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舞台は下北沢!
ドラマ24「下北沢ダイハード」(金曜24:12~24:52・テレビ東京系)の初回が放送された。小劇場で活躍する11人の人気劇作家が書きおろす"下北沢で起きた人生最悪の一日"は、個性豊かで自由な一話完結型のオムニバスドラマだ。バーのママ(小池栄子)と行きつけの客・ジョン幕練(古田新太)が案内役を務め、下北沢で起きた"人生最悪の一日"を語る。

サムネイル

小池栄子, Jul 16, 2016 : 経済情報番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)の10周年と放送500回を記念した会見(写真:MANTAN/アフロ)


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初回は「裸で誘拐された男」。
選挙を間近に控えた国会議員・渡部修(神保悟志)の"最悪"で"最高"の一日を描く。

■初回の概要

渡部は大のSM好きという秘密を持っていて、しかもドMだった。家では妻の景子(高橋ひとみ)や息子のケント(吉沢亮)に対し亭主関白で厳粛な父だが、女王様・麗奈(柳ゆり菜)の前では完全に服従する犬で、なんでも言うことを聞いてしまう。
ある日、妻に内緒で麗奈とSMプレイを楽しんでいた。時間が来て延長を申し出ると、麗奈は渡部に全裸になってスーツケースに入るよう命じる。
「あなたは今日から私の犬」と言って、スーツケースに入れて下北沢の街を散歩するのだった。二人は街に繰り出すが、思わぬ事態が発生する。麗奈の電話中に、スーツケースを置いてその場を離れた一瞬、別の見知らぬ人が置いたもう一つのスーツケースと入れ替わって持って行かれてしまう。ハダカで携帯だけ持っていた渡部は、麗奈に「助けて」とメッセージを送るが、女王様は客が喜んで興奮しているのだと取り合ってくれない。取り違えられたスーツケースの行き先は......
元のスーツケースは、誘拐事件の犯人が要求した身代金一億円が入っていたらしい。ところがそこへ、全裸の中年男が間違って届けられてしまう......国会議員・渡部の政治生命が絶体絶命というあり得ないピンチ!!おっとどっこい、このドラマは、それだけでは終わらないサプライズが待っていた。

■"予測裏切りの連続"ドラマ

深夜放送とあって、「地上波テレビの民放でもここまでできるのか」と思わず目を疑ってしまうほど、このドラマは自由だ。まったくタブーなしと見える"思いっきりの良さ"は、はっきり言ってオモシロイ!笑いあり、SMプレイあり、誘拐あり、脅迫、殺人未遂、と豪快な展開に、「40分の短い時間にうまく収めたな」と感心する。渡部のつぶやき、大ピンチに追い込まれたシーンのひとり言も、絶対、当事者にはなりたくないが、痛快で笑える。偶然行き先を間違えたスーツケースの先には誘拐犯が待っているという設定と、SMプレイからの非現実的シチュエーションが斬新だし、「誘拐犯が自分の息子」というまさかの設定と、次から次へと続く驚きの展開に、「え?っ! マジ?」と視聴者の声が聞こえてきそうだ。そして、すべてのストーリーは、息子の演劇の舞台、というあり得ない"どんでん返し"も、「完全にやられたぁ~」の一言に尽きる。

もう1つ。
ネタ晴らしの後の楽屋での家族3人のやりとりも素晴らしい。
現実から演劇空間にワープした物語が、もう一度現実に見事に着地するやり口。心憎い演出は、本当に「ブラボー!」と叫びたくなるほど、やられた感じだ。

■"多彩な才能がほとばしる"ドラマ

脚本を書いた、西条みつとし氏は、もともとはお笑い芸人で、2010年まで"あれきさんだーおりょう"の名で、ピン芸人として活動していた。その後、青木さやか率いる「青木軍団」の一員となり、劇団でも数々の作品の中で脚本や演出などを担当し、多彩な才能を発揮している。
なるほど納得で、リズミカルなストーリー展開の速さ、意表をついた劇的なオチ。スーツケースの中をのぞいたり、渡部からの視線などのカメラワークに至るまで、こだわり抜かれた演出も、トータルで素晴らしい。

劇中音楽の使用は、極めて少なめで、セリフ、空間、雰囲気を大切にし、ムダを取り除いたシンプルな演出だ。
たくさんの小劇場が点在する下北沢。そのイメージを生かし、ドラマというより劇という空間を物語にうまく取り入れ、演劇をこよなく愛する脚本家の魅力が、見事に前面に出た秀作と言える。

そして、エンディングテーマ、"雨のパレード"が歌う「Shoes」も注目したい。
シルバーのメタリックな質感を思わせる都会的でクールなサウンドで始まり、シトラスミントのような冷たいハスキーボイスが、耳にとても心地よい。さらりと変幻自在に、しなやかでいろんな顔を持つ魅力的なグループだが、今回のような視聴者の期待を次々に裏切る面白いドラマの最後を、見事にしゃれた雰囲気でまとめてくれている。

11人の個性が光る下北沢の小劇場シリーズを見たら、本当に下北沢の街で、本物の舞台を見に行きたいと思ってしまう。これもドラマ制作陣のねらいなのだろう。とにかく、脱帽......。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所

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