ここから本文です

住野よるのベストセラー小説を実写映画化した映画『君の膵臓をたべたい』(7月28日公開)。本作でメガホンをとったのは、これまで『黒崎くんの言いなりになんてならない』や『君と100回目の恋』などの恋愛映画を手がけた月川翔監督だ。余命いくばくかの重い膵臓(すいぞう)の病を抱える女子高生が主人公でありつつも、大きな希望や前に進む力が作品には満ち溢(あふ)れている本作。そのストーリー展開と美しい映像は見ている人を魅了するが、そんな世界観を作り上げた月川監督が作品について語った。

サムネイル

月川翔監督、映画『君の膵臓をたべたい』(7月28日公開)


【劇場予告編】主題歌はMr.Childrenの新曲「himawari」>>


【インタビュー】浜辺美波&北村匠海、『キミスイ』でみずみずしい演技を披露!

■原作にはないオリジナルのストーリー、原作ファンの小栗旬も「乗ります」と賛同

【劇場予告編】『君の膵臓をたべたい』>>


――衝撃的なタイトルの作品でしたが、原作を読まれてどんな印象を持ちましたか?

月川: 軽快な会話のやりとりもそうですが、キャラクターがとてもユニークだなって思いました。重い病を抱えた女の子が主人公ということで、結末もわかりきっているだろうと読んでいたのですが、大きく裏切られる展開に衝撃的かつ新鮮な読書体験ができたなと脱帽しました。以前から「好きだと思うから読んでみたら?」と周囲から言われていたのですが、大好物でした(笑)。

――原作にはない12年後の"現在"を描いていますが、どういう経緯でこういうストーリー展開になったのでしょうか?

月川: 小説と映画は1対1のイコールでは作れないという考えから始まりました。どうやってこの作品の魅力を2時間に濃縮するかと考えたとき、小説のなかに少しだけ出てきた桜良というヒロインが亡くなったあとのことを広げたいと思ったんです。誰かが亡くなっても、大切な人の人生は続く。喪失感を経験した人たちの、その後の視点で物語を展開していけば、桜良という人間が、その人たちの人生にどれだけ影響を与えたかがわかる。悲しいだけで終わらない物語になると思ったんです。

――大胆なアレンジに不安はなかったのでしょうか?

月川: 本作にも出演している小栗旬さんが、原作の大ファンだというのを聞いていたので、その小栗さんが原作と違うことに難色を示したらどうしようという思いはありました。でも僕らの考えに「覚悟して乗ります」と言っていただけたので、その不安は解消されました。

■浜辺美波はいい意味で不安定さが魅力、北村匠海はスクリーンで見る価値がある演技

サムネイル
7月28日(金)に全国公開される映画『君の膵臓をたべたい』


――浜辺美波さんと北村匠海さんという若い俳優さんはいかがでしたか?

月川: 浜辺さんは、テストで「こういう風にやりましょう」と言っていても本番で変わるんです。いい意味で不安定というか、毎回お芝居が違う。その不安定さに北村くんが振り回されるという感じが、実際の役柄の関係性と似ていたので、すごく良かったんです。北村くんは浜辺さんより経験を積んでいる役者さんなので、しっかり安定して受け止めてくれました。

――浜辺さんの不安定さというのは天性のものなのでしょうか?

月川: 感覚の人なのかもしれませんね。本人の気質はまじめな優等生だと思うのですが、まだ若いので頭で考えていることと、表に出てくる表現が乖離(かいり)しているかなって感じました。でも今後、もっと現場を踏んで経験を積むと、技術で上手に演じられるようになっていくと思うんです。その意味では、このフレッシュさは今だけのものなのかなと考えると、すごく良い時期に撮らせてもらったなって思います。

――北村さんの魅力は?

月川: 匠海くんはこれまで何度かご一緒しているのですが、わずかな目の動きとか呼吸で胸に迫ってくる芝居をしてくれるんです。スクリーンで見る価値のある演技だなって感じました。しっかり間をとっても、その隙間を想像できる芝居をしてくれました。

サムネイル
7月28日(金)に全国公開される映画『君の膵臓をたべたい』


――三木孝浩監督とお仕事をされる機会が多かったですが、影響を受けた部分はありますか?

月川: 三木さんから学んでいることは相当あります。光の使い方もそうですが、
三木さんの監督したPVの編集を僕がお手伝いしたときとか、なるほどと思うことは多いです。素材の撮り方なども学ばせていただいています。

――三木監督は恋愛映画マスターと言われている部分もありますが、月川監督も恋愛映画が続いていますね。

月川: 『黒崎くんの言いなりになんてならない』や『君と100回目の恋』は若い子に向けた作品だったので、10代、20代の子用にサービスカットもプロデューサーと相談していたのですが、本作は年齢層を広げているので、サービス的なカットはこれまでの作品よりはないかもしれませんね(笑)。

■しっかりとお客さんのニーズに応えたい

――本作の北村さんもアーティスト活動をされています。前作『君と100回目の恋』もmiwaさんというミュージシャンを起用していますが、演出面で注意していることはありますか?

月川: 僕はミュージックビデオなども撮っているので、アイドルのプロモーション用映画なども作ることがあるんです。音楽活動をしている子たちって、ステージで勝負しているので、集中力がすごいんです。miwaさんも泣くシーンなどは感情の入り方が違いますね。ただ、北村くんの場合、僕は俳優という見方をしていたので、そこまでアーティストということを意識したことはありませんでした。

――公開規模の大きな作品へのチャレンジでなにか意識したことはありますか?

月川: 『黒崎くんの言いなりになんてならない』や『君と100回目の恋』も100館以上の劇場で公開されましたが、今回はそれ以上。僕にとって映画は、自己表現ではなく、しっかりとお題に対して、お客さんにどうやって受け入れてもらえるかを考えます。見てくれる人にしっかり作品のよさを届けられるように一生懸命取り組むだけです。

(取材・文・撮影:磯部正和)
--------------
月川翔(つきかわしょう)
1982年8月5日生まれ、東京都出身。東京藝術大学大学院映像研究科修了。在学中、黒沢清・北野武教授のもと「心」など4作品を制作。「LOUIS VUITTON Journeys Awards 2009」にて審査員グランプリを受賞するなど、その映像表現は高く評価されている。本作以降にも菅田将暉、土屋太鳳がダブル主演を努める『となりの怪物くん』(2018年公開予定)でもメガホンをとる。座右の銘は「健康第一」。

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