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200万枚を超える大ヒットを記録した12年前(2005年)の『歌バカ』以降のシングル23曲をすべて収めた<通常盤>、それにブルーレイが付いた<初回限定盤B>、『歌バカ』に入っているデビュー曲「Precious Junk」(1995年)から「POP STAR」(2005年)までの23曲も改めて収録し、全キャリアを網羅した全46曲の<初回限定盤A>、という3形態でリリースされた、平井堅のシングル・コレクション・ベスト・アルバム『歌バカ2』。そして、その3形態すべてに、tofubeats/草野マサムネ/TOKO(古内東子)/横山剣/槇原敬之/石野卓球/BONNIE PINK/LOVE PSYCHEDELICO/中田ヤスタカ/KANの10人が詞曲を提供したニュー・アルバム『歌バカだけに。』が付いている。この作品について(特に『歌バカだけに。』について)、そして現在の自身について平井堅が語った。

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平井堅、シングル・コレクション・ベスト・アルバム『歌バカ2』をリリース


【ミュージックビデオ】平井 堅 「ノンフィクション」(ショート ver.)>>


■一昨年からずっと、ベスト盤を出そうとせっつかれていて(笑)

──『歌バカだけに。』をこのベスト盤に入れたのは? 単体で出したくなるようなすばらしい作品だと思うんですけど、ベストに入れる前提で、曲の依頼を始めたんですか?

平井: いや、そこがちょっとフワフワしていて。けっこう前から......たとえば、(草野)マサムネさんと飲んだ時に、『今こんなことを考えてるんです、曲を書いてくれませんか』って話をしたのが......あれ2年くらい前かな。そういうふうにゆっくり進めていくうちに、先にニュー・アルバム『THE STILL LIFE』を作ったり、シングルもいろいろ出していて。自分自身のクリエイティビティが燃えたぎっている時期で、いろんな曲を手掛けていたんですね。
そんな中、レーベルからは、デビュー20周年だった一昨年からずっと、ベスト盤を出そうとせっつかれていて(笑)。ある日、呼ばれて行ったら、会議室にバーッとお偉いさんが並んでいて、「今、平井堅がベスト・アルバムを出すのがどんなにいいことなのか」っていうのを、いろんなデータを出して説得されたり......。(笑)。

日々そういうことがあって、「何かいい状況の時に出しますんで」というのを言い訳に、ズルズルひっぱっていく中、『歌バカだけに。』も作っていて。それが完成するタイミングと、ベスト・アルバムのタイミングが合って、同じパッケージで出すことにしたんです。
僕も、『歌バカだけに。』をこのベストに入れるっていうのが、いちばんスッと腑に落ちたんです。このベスト、<初回限定盤A><初回限定盤B><通常盤>って3つあるんですけど、『歌バカだけに』。は、その全パターンに入っているから、ベストを買ってくださった方はみなさん聴いてくださるだろうし、それはうれしいことだと思って。

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平井堅、シングル・コレクション・ベスト・アルバム『歌バカ2』をリリース


──歌詞も曲も委託して歌だけに徹する、っていうのは、前からやってみたかったこと?

平井: はい! 昔から再三言ってることですけど、提供曲も歌いたいっていう気持ちは、まずあって。あと、やっぱり......すごいありがたいことだと思うんですけど、僕、デビューの時から今まで、誰かに何かを無理矢理させられるってことがないんですよ。とにかく常に「平井がやりたいようにやればいい」って言われ続けて、22年。
それは恵まれてると思うんですけど、でもどっかで、それって......与えられた自由は孤独、みたいな(笑)。わかんないけど、全部自分で決めてるのが不安っていうか、ストレスにもなることがあって。
「こんな曲、歌いたくなかった」みたいなことを、あとで言ったりする人、いるじゃないですか。昔の歌謡曲の歌手とか。問答無用に歌わされる、そういうものがパッて輝く瞬間、みたいな。僕、芸能が好きだから、ちょっとそういうのに憧れがあるんですよね。
でもこの10人、自分がお願いした、自分が好きな人達だから、歌いたくない曲が上がってこないんですよ(笑)。ほんとはそれすらも外して、誰かに無理矢理歌わされたい、みたいな。

■だから、奴隷化したかったんですよね

──芸能界の人買い感みたいな?

