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シンガーソングライターの大森靖子が、ついに自分のことを歌にした。8月30日発売の新シングル表題曲「draw (A) drow」は、自身がずっと抱えてきた怒りや苛立ちを詰め込んだ「100%事実」の1曲だ。

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大森靖子、新曲「draw (A) drow」を8月30日にリリース


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■「ずっと同じことにキレている」

「draw (A) drow」の作曲と編曲を担当したのは、ロックバンド・凛として時雨のTK。彼から「怒りやコンプレックスを歌詞にしてほしい」と伝えられて、大森が初めて自分自身を歌詞に落とし込んだ。

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大森靖子、新曲「draw (A) drow」を8月30日にリリース


「歌詞を書くにあたって、自分のブログとか連載を読み返したんですけど、ずっと言っていることが変わらないんですよ。ずっと同じことにキレている。23歳くらいのときに『世界にずっとムカついている状況は18、9歳で終わると思っていたのに』って書いていたんですけど、残念ながら5年後も終わっていないよ、かわいそうにって思いました(笑)」

これまで若い女性の性や不安定な感情などについてつづったセンセーショナルな歌詞を発表して世間に衝撃を与えてきた大森だが、本人にとって創作物はあくまで創作物。過去のインタビュー時は、「意外と歌詞の内容=私の話だと思われるんだなぁって」と不思議そうに語っていた。しかし、「draw (A) drow」の歌詞の内容は、「100%事実」とのこと。とはいえ、単なる自分語りのような自己満足な作品にはしたくなかった。題材が自分というだけで、けっして感情を叩(たた)きつけるような激しいイメージではなく、論理的に「こう、こう、こうなので、私はこうムカついています」と説明するように作詞したという。

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大森靖子、新曲「draw (A) drow」を8月30日にリリース


「初めて自分のことを歌詞にしましたけど、曲がかっこいいから代わりに詞は何言ってもいいやって気持ちもあったんですよね。だから結構わかりにくい表現も使っています。メジャーデビューしてからは、わかりやすい表現を心がけていたんですけど、今回はもういいやと。そのぶん誰も共感できないんじゃないかという気がしますけれど」

ファンによる歌詞の考察をいつも楽しみにしている大森だが、「draw (A) drow」に関しては、「この曲を聞いた人が、『これは自分の曲だ』って思えるかな?」と少々心配そうな様子に見えた。

■「draw (A) drow」は共感性を度外視、虚像は自由に壊してくれ

大森がずっと抱えてきた苛立ちとは、この世のあちこちに残る"虚像"に対するものだった。

「音楽業界でもよくあるじゃないですか。何かひとつのカルチャーが生み出された後、生み出した本人はいち抜けてしまって、残された人たちがその虚像に集まり続ける。でもみんなが、それは虚像だっていうことに気付いていない。なんたら性とか、なんたらイズムとか、実態がないから勝手に定義づけられたものでしかないのに、真理だと思い込んで、正しさを押し付け合って。みんなにその意識がないのが怖いんですよね」

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大森靖子、新曲「draw (A) drow」を8月30日にリリース


熱狂的なファンも多い大森だが、自ら虚像を作りたいとは思っていない。先述の通り、ファンによる歌詞の考察を読むのが大好きで、あくまで「全部正解だから、自由に壊してくれ」というスタンスをとっている。

「私は死ぬまで作品を作り続けるけど、虚像が残ることは大問題だから、遺作もちゃんと壊してほしい。それって希望だと思うから。『draw (A) drow』では、そこまで歌詞にしているんです。......この歌は、基本的にモノ作りのことを歌っているんでしょうね」

