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司馬遼太郎の傑作時代小説を、『日本のいちばん長い日』で知られる原田眞人監督が映画化した『関ヶ原』(8月26日公開)。本作で、合戦のキーを握る武将・小早川秀秋を演じたのが、東出昌大だ。豊臣秀吉の親族でありながら、関ヶ原の合戦では東軍に寝返り、豊臣家衰退の契機を作ったといわれている秀秋だが、原田監督のもと、新たな解釈の小早川秀秋を作り上げていったという。

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合戦のキーを握る武将・小早川秀秋を演じた東出昌大『関ヶ原』(8月26日公開)


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■今までの小早川秀秋像とは真逆の描かれ方

【特別映像】キャラクター映像(東出昌大が演じる小早川秀秋)>>


――司馬遼太郎さんの作品がお好きで原作も読まれていたとお聞きしましたが、小早川秀秋を演じることとなったとき、どんなお気持ちでしたか?

東出: 実は小早川のイメージが自分とあまりリンクしなかったので、どうなるんだろうという気持ちはありました。でも原田監督が「今までの小早川の解釈とは真逆をいこうと思うんだ」とおっしゃっていたので、すごくワクワクしました。

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合戦のキーを握る武将・小早川秀秋を演じた東出昌大『関ヶ原』(8月26日公開)


――確かにこれまで描かれていた小早川秀秋像とは違う人物でした。

東出: 原作もそうですが、台本を読むまでは、身長も低く病弱そうなイメージだったので、背の高い僕にお話が来たときは意外だなと思ったんです。秀吉の正室の兄の子で、権力構造に翻弄(ほんろう)され、自分の不遇と戦っていた人。そんな人物をただ思い悩んでいる青年という形ではなく、葛藤と希望を描いてくださいました。

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合戦のキーを握る武将・小早川秀秋を演じた東出昌大『関ヶ原』(8月26日公開)


――台本を読んでどんな印象を持ちましたか?

東出: 小早川は、関ヶ原の戦いだけをみれば裏切り者なのかもしれませんが、それまでの不遇の時代にフォーカスしてみれば、本作で描かれているような行動や気持ちは解釈できるなと。原田監督がとても丁寧に人物を掘り下げていたので、僕も新しい小早川を演じることができたと思います。

■原田組の緊張感ある現場は

【特別映像】キャラクター映像(役所広司が演じる徳川家康)>>


――そんな原田監督の現場はいかがでしたか?

東出: キャストのみなさんも一様におっしゃっていましたが、本当に緊張感がある現場でした。

――具体的にはどういった部分がピリッとしていたのでしょうか?

東出: 象徴的な話でいうと、朝現場に入ったとき「おはようございます」と原田監督にあいさつするのですが、一切返事をされないんです。現場に入ってから撮影がスタートするのではなく、原田監督にとっては、そのずっと前から臨戦態勢なんですよね。すごく気持ちが引き締まりました。

【特別映像】キャラクター映像(有村架純が演じる初芽)>>


――そうした緊張感はいかがでしたか?

東出: 原田監督がこれまで撮られた作品を拝見していると、どの作品もひとりひとりの人物が立っていて、スケールの大きさに驚かされます。時間が無い中で、これだけスケールの大きい作品を撮れるのは、原田監督の現場にある独特の緊張感に起因しているのかなと思いました。

【特別映像】キャラクター映像(滝藤賢一が演じる豊臣秀吉)>>


――原田監督からかけられて印象に残っている言葉はありますか?

東出: クランクインの前日、食事をしているときに冗談のように「全国の小早川さんが胸をはれるような秀秋になってほしい」っておっしゃったんです。現場では厳しい言葉もかけられましたが、なよなよして蒼白(そうはく)な小早川ではなく、背筋を伸ばして精一杯の芝居を心がけました。

■『関ヶ原』の楽しみ方、歴史の楽しみ方とは

――東出さんは戦国武将では、大谷吉継(石田三成の盟友)がお好きだとお聞きしました。

東出: そうですね。大谷は秀吉が認める軍才を持つ人物で、戦局もしっかり読める人なのですが、そんな彼が負けるとわかっていながら、友情を重んじ三成に就くという尊さに惹(ひ)かれます。

――合戦のシーンは非常に印象的でしたが、どんな準備をされたのでしょうか?

