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シンガー・土岐麻子が、ベストアルバム『HIGHLIGHT - The Very Best of Toki Asako -』を7月26日にリリースした。6年ぶりのベストアルバムは、2曲の新曲を含む洗練された踊れるポップ・ナンバーを厳選。ジャズの名曲や大人のポップスを歌い、"クイーン・オブ・シティ・ポップ"と呼ばれる土岐が、光を感じる"ハイライト"な楽曲誕生の秘密について、明かしてくれた。

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土岐麻子が、ベストアルバム『HIGHLIGHT - The Very Best of Toki Asako -』をリリース


【ミュージックビデオ】夏の陽射しを感じさせる最新曲「STRIPE」>>


■若い世代・20代からの「いいじゃん!」が新作の励みに

「今年の1月にリリースしたオリジナルアルバム『PINK』は、今までのアルバムに比べてダンサブルな曲が多めでした。私の中にある音の趣向はあまり変わってないのですが、"土岐麻子ってこういう感じ"と自分で自分のことを決めつけてしまいがちだったので、その凝り固まっていたイメージを打破したアルバムになりました。大きく趣向を変えたと思われるのかなと、実はちょっと不安交じりだったんです。でも、新しく挑戦したことで20代の方にも『いいじゃん!』と言ってもらえたというのを耳にして、自分のことを認めてもらえた気がしてすごくうれしかったです。最新作『HIGHLIGHT - The Very Best of Toki Asako -』は、もっといろんな世代の方に私の音楽を知ってもらいたいという思いを込め、『PINK』に通じるような、心も体も踊り出したくなる楽曲を選びました」

「自分がボーカルをとるときは、声も音の一部として捉えて、サウンドに光を与えるようなイメージで歌っています。『明るい声だね』と人からよく言われるのですが、自分自身でそうありたいと意識して歌っています。『HIGHLIGHT』に収録されている楽曲で、一番古い曲は2009年にリリースした『smilin'』なんですが、その頃からボーカリストとして声が着地してきました。『HIGHLIGHT』には、それ以降にリリースした楽曲が収録されているので、安定したボーカルで統一感のあるベストアルバムになったと思います」

【ミュージックビデオ】ベストアルバムにも収録「Gift ~あなたはマドンナ~」>>


■闇にいるからこそ見える世界とは?"光と影"のコントラスト

「前作『PINK』は、プロデューサー/ミュージシャンのトオミヨウさんが、プロデュースしてくださいました。私の中ですごく手応えを感じたので、完成後もトオミさんと早く次の曲を作りたかったんです。トオミさんも私と同じように、一緒にもっと曲作りしてみたいと思ってくださったので、今作に収録した新曲『STRIPE』と『FANTASY』も、トオミさんに作曲とサウンドプロデュースをお願いしました。『FANTASY』は曲が先にでき上がって、後から私が歌詞を書き始めたんですが、『STRIPE』は歌詞の方を先に書いています。今までの自分の曲を振り返ったときに、"光と影"のコントラストが描かれていることが多いと気づきました。歌い手の私は闇から光を見ているような視点になっていて、いつも舞台の中心からちょっと離れた暗い場所から物事を見ていると思ったんです。そこが、私の中で無意識に存在しているキャラクターの視点であり、作品の根底にある部分なのかなと、『STRIPE』はそんなことを意識して書いた歌詞です」

「子どもの頃は影にいるという意識はなかったのですが、大人になるにつれて、みんながはしゃいでいるのに、なんとなく先導切って一緒に走れなくなったような気がしていました。影の立場にいることは孤独で寂しい気もするのですが、生命力にあふれた輝く人たちのことを眩(まぶ)しく感じるようになると、世界がより一層美しく見えたりします。私は、光のありがたさを常々感じて生きていますね(笑)」

【ミュージックビデオ】ベストアルバムにも収録「乱反射ガール」>>


■曲作りの基準とは、"車で聞いて気持ちいい音楽にする"

「私の中には、"車で聞いて気持ちいい音楽にする"というのが、曲作りの基準の一つとしてあります。乗り物に乗っていると窓の外の景色が一瞬一瞬で流れていくので、乗り物は瞬間的に流れていく音楽みたいだなと思うんです。窓の外に流れる景色と流れる音楽のリズムに一体感が生まれると最強だと思います。車から見える移り行く景色は、一秒一秒の時間の流れを感じているようで、今を生きている感じがしますね」

「以前の私は歌詞を私小説のように書いていました。でも、アイドルグループ・Negiccoやシンガー・南波志帆さんに歌詞提供をする機会もあったので、年齢を重ねるに従って客観的な歌詞を書けるようになってきています。特に『PINK』以降は歌詞をドキュメンタリーのように書いています。主役のキャラクターや顔、どんな服を着てどんな仕事をしているか、設定を決めてから、歌を1つの物語のように作っています。ベストアルバムに収録した新曲『STRIPE』や『FANTASY』も、私が違う人生を生きていたらどうなっていたのかを妄想しながら、自分であって自分じゃないような主人公を登場させています。今後の作品は、ストーリー性のある楽曲を、もっと作っていくと思います」

「今は歌うことで物語を伝えていますが、ドキュメンタリー番組のナレーションにもすごく興味があります。ただコンビニへ買い物に行くだけという行動も、すごく悲しい声色のナレーションをつけたら、『この人に何かあったのかな?』という気持ちになりますよね? 声色によって物語全体のイメージも大きく変わるところが、すごくおもしろいと思います。自分の声も物語の一部として楽しんでもらえるような活動も、今後やってみたいですね」

◆土岐麻子 プロフィール
東京生まれ。Cymbals のリードシンガーとして、1997年にインディーズ、1999年にメジャーデビューを果たす。2004年のバンド解散後、実父・土岐英史氏を共同プロデュースに迎えたジャズ・カヴァー・アルバム『STANDARDS ~土岐麻子ジャズを歌う~』をリリースし、ソロ始動を開始。本人出演/歌唱したユニクロテレビCMソング『How Beautiful』を始め、資生堂「エリクシール シュペリエル」CMソング、『Gift ~あなたはマドンナ~』など、自身の作品のみならずCM音楽の歌唱や、数多くのアーティスト作品へのゲスト参加、ナレーション、テレビ、ラジオ番組のナビゲーターを務めるなど、"声のスペシャリスト"的な存在。レギュラーラジオ/JFN系「TOKI CHIC RADIO」(2009.10~)、TOKYO FM「キュレーターズ ~マイスタイル×ユアスタイル~」(2016.4~)。
<座右の銘>「自分をだまさない」

(取材・文・写真/岩木理恵@HEW

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