ここから本文です

「愛と平和」をコンセプトに掲げ、都内を中心に神出鬼没な活動を続ける5人組バンド、WONDER-FULLがファースト・アルバム『愛でしかない』を8月15日終戦記念日にリリースする。プロフィールなど一切明かさず、ネット上に突如現れた彼らに対し、いとうせいこうや俵万智、カンニング竹山、しりあがり寿といった著名人もツイッターなどで反応を示している。
世界的に不安定な情勢が続く現在、「愛で平和を維持させる」ことを真剣に考えている彼ら。主にビートルズに影響を受けたハイクオリティなメロディとアレンジは、音楽ファンなら誰しも気になるところだろう。
彼らが信じてやまない、「音楽の力」とは? ボーカルに話を聞いた。

サムネイル

正体不明のロックバンド「WONDER-FULL」がファースト・アルバムを8月15日にリリース


【ミュージックビデオ】WONDER-FULL 「愛でしかない」>>


■「音楽で世の中が平和になる」と、本気で思っている

――まずはバンド結成の経緯をお聞かせください。

ボーカル: 僕は音楽の力をバカみたいに信じていて、「音楽で世の中が平和になる」と、本気で思っているんです。それはジョン・レノンという人がやろうとしながら志半ばで凶弾に倒れて成就できなかったことですが、今は誰がそれを引き継ぐのか? という状況です。日本では、忌野清志郎さんが引き継いで活動してくれていたと思うのですが、彼もいなくなってしまった。今や、誰もジョンの魂を受け継いでいないんじゃないかという危機感が募ってきて「だったら僕がやる」と。そこに色々な垣根を越えて、ものすごいメンバーが集まってくれました。そんなわけで、正体を明かすといろいろ面倒なこともあり(笑)、完全覆面バンドで活動することにしたんです。

――昨年、「音楽に政治を持ち込むな」といった趣旨の書き込みがSNS上にあがり、そのことも活動の大きな引き金になったとか。

ボーカル: そうですね。振り返ってみれば、ポリティカルなメッセージを持った音楽というのが、特に日本ではここしばらく全然ないなと。僕自身は、「音楽にはメッセージがあるべき」と強く思っています。音楽は、社会にいい影響を及ぼすための、すごく効果的なツールであるのに、どうしてみんなそれを使わないんだろう、もっと音楽を通して「ラブ&ピース」を伝えればいいのに......と。そんな時に、例のSNSの書き込みを知り、「いやいや、もともとロックと政治って強く結びついていたじゃん!」って(笑)。でも考えてみれば、メッセージを持たない音楽ばかりを、若い世代の人たちはずっと聴いてきたわけだから、大人が「そもそもロックとは......」なんて説教してもしかたがないなと。ロックと政治を切り離してしまったわれわれ大人に責任があると思うし、だったら自分自身が、「こんな音楽もあるんだよ?」と身をもって示すべきだなと思ったんです。

■お互いに尊重できる世の中、多様性を認め合える世の中になって欲しい

――音楽の力で、世の中をどんな風に変えたいと具体的には思っているのですか?

ボーカル: みんなそれぞれの考え方があっていい。当たり前の話です。ですが、どうもここんところ考え方の矯正というものが世の中にジワジワはびこりだしてきているような気がする。怖いのは、みんなが同じ方向を向いて、集団ヒステリーのようにわーっと行ってしまうこと。そうなると「同調圧力」に押されてしまい、自由という感覚を忘れてしまう。「俺はこう思う、そのことについて他の人がどう思うかは関係ない」って、一人一人がちゃんと思えて、それに対してお互いに尊重できる世の中、多様性を認め合える世の中になって欲しい。そのためにわれわれは、われわれの音楽を通して「何を表現したっていいんだよ」ということを伝えているつもりなんです。

――WONDER-FULLが最も表現したいことは?

ボーカル: 「愛」です。恋愛の歌はたくさんありますが、僕が歌いたいのは「人類愛」というか、「この地球上に生きとし生けるもの全てに対する愛」です。
自分自身も自然の一部であり、地球という「愛」に包まれて生きているという感覚を、人はつい忘れがちじゃないですか。僕らの音楽が、それを思い出すキッカケになったらいいなと思っています。「愛でしかない」というタイトル、本当にそう思っているんですよ(笑)。「生きている」ということは「生かされている」ことであり、「生きていいんだよ?」ってことだと思うんです。この広大な宇宙の中で、酸素や水がある地球という希有な星にわれわれは生を受けたわけですから、「生きている」ということ自体が「愛」なんですよね。

