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男女2人組のロックユニット、GLIM SPANKYが、前作『Next One』からおよそ1年ぶりのサード・アルバム『BIZARRE CARNIVAL』を9月13日にCDリリースする(9月6日配信リリース)。本作は彼らのサイケデリックな側面を大々的にフィーチャーした意欲作であり、「人間らしさとは何か?」をテーマにした、映画『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』主題歌も収録している。

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GLIM SPANKY、アルバム『BIZARRE CARNIVAL』をリリース


2014年のデビュー以降、60年代のロックやソウル、リズム&ブルースを基軸に最新鋭のロックミュージックを奏でてきた彼ら。今作は、ボーカル松尾レミがかねてから傾倒していたサイケデリックな側面を大々的にフィーチャー。もちろん、ジャニス・ジョプリンばりの松尾のボーカルはそのままに、古今東西あらゆる音楽をコラージュ的に取り込んだ亀本寛貴のトラックメイキング、ポップで洗練されたメロディは、より強度を増している。
過去の音楽に対する最大限のリスペクトを保ちながらも、決して"懐古主義"にならず進化し続けているGLIM SPANKYの魅力とは......?

【一挙配信】過去のLIVE映像やミュージックビデオを配信中>>

【ミュージックビデオ】GLIM SPANKY「吹き抜く風のように」>>


■ 決して「懐古主義」ではないけれど、60年代半ばのあの時代にマジカルなパワーを感じる

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GLIM SPANKY、アルバム『BIZARRE CARNIVAL』をリリース


――前作『Next One』からおよそ1年ぶりのサード・アルバム『BIZARRE CARNIVAL』は、これまでよりもサイケ色が強まり、色彩豊かなアレンジになった印象です。

【LIVE映像】「Next One(野音ライブ 2017年6月4日 @日比谷野外大音楽堂)」>>


松尾: これまでのアルバムでは、ブルースだったりロックンロールだったり、GLIM SPANKYの音楽性に内包されたさまざまな引き出しを見せていこうという気持ちがあったんですが、今作はフルアルバムとして3枚目なので、私たちがもともと持っていたコアな部分を、さらけ出していこうかなと。とにかく、サイケデリックなロックが私は大好きで、音楽に目覚めたキッカケもサイケだったんです。それをありのまま自然にアウトプットしてみたら、こんなアルバムになりました。

亀本: 今回、レミさんがめっちゃサイケな曲ばっかり作ってきたから、僕の方ではもう少し違うテイストも持ち込もうと思って。そういう気持ちでトラックメイキングをしていたので、本作を色彩豊かなアレンジとおっしゃっていただけたのかもしれないですね。アルバム全体の見取り図としては、最初に全体像を見据えて曲をはめ込んでいったというよりは、楽曲を作り続けていく中で徐々にテーマが見えてきた感じです。

――「サイケ」といっても、決して懐古主義にはならず、現在進行形のロックとして成立しているのがGLIM SