
第7話までを比較すると、視聴率は2%ほど高くなっている。データニュース社「テレビウオッチャー」が調べる満足度でも、0.1%ほど上を行く。
とは言っても今期の平均満足度は今のところ3.7。ドラマの平均が3.6~3.7なので、平凡な成績に過ぎない。それでも視聴率では、『緊急取調室』『小さな巨人』についで3位に食い込んだ。作りでは決して傑出しているわけではないのに、多くの人に見られている秘密は何か。実は"良い人"力が全開となっている同ドラマは、"安心安全"放送として、多くの人に根強く支持されているようだ。

サムネイル

『警視庁捜査一課長』両シーズン比較


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■評価は右肩上がり

そもそもシーズン1の平均視聴率は、かろうじて二桁に乗った程度だった。主演が内藤剛志、主要メンバーが金田明夫・鈴木裕樹・矢野浩二・斉藤由貴と、はっきり言って若年層が好みそうな、旬の役者はいない。それでも視聴率二桁は大健闘だったと言えよう。満足度も3.60と、かろうじてドラマの平均点に手が届いた程度が、シーズン1の実態だった。

ところがシーズン2では、初回から視聴率14.5%と、ロケットスタートを切った。その後、2話で一回だけ一桁に落ちたものの、3話で再び二桁に戻し、4話以降は12%台で安定的に推移している。7話までの平均12.0%は、今期ドラマの中でも大金星と言えよう。

満足度も安定している。3.66で始まった後、6話まで安定して推移し、第7話では3.86と平均を大きく上回る数字を出した。特にF1(女20~34歳)の平均満足度が3.86、M1(男20~34歳)が3.93と若年層の評価が高いのは特筆すべきだろう。
さらにF3(女50歳以上)も、3.92と極端に高い。M2(男35~49歳)が2.89に留まることと比べると、奇妙な評価の出方となっている。

■視聴者の声

実際に見た人たちの声を聴くと、『警視庁・捜査一課長 Season2』の強さの秘訣(ひけつ)が見えて来る。
まず満足度評価が低かったM2の間では、前向きな声が少ない。
序盤で「科捜研の女の方が面白いか?」と懐疑的だった男46歳は、7話で「少し飽きた」(満足度3)としている。このまま見るのを辞めてしまうかもしれない。
「親の付き合いで」と毎回視聴している男46歳は、満足度が2と低い。
「現代版・水戸黄門のような雰囲気が楽しめる」と一見評価しているように見える男41歳も、満足度は2と辛口だった。

ところがM2以外では、高く評価する声が多い。

「こんな上司が欲しいと感じた」女22歳(満足度3)
「毎回ハラハラ楽しめる構成だと思う」女32歳(満足度5)
「見ごたえあり」男21歳(満足度4)
「面白かった」男34歳(満足度5)
「皆が信じあうのが良い」女51歳(満足度5)
「何と言っても嫌な人が一人も出てこないところが良い!」女40歳(満足度5)
「安心して見ていられる。俳優陣の演技が自然で違和感がない」女74歳(満足度5)
「一課長が部下に謝ったりするのも良い。そういうところから部下との信頼関係も出来ているのかなと思った」女37歳(満足度3)

■"良い人"力が発揮される、"安心安全"放送

視聴者の声をあえて単純化すると、以下のようなキーワードにまとめられる。

・「嫌な人が出てこない」=「良い人を見て納得したい」
・「課長が部下に謝る」=「チームに信頼関係がある」
・「演技が自然で違和感がない」=「テレビをゆったりと見ていたい」

ゴムボートに乗った男の遺体が東京湾の中心で発見された第7話で検証すると、以下の展開やシーンで視聴者が評価していることがわかる。

犯人は被害者を別の場所で殺害し、ボートに乗せて遺棄した可能性があった。もしくは被害者が自分でボートに乗り、漂流物に頭を打ちつけ、何らかの原因で血液が海に流れ出したのか。
ところがボート内のアタッシェケースから3000万円の現金が見つかり、謎は一層深まった。
被害者は女性用のバッグブランド"ニコタマバッグ"で経理担当役員を務めていた重森悠介(佐伯新)と判明。重森は1カ月前に"ニコタマバッグ"を自主退職していた。
"ニコタマバッグ"本社を訪ねた平井真琴(斉藤由貴)。社長・仙道香奈恵(大地真央)によると、金庫内にあった3000万円が社長室から消えているという。
真琴はもう1つ、社長の香奈恵と副社長・飯窪佐和(藤吉久美子)が険悪な様子だったのが気になった......。

実は社長(大地真央)は会社の裏金を自宅に隠し持っていた。
それを知った副社長(藤吉久美子)と殺された重森悠介(佐伯新)は、強引な経営をする社長に目を覚ましてもらおうと、その金を奪おうと計画。副社長が社長宅の合鍵を作り、重盛が3000万円を盗み出した。ところがその後、二人の間で連絡が取れなくなっていた......。

ドラマの真骨頂は、こうした中で関係者の本音が次第に判明する展開にある。
社長の裏金は、副社長のデザインのバッグを世界中に広めたいがための苦肉の策だった。社長室での自作自演の盗難事件では、ガラスの破片がバッグにとびちらないように工作していた。副社長デザインのバッグを大切にする心の表れだった。他にも、副社長の犯行と勘違いした社長は、自分に疑いがかかるように、いくつか工作をする。副社長も重盛殺害は社長の仕業と勘違いしていた。ところがそのことは警察に一切言わなかった。

殺人という人間の負の部分と隣り合わせで、関係者の善なる部分を際立たせるような演出がされている。しかも捜査を指揮する一課長(内藤剛志)は、被害者の無念を重視する人柄だ。部下を信頼し、しかも捜査の失敗に際しては、全て自分の責任と部下に謝罪までする。
『小さな巨人』に登場する捜査一課長が、権力欲をむき出しにする人物と描かれているのと対照的に、こちらのドラマでは"良い人"の極みのような存在だ。

豪華なキャスト、お金のかかったセット、どんでん返しの連続と言った刺激に満ちたストーリー展開の『小さな巨人』とは異なり、堅実に、しみじみとする会話やシーンを大切にする『警視庁・捜査一課長』。そんな"安心安全"放送のドラマに、高齢者だけでなく若年層からも一定程度の支持が得られ、視聴率が高値安定となっている現象は、極めて興味深いと言わざるを得ない。

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文責・次世代メディア研究所 鈴木祐司

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