――なるほど。

ボーカル: それなのに、そんな「愛」の中で人間同士がいがみ合っているって、本当にバカバカしいと思う。「愛でしかない」という、本当にシンプルで当たり前で、忘れがちなことこそ、音楽の力で発信すべきじゃないかと。ジョン・レノンの「イマジン」の歌詞だって、"国境も宗教も、人種の壁もない世の中を想像してごらん?"と、めちゃくちゃシンプルで分かりやすいじゃないですか。

■なぜ「覆面バンド」か

サムネイル
正体不明のロックバンド「WONDER-FULL」がファースト・アルバムを8月15日にリリース


――ジョン・レノンといえば、今回リリースされるファースト・アルバム『愛でしかない』は、随所にビートルズのエッセンスがちりばめられていますよね。ビートルズ好きが聴いたらニヤニヤ嬉しいサウンドです。例えば「悲しい匂い」という曲はまるで、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の世界観をギュッと凝縮して1曲にしたようだし、「抱きしめあいたい」はもちろん「抱きしめたい」のオマージュで、ハンドクラップやギターサウンドなどにビートルズを感じます。

ボーカル: あえてそこを狙いました。ビートルズという究極の愛の爆弾の設計図を借りたんです。なによりも一番ダイレクトに効果を発揮するはずだと。そもそも覆面にしたのは、とにかくシンプルに楽曲と歌詞だけを聴き手に届けたいという思いからです。「誰が作った曲」だとか「メンバーに誰がいる」とか、そういう邪魔になる情報は一切排除したほうが、ちゃんとメッセージが伝わるはずだと。その上で、無視できないちゃんと引っかかるサウンドにしたかった。で、ビートルズ的サウンドです。まずは音楽好きの人に、何の偏見も先入観もなく音を聞いてもらいたいんです。

■僕たちは「過去は変えられるけど、未来は変えられない」

――個人的には「時間論」の歌詞がとても印象的でした。

ボーカル: ある宇宙物理学者の著書を読んで、非常に感銘を受けたんです。それによれば「過去は変えられるけど、未来は変えられない」と。普通は逆じゃないですか。「過去は変えられないけど、未来は変えられる」とはよく言われていますよね? でも、「未来は何が起こるか分からないから、自分ではどうしようもないのだ」と。何をしていたって、急に災害が起きて何もかも失うことも示唆しています。

――大きな震災を何度も経験している私たちには、とてもリアルに響きますね。

ボーカル: そう。一寸先のことはわからないから、どうしようもないというのは、われわれが深く学んだことだと思うんです。人間は、「今」この瞬間しかどうすることもできない。そして、その「今」をどう生きるかによって、過去にどれだけ嫌なことやつらいことがあっても、「それがあったからこそ、今の自分がある」っていう風に捉えることは可能だと思うんです。そうすると、過去に起きた事実そのものは変わらなくても、「過去の意味」を変えることはできる。
だから「今」をどうするのかがなによりも大事。この発想って、すごいなあと思ったんですよね。

■「誰そ彼(タソカレ)」......そんな、「想像する」ということの素晴らしさ

――リード曲「愛でしかない」のPVは、どんな風に作りましたか?

ボーカル: メンバーの姿をシルエットにしているのは、日本古来のすてきな考え方を意識しました。平安時代の頃、黄昏(たそがれ)時によく見えないけど誰かが向こうからやってくると。それは、自分が愛する人かもしれないという、「誰そ彼(タレソカレ)」から黄昏(たそがれ)という言葉が生まれたんです。よく見えないからこそ、どうとでも想像できる。そんな、「想像する」ということの素晴らしさが、短歌にはたくさん書かれているんですね。はっきりと見えない感じ、曖昧な部分というのが、何でもかんでも白黒つけたがる今の時代こそ、もう一度見直されるべきなのでは? というメッセージも込められています。想像する大切さ。想像力を働かせて白でも黒でもない新しい色をクリエイトして行く喜びを喚起できたらいいなと。

――今後、WONDER-FULLはどんな活動をしていくつもりでしょうか。例えば、ライブをやる予定はありますか?

ボーカル:その辺は、反応を見ながら徐々に決めていこうと思っています。もしライブをやるとしても、正体が分からないようにしたいので、どういう方法がいいのか今から少しずつ考えていきたいですね。

◆ WONDER-FULL
「愛と平和」をコンセプトに掲げ、都内を中心に神出鬼没な活動を続ける5人組バンド。一切プロフィールを明かしておらず、終戦記念日の8月15日にリリースするファースト・アルバム『愛でしかない』でも、素性は出さずに言葉とメロディとサウンドだけで勝負をかける。内容は、北朝鮮問題や中東問題で世界的に不安定な情勢が続く現在、愛で平和を維持させることを真剣に考えている全9曲。曲数は第九条を意識してとのこと。ジャケットやPV周りのアートワークは今、業界内で注目度No.1の"れもんらいふ"千原徹也が手掛けている。
座右の銘:ボーカル:「愛でしかない」

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