平井: そうそう。意に沿わないことを無理矢理やらされることに対する憧れっていうか。無理矢理じゃなかったけど、初めて人の詞曲で「楽園」を歌ったのも楽しかったし(※2005年、詞曲を外部の作家に委ねて「これで売れなかったら契約終了」という背水の陣で挑んだシングル。60万枚オーバーの大ヒットを記録)。もう45の、分別もついた大人だけど、人にただ操られるみたいなの、やってみたかったんですよね。
今回お願いしたみなさん、「気に入らなかったら書き直すから言ってね」って言ってくださったんですけど、そういうことをすると、結局僕の好みになっちゃうなあと思って。
だから、奴隷化したかったんですよね。ほんとは嫌いな作曲家に書いてもらってもよかったのかも。次はそれもおもしろいですね、大っ嫌いな人に書いてもらうっていう。

──「あなたの曲、大嫌いなんです! 書いてください!」と(笑)。

平井: はははは! おもしろいですよね。でも、そういう意味では今回だと、普段の自分といちばんかけ離れた、石野卓球さんの曲とか、中田ヤスタカさんの曲が......特に卓球さんの曲は、歌唱においての平井堅らしさみたいなものを放棄して臨んだので、そういうのは奴隷願望としてはすごい気持ちよかったです。「ああ、自分の色、出せないじゃん!」みたいな(笑)、そういう快感はありましたね。
中田ヤスタカさんも......CAPSULE、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅと......無機質に歌うものとか、あと女性ボーカルが合う曲を作る方だと思うから。どう歌おうかなあと悩みました。
いわゆる棒歌いというか、あんまり抑揚をつけずに歌ったりしてみたんだけど。ヤスタカさんから「そんなに意識しないで、いつもの平井さんぽく歌ってください」って言われて、最終的に平井堅ぽく歌いましたね。
でも、あの曲は......悪い意味じゃなくって、また違う感じで歌いたいなって気持ちになりました。新しいバージョンとして。平井堅の......今まで一所懸命、インド人になったり、安室(奈美恵)ちゃんと歌ったり、いろいろやってきたけど、そういうおもしろいことをしたいなっていうひとつの方法として、中田さん的なアプローチはいいな、やってみたいなと。まだこの先があるというか。
あとは、たとえばマサムネさんは、いつも「平井くんが歌えない曲を書きたい」って言ってくださっていて、そういうのを狙って書いたっておっしゃってましたね。逆にKANさんは「平井くんがいかにも書きそうな曲を、僕があえて書く」って言って書いてくれたり。

■美しい歌を歌う人は、絶対どこかに美しい部分がある気がする

──キャリア20年を超えて、ご自身にとって歌うことの意味合いが変わってきたりしているところはあります?

平井: そうですねえ......歌うことは好きだし、ほかにやることがないっていうのは相変わらず大きいし。ほかにやりたいものがないから。
あと、これだけ長いことやってると、麻痺してきてわかんなくなるんですけど、今の気分で言うと......45にもなってくると、若い時の衝動みたいなのももうないし。「聴かせたい!」みたいなのも、どんどんなくなってくるし。
歌うこと、音楽を作ることっていうのが......この間のライブのMCでも言ったんですけど、みなさんと同じように、僕も一所懸命生きていてですね。悩んだり、笑ったり、遊んだり、エッチなことを考えたり、日々いろいろあるわけで。
その一所懸命生きてることが、ありがたいことに、わりと直結する仕事だから。自分が誰と会って、どんなことを思って、何を感じて、何を見て、っていうのがリトマス試験紙っていうか。それを染み込ませて表せる、唯一の手段なのかなとは思いますけど。
歌うことは......どう生きているかが、そのまま出る。とは、最近すごく思う。だから、うーん......スピリチュアルって捉えられるとイヤなんだけど、魂がきれいな人間でいたいなって、常に思っていて。
それはどう定義するのか難しいけど、たとえばなるべく嘘をつかないように日々すごすとか。自分に自信がないから、太らないようにするとか。もっと単純に言うと、本を読むとか、映画を観るとかのインプットもそうだけど。そういうことでしか、作品を磨くことができないような気がするっていうか。

