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秋元康企画・原案の話題作『愛してたって、秘密はある。』(日曜22:30~23:25(日本テレビ系))が始まった。主人公は奥森黎(福士蒼汰)。大学病院の医師の父・皓介(堀部圭亮)と母・晶子(鈴木保奈美)と暮らしていた。ところが15歳の時、母を殴り続ける父のDVから母を守るために、黎は父を撲殺してしまった。母と息子は父が失踪したことにし、黎と母の"二人だけの秘密"となった......はずだった。

サムネイル

福士蒼汰, Dec 17, 2016 : 映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の初日舞台あいさつ(写真:MANTAN/アフロ)


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■初回の流れ

その後、友達も恋人もできないままに、黎は一橋大学法学部に進学。そして弁護士を目指していた頃、同じゼミで立花爽(川口春奈)と出会う。事件後、すっかり忘れていた"笑うこと"を取り戻し、黎の人生は変わり始める。ただし「自分は幸せになる資格はあるのか」と自問する黎。
そんな戸惑う黎を、母が後押しする。母にたきつけられた爽が逆プロポーズし、2人は結婚することに。そして両家へそれぞれあいさつに行く。

ところが、プロポーズの直後から、"秘密"を知る何者かから不気味な一通のメールが届き、黎は怯(おび)える。さらに、父を埋めたはずの庭が掘り起こされ、大きな水たまりになっていた。それを見た黎と母は、恐怖に凍り付く。

■つかみはOK!

企画原案は、今最も勢いのあるプロデューサー・秋元康。作詞家、放送作家、漫画原作者、プロモーターなど多彩な分野で才能を発揮し、手掛けた企画は外れたことがないと言っても過言ではない。

このドラマも、最後の結末まで見逃せない作品であると、いきなり初回から思い知らせる。まずドラマの冒頭。よくある結婚前の恋人同士の会話で始まるが、「本当の秘密を教えるなんて、僕にはできない。愛する人だからこそ、絶対に言えない。あの夏、僕は......人を殺した」
黎のつぶやきで、視聴者のテンションは一気に上がる。「えーっ、それが秘密!?」と叫びたくなる。始まりたった3分で、「このドラマ、面白い!」と思わせる衝撃のオープニングだ。

■ザワつく音楽

音楽の流れも、ストーリー展開にリンクしていて、とても効果的だ。
始めは、よくあるラブストーリーの雰囲気に合わせて、音楽もソフトに流れる。オケシンセを使用したり、穏やかなイメージをベースに進めていく。ところが、どこかスッキリ爽やかではない何かが、これから起きる出来事の予兆をアナウンスする。

音の構成も、流れを一瞬止めたり、不自然に切ってしまったりとソワソワ・ザワザワする。気付いたら、このストーリーに視聴者は自然に飲み込まれている。ラブストーリーとサスペンスが絡みながらも、コンセプトは明確に見える。作品のクオリティに魔法をかけられたようだ。

■試される愛

番組HPの秋元康のコメントが、ドラマのコンセプトを端的に示す。
「恋人のことをどのくらい知っていますか」
「恋人が抱えている秘密が、どのくらいのものまでなら、あなたは耐えられますか」

キリスト教の結婚式で必ず出てくる誓いの言葉は、「どんな時もあなたは、彼(女)を許し、支え愛し続けることを誓いますか」。この問いに、ほぼ100%の新郎新婦は「はい、誓います」と、いとも簡単に答えている。しかし現実の生活の中で、果たしてそれをきちんと実行できる人はどのくらいいるだろうか。
"許す"という行為の前には、"相手を受け入れる"ことが前提にあって、相手を受け入れる前には、"相手を理解する"ことが必要になってくる。どこまで理解して、どこまで受け入れて、どこまで許すのか。線引きは難しく、だからこそ人は悩み苦しむ。

■新たな"怪談"へ

このドラマのストーリーは複雑に見えるが、コンセプトは極めてシンプル。軸がしっかりしているからこそ、見る者をがっちり取り込む。脚本に注目しても、印象に残るフレーズが、ドラマの中で何回も出てくる。

母が黎にかけた言葉......「罪はなかったことにすれば罪じゃなくなるのよ」
爽が黎にかけた言葉......「きれいごとでも優しい方がいいよ」
法律事務所の弁護士・香坂いずみ(山本未来)の言葉......「人間とは、矛盾しているもの」

秋元康の原案が骨太だからこそ、脚本が思いっきり振り切れている。その世界観の中で、俳優たちが存分に魅せる。さりげない日常生活の演技の中に、違和感なくカットインする戸惑い・躊躇(ちゅうちょ)・恐怖など。ベタでない、新たな夏の世の怪談話が躍動する。

初回の視聴率は8.2%と、日テレドラマの初回としては低調だった。ただし仕掛けられた数々の恐怖やどんでん返しが話題となり、今後視聴者を増やす可能性は十分ある。"愛の極限を問う自問自答ラブミステリー"が、夏の夜の新たな定番ドラマを切り開く予感がある。

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コラムニスト: はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所

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