東出: この作品で軍事指導をしてくださったチームが、『日本のいちばん長い日』と引き続き同じチームで、クランクイン前に全体演習を行ったんです。旧日本軍の所作や号令の仕方をみんなで演習しました。「腹から声出せ!」みたいなことをやりました。

【特別映像】キャラクター映像(平岳大が演じる島左近)>>


――東本願寺など貴重な場所での撮影も作品に力を与えていますね。

東出: 滝藤(賢一)さん演じる秀吉が鎮座しているだけで荘厳さがありますし、重要文化財という重みも出ていて、すばらしいロケーションでした。

――今作は、司馬遼太郎さんの原作とは違う描き方をしている部分が多いです。

東出: それも歴史の楽しみ方だと思います。例えば「坂の上の雲」で描かれているロシア・バルチック艦隊のロジェストヴェンスキーは、最近の研究者の間ではめちゃくちゃいい人だったという発見もありました。そういう歴史観は楽しいですし、なにが正解なのかではなく、人間ドラマに目をキラキラさせるのも好きなんです。

■父のことを知りたい! 歴史を知るきっかけに

――お話を聞いていると、本当に歴史がお好きだと感じますが、好きになったきっかけは?

東出: 僕は19歳まで歴史が大嫌いだったのですが、父が大病を患って、もしかしたら5年、10年生きられないかも......と思ったとき、自分は父親のことなにも知らないことに気づいて。そのとき、父の書棚の司馬遼太郎さんの作品を手にとってみたんです。最初に読んだのが「峠」という作品で、河井継之助という人が主人公です。歴史の授業で取り上げられるような人ではなかったのですが「こんなに格好いい人がいたんだ」と魅了され、そこから歴史自体が好きになっていきました。

――今回、小早川秀秋という武将を演じましたが、今後演じてみたい戦国武将はいますか?

東出: 戦国時代は、織田信長がおもしろかったりするので、この先機会があれば信長や年を重ねたら柴田勝家、もちろん大谷吉継、上杉謙信、武田信玄、島津義久、真田昌幸、後藤又兵衛......挙げだしたらきりがないですね(笑)。

――最後に座右の銘をお聞かせください。

東出: 「情けは人のためならず」です。小学校5年生のときに、授業で先生がこの言葉の意味を「情けは人のためにならないという意味ではなく、情けをかけることで巡り巡って、自分に恩恵がやってくることなんだよ」って教えてくれたんです。そのとき「おー」って感じて、今でも実践しているんです。

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司馬遼太郎の大ベストセラーを日本映画史上初めてスクリーンに!『関ヶ原』(8月26日公開)


日本の未来を決した、わずか6時間の戦い「関ヶ原」。岡田准一、役所広司、有村架純といった豪華キャストを迎え、司馬遼太郎の大ベストセラーを日本映画史上初めてスクリーンに。構想25年、これまで語られてきた「関ヶ原の戦い」を、新しい解釈と共に描く。撮影では、京都・東本願寺、姫路城など歴史的建造物でロケを敢行。エキストラ総勢3,000人、延べ400頭にも及ぶ騎馬や鉄砲隊が入り乱れる合戦シーンは大迫力の映像となっている。

(取材・文・撮影:磯部正和)
ヘアメイク:石川奈緒記
スタイリスト:檜垣健太郎(little friends)

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東出 昌大(ひがしで・まさひろ)
1988年生まれ、埼玉県出身。2012年、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビュー。2014年に『クローズEXPLODE』で映画初主演を務めると、『寄生獣』(14年)、『アオハライド』(14年)、『GONIN サーガ』(15年)、『デスノート Light up the NEW world』(16年)などの注目作に立て続けに出演。『聖の青春』(16年)では第40回日本アカデミー賞優秀助演男優賞などを受賞。待機作に『散歩する侵略者』(17年)や『菊とギロチン -女相撲とアナキスト-』(18年)がある。
座右の銘は「情けは人のためならず」。

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

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