■「サイマジョ」カバーは秋元康氏の勧めによって実現

新シングルでは他にも「わたしみ」と、欅坂46「サイレントマジョリティー」のカバーが収録される。そちらの2曲についても教えてもらった。

「『わたしみ』は、メロディがキレイで密室っぽい雰囲気のある曲を作りたいと思いました。ほぼすべてのJ-POPって、"あなた"のために歌われているから、"あなた"以外が除外されてしまうんですよ。そういう構造を生みたくなくて。自分で自分を肯定するための曲を作り出せたら、ラブソングで『あなたが~』とか言わなくても人に希望が与えられるという算段です」

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大森靖子、新曲「draw (A) drow」を8月30日にリリース


「サイレントマジョリティー」のカバーは、なんと秋元康氏の勧めによって実現したという。

「欅坂46にハマっていて、長濱ねるちゃんと柿崎芽実ちゃん推しなんです。自分のインストアイベントのリハのとき、サイマジョを歌ったんですけど、その動画をファンの方がアップしたのがまとめサイトに載って、秋元康さんが見てくださって。『IDOL SONG』(実在するアイドルの自己紹介のフレーズを歌詞に盛り込んだ楽曲。アルバム『kitixxxgaia』に収録)の許可を取りに行ったときに、秋元さんから『あのサイマジョよかったよ。カバーすればいいのに』と勧められたんです。私なんて、あの曲みたいに30年近く生きているとこうなるよっていう見本のような人間じゃないですか(笑)。そう思いながら歌いました」

■「生きづらくないなんてバカでしょ」

では、アーティストになる前の大森靖子はどんな人間だったのだろう?

「小学校の塾から中学高校と一緒だった同級生がいるんですけど、マネージャーの友達が偶然その子と同僚らしいんですよ。その子は、私について『小学校から大森さんのインパクトは強すぎた。人とつるまない不良だった』って話していたそうです(笑)。私としては、周りから不良と思われているから、そういうふうに振る舞うようになったつもりだったんですけど、小6でもう何かに怒っていたってことは、最初からそういう人間だったんでしょう。つらいですね(笑)。やっぱり、この気持ちとは一生付き合っていくしかないんでしょうね」

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大森靖子、新曲「draw (A) drow」を8月30日にリリース


おそらく大森のファンもまた、なんらかの"生きづらさ"を抱えている人が多いだろう。そのような悩みについてどう考えているのかと聞いてみたら、大森はキッパリこう返してくれた。

「生きづらくないなんてバカでしょ。思考停止ですよ。だから私は生きづらさを下に見る風潮をぶっ壊していきます」


シングル「draw (A) drow」は2017年8月30日リリース。MVは大森と俳優・千葉雄大が初共演し、映像配信サービス「GYAO!」と「YouTube」で異なるバージョンの映像を同時配信。これまで「マジックミラー」や「ドグマ・マグマ」など大森の楽曲MVを数多く手がけてきた映像作家・番場秀一が、今回のMVでも映像演出を担当。「どれだけ愛しても、どれだけ憎んでも、人はすれ違ってしまう」をテーマにしている。

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大森靖子、新曲「draw (A) drow」を8月30日にリリース


[CD+DVD] 価格:¥2,500(本体価格)+税
[CD only] 価格:¥1,000(本体価格)+税

<収録内容>
-CD-
M1:draw (A) drow
M2:わたしみ
M3:サイレントマジョリティー
-DVD-
1:「draw (A) drow」(Music Video/大森靖子Ver.)
2:「draw (A) drow」(Music Video/千葉雄大Ver.)
3:「draw (A) drow」(Music Video/完全版)
4:「わたしみ」(Music Video/自撮りVer.)

◆大森靖子(おおもり・せいこ)
1987年9月18日生まれ、愛媛県出身。2007年に弾き語りで音楽活動をスタートして、2014年にメジャーデビュー。道重さゆみ、アップアップガールズ(仮)、℃-uteなど近年は楽曲提供も積極的におこなっている。 9月27日にはアルバム『MUTEKI』も発売予定。
座右の銘は、「許すと、ちょっと諦める」(そうするとうまくいくから)。

(取材・文/原田イチボ@HEW
(写真:小堀 訓)

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