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平井堅、シングル・コレクション・ベスト・アルバム『歌バカ2』をリリース


──「神様が見ているぞ」的に、「日頃の心身の様子がそのまま歌に出るぞ」みたいな?

平井: そういうのって、若い頃、年寄りに言われてうっとうしいと思った気がするんです。「恋しないとダメだぞ、おまえ」みたいな、そういうおっさんになっちゃったのかもしれないけど、でもほんとにそう思うんですよね、今は。その人が本当にいい人か悪い人かなんて、興味もないしどうでもいいけど、美しい歌を歌う人は、絶対どこかに美しい部分がある気がするんですよね。

◆平井 堅 BEST ALBUM「Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ2」
2017年7月12日(水) ON SALE

※3形態すべてに、tofubeats/草野マサムネ/TOKO(古内東子)/横山剣/槇原敬之/石野卓球/BONNIE PINK/LOVE PSYCHEDELICO/中田ヤスタカ/KANの10人が詞曲を提供したニュー・アルバム『歌バカだけに。』が付いている

◎ 初回生産限定盤A:
全46曲完全リマスター!! All Time Single Collection 1995-2017+新曲10曲収録。
☆撮り下ろし写真・全シングルの歌詞/ジャケット写真・スペシャルインタビューを掲載した豪華ブックレット付き。
【4CD】価格:¥4,620(税抜)/¥4,990円(税込)

◎ 初回生産限定盤B
全23曲完全リマスター!! Single Collection 2006-2017+新曲10曲収録。& Music Video Collection of Singles 2006-2017
☆撮り下ろし写真・収録シングルのセルフライナーノーツ/歌詞/ジャケット写真・スペシャルインタビューを掲載した豪華ブックレット付き。
【3CD+Blu-ray Disc】 価格:¥4,620円(税抜)/¥4,990円(税込)

◎ 通常盤
全23曲完全リマスター!! Single Collection 2006-2017+新曲10曲収録。
☆撮り下ろし写真・収録シングルのセルフライナーノーツ/歌詞/ジャケット写真・スペシャルインタビューを掲載した豪華ブックレット付き。
【3CD】 価格¥3,694円(税抜)/3990円(税込)

プロフィール: 平井堅(ひらいけん)

三重県名張市出身。1995年デビュー。2016年6月発表の最新シングル「魔法って言っていいかな?」を含め40枚、最新アルバム『THE STILL LIFE』含めオリジナルアルバム9枚をリリース。歌謡曲は勿論のことR&B、POP、ROCK、HIPHOP、HOUSEなど多種多様なジャンルに傾倒し、数多くのヒット作品を輩出。累計3,000万セールスを記録する。日本人男性ソロアーティストとしては初めてのMTV UNPLUGGEDの出演や、スティーヴィー・ワンダー、ジョン・レジェンド、ロバータフラッグ、美空ひばり、坂本九、草野マサムネ、安室奈美恵など時代/ジャンル/国境を越えたコラボレーションを実現。これまでに4枚のALBUMでミリオンセラーを記録し男性ソロでは歴代No.1の記録となるなど、記憶と記録に残る活動を続ける。2015年5月13日にデビュー20周年を迎えた。

(取材・文/兵庫慎司)

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