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『あなたのことはそれほど』(TBS:火曜夜10時~)が20日、最終話を迎えた。
本作は、"2番目に好きな人"と結婚した主人公・渡辺美都(波瑠)が、ずっと思い続けていた中学時代の同級生・有島光軌(鈴木伸之)と偶然再会し、不倫関係に陥っていく物語。2組の夫婦のうち"不倫される側"の怪演が話題で、特に渡辺涼太(東出昌大)と有島麗華(仲里依紗)が"怖すぎる"と注目を浴び、徐々に人気が高まっていた。

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東出昌大, Apr 11, 2017 : 連ドラ「あなたのことはそれほど」の会見(写真:MANTAN/アフロ)


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視聴率も右肩上がりで、第6話で自己最高の11.5%を記録すると、翌週の第7話では12.4%と更新、第8話では13.5%とさらに上回る数値を叩(たた)き出した。第9話は裏番組であるサッカーワールドカップ最終予選の影響もあり10.1%と落としたが、最終話では14.8%と大きく巻き返し、有終の美を飾った。


■最終回は「勧善懲悪」でも「衝撃的」でもなく「リアリティー」あふれる結末

前話までは小田原真吾(山崎育三郎)の衝撃的な"告白"や"怪文書"の犯人である皆美(中川翔子)など夫婦を取り巻く人物にもスポットが当てられていたが、彼らの動きにおおむね決着がついたため、最終話ではメインの「W不倫」夫婦の末路が大きな注目ポイントとなっていた。

データニュース社「テレビウォッチャー」調査に寄せられた第9話時点の視聴者の感想を見ると、

「最後ハッピーエンドは、やめてほしい。元サヤとか、やめて。がっかりさせないで」
「まさか最終的に主人公が夫の元に戻るということはないだろうなと思いながら見た。それではあまりにおめでたすぎる頭の持ち主。あり得ないと思う」

とハッピーエンドを望まない声が続出。不倫には相応の罰を与えてほしいという"勧善懲悪"的な感覚はごく自然なもので、ましてや今作は文学的なテーマで"真実の愛"を求めるような"ドロドロ"不倫劇ではなく"あっけらかんとした"不倫であったため、美都(波瑠)や有島(鈴木伸之)に対する共感の声は非常に少なかった。

最終話の結末は、結果だけを見ると、渡辺涼太・美都夫妻と有島光軌・麗華夫妻が対照的なものとなった。W不倫のうち男性側だけが幸せな結末を迎えたことについてSNS上では賛否両論の声があるが、「本気で不倫相手を愛してしまった女は離婚して幸せを失い、遊びで不倫しちゃったイケメン男は誠意を尽くして許してもらい幸せな家庭に戻った、というなんともリアリティー溢れた結末で心苦しくなりました」とリアルを重視した展開に感じ入る意見も聞かれた。


■もし2人が出会わなかったら!? 「シュレディンガーの猫」から考える

量子力学の世界では「シュレディンガーの猫」と呼ばれる有名な思考実験(以下)がある。

ある1匹の猫を、ランダムの確率で放射性原子と毒ガスの出る装置とともに箱の中に閉じ込めた。このとき、次に箱を開ける時まで、猫は「生きている」状態と「死んでいる」状態が1:1の確率で同時に存在しているのだろうか。

量子力学では、「全ての事象は"観測されるまで"は異なる複数の事象が同時に重なり合って存在する」という説がある。つまり、箱の中の猫は「生きている」状態と「死んでいる」状態が同時に存在することになるのだ。しかし常識的には、猫は生きているか、死んでいるかのどちらかであり、同時に存在するということは考えにくい。よって、この説は間違っているのではないか、と唱えたのがこの思考実験の意図だ。

確かにこれは常識的には考えにくいことだが、本当のところは誰にもわからない。なぜなら、もし状態を確かめるために途中で箱にのぞき穴をあけたとしても、それはあくまでも"のぞき見た時点"での状態が確定するだけであり、穴をあける直前までは「生」と「死」の2つの状態が存在していた可能性があるからだ。つまり、あくまでも状態が確定するのは"観測した時点"であり、"観測する前"は複数の状態が重なり合って存在する、という可能性は完全には否定できない。
個人的にはこの「同時に存在する」という考えはすてきだと思う。いわゆる「パラレルワールド(並行世界)」と呼ばれる概念もこの説からきている。

ここでドラマに話を戻そう。もし美都(波瑠)と有島(鈴木伸之)の2人が"再会しなかった"、そんな並行世界があったとしたら、どんな結末を迎えていただろうか。
有島(鈴木伸之)は、あの特有の"軽さ"で、美都以外の人とも不倫関係に陥ったかもしれない。しかし、持ち前の優しさで、一生懸命反省し、結局夫婦は元通りになっただろう。
美都(波瑠)は、"1番"の有島以外と不倫することはないように思う。しかし、"2番目"である涼太(東出昌大)との温度差が生じ、彼の愛が"優しい暴力"のように感じる場面がいずれは訪れ、結果、やはり別れを選ぶことになるかもしれない。
もし別の世界を生きたとしても同じ末路を迎えてしまう、そんな可能性をも想像できるリアルな人間模様だったからこそ、見終わった後に心苦しいようなもどかしいような、なんともいえない気持ちにさせられたのではないだろうか。

もちろんこれは感じ方のひとつであり、見る人の視点によって、または感情移入した相手によって、多様なメッセージを受け取ることができるドラマだったように思う。『逃げ恥』、『カルテット』、『あなそれ』と話題作が続くTBS火曜22時枠に、来クールも期待したい。

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文責:一般社団法人日本味覚協会 代表 水野考貴
監修:次世代メディア研究所

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