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人気作家・和田竜が、織田軍と伊賀忍者との間で起きた「天正伊賀の乱」をモチーフに執筆した同名小説を映画化した『忍びの国』が公開を迎える(7月1日公開)。ポップな作りながら、深いメッセージ性も含んだ本作を手掛けた中村義洋監督と、嵐の大野智ふんする主人公・無門が一目惚(ひとめぼ)れをする女性・お国を演じた石原さとみが、作品に込めたメッセージを語った。

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『忍びの国』(7月1日公開)


【特別映像】『忍びの国』無門はどこだ!? 編>>


■原作を読んですぐに映画化したいと思った

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「天正伊賀の乱」をモチーフに執筆した同名小説を映画化した『忍びの国』(7月1日公開)


――和田竜さんの原作を読まれたときの感想をお聞かせください。

中村: 僕は子どものころから歴史が好きで忍者も大好きだったんです。また自分が手掛けた作品もミステリーが多く、術やカラクリなども楽しめました。和田さんは、歴史が明らかになっていない部分の描き方が素晴らしい。しかもラストに、すごく強いメッセージが刻まれていて、読み終わってすぐに(映像化の権利を)獲りにいったのを覚えています。

石原: 私は、中村監督がメガホンをとって、大野さんが主演ということを知ってから読んだのですが、読めば読むほど無門は大野さんにしか想像できないぐらい合っていると思いました。原作を読破したあとに台本を読ませていただいたのですが「これほど原作からブレがない台本が存在するのか!」とびっくりしました。映像化してほしいなと思っている部分が全部台本になっていたんです。すごく客観的な視点で書かれた台本だなと感じました。

――原作のどんな部分を映画で伝えたいと思ったのでしょうか?

中村: 「虎狼の族の血はいずれ天下を覆い尽くすこととなるだろう」という大膳のセリフの下りは、原作を読んですぐにメモしたんです。このメッセージにたどり着くために、逆算して物語を構成しようと思いました。織田側の考え、忍びの考え、いろいろな視点でみられると思いますが、最後に劇場の席を立ったとき、心に渦巻くものがあればいいなという思いを込めました。

――前半からのポップなテイストは狙いですか?

中村: そうですね。単純な考えかもしれませんが、悲劇は笑っていた方が、より深い悲しみに覆われるような気がするんです。さとみちゃんにもあるシーンで「コメディになっちゃいませんか?」と言われたことがあったのですが、全体像としてメリハリは意識していました。

■石原さとみを起用「圧倒的な美が欲しかった」

――石原さんをお国に起用した一番の決め手は?

中村: お国は、台本では冷たく描かれているのですが、そうじゃない柔らかさを持った女性という希望はありました。あとは無門が一目見ただけで惚(ほ)れ込んでしまうような圧倒的な美が欲しかったんです。さとみちゃんがベストだけれど、忙しいだろうしなと思っていたら、プロデューサーから「調整できそう」と聞いて、「ぜひ!」という感じでした(笑)。

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嵐の大野智ふんする主人公・無門が一目惚(ひとめぼ)れをする女性・お国を演じた石原さとみ


――石原さんは、中村組は初めてでしたがいかがでしたか?

石原: すごく明るい現場でした。映画は監督の色が出るものですが、中村監督はとても明るくて、楽しくお話をしてくださるので、現場もとても活気がありました。何より言葉の選び方が好きでしたね。感情でお芝居をされている俳優さんは、監督や助監督の一言で、大きく芝居が変わってしまったりするんです。中村監督は、言葉選びが的確ですし、根底に優しさがある方だなと感じました。

――中村監督が俳優を演出する際に、意識していることは何ですか?

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中村義洋監督 『忍びの国』(7月1日公開)


中村: 基本的に最初は、俳優さんの演技プランを極力見せてもらおうと思っています。俳優さんの方が、演じる役について深いプランを持っていると思いますからね。

――大野さんも二度目の起用で、中村監督は同じ俳優さんを起用することが多いですが、どんな俳優さんが好みなのでしょうか?

中村: 俳優さんは褒められたいと思う人が多いのですが、大野くんもさとみちゃんもそうじゃないんです。あまり欲しがらない。そこが良いです。

石原: でも監督はワンシーン、ワンシーン感想を言ってくださって、すごく褒めていただいた印象があるのですが。

中村: 僕はあまり褒めないんですけれどね。さとみちゃんの演技が良かったからだと思うよ。今回はミラクルな芝居がたくさんありました。そういうときは褒めます。

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嵐の大野智ふんする主人公・無門が一目惚(ひとめぼ)れをする女性・お国を演じた石原さとみ


――お二人の座右の銘をお聞かせください。

中村:以前は「常に最悪を考える」ということを念頭に入れて行動をしていたんです。撮影中なんかは、本当にネガティブで「役者が怒って帰る」とか「日が暮れてシーンを取りこぼす」とか。というのも、欲しいと思えば思うほど、手に入らないと思っていたんです。でも、ここ1カ月で、こうした考えをやめようと思いました。欲しがって、狙って得た方がいいのかなと。だからいまは「欲しがろう」という感じで(笑)。

石原: 座右の銘ではないですが、私は頑張って怒らないように、感情をぶれないように整えようと思って生活しています。

(取材・文・写真:磯部正和)
(C)2008 和田竜/新潮社 (C)2017 映画「忍びの国」製作委員会

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中村義洋(なかむらよしひろ)
1970年8月25日生まれ、茨城県出身。大学在学中にぴあフィルムフェスティバルで準グランプリを受賞。大学卒業後、崔洋一、伊丹十三監督らの助監督としてキャリアを積み、1999年『ローカルニュース』で監督デビューを飾る。その後も、『アヒルと鴨のコインロッカー』(07年)、『ゴールデンスランバー』(10年)、『奇跡のリンゴ』(13年)、『白ゆき姫殺人事件』(14年)、『殿、利息でござる!』(16年)など話題作を世に送り続けている。

石原さとみ(いしはらさとみ)
1986年12月24日生まれ、東京都出身。2003年『わたしのグランパ』でスクリーンデビューを飾ると、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、数々の映画賞で新人賞を受賞。その後も『包帯クラブ』(07年)、『フライング☆ラビッツ』(08年)、『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』(10年)、『風に立つライオン』(15年)、『進撃の巨人』(15年)、『シン・ゴジラ』(16年)などの話題の映画の出演する一方、連続テレビ小説「てるてる家族」(03年)でヒロインを務めると、「Ns'あおい」(06年)、「ディア・シスター」(14年)、「5→9~私に恋したお坊さん~」(15年)「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(16年)など連続ドラマでも主演を務める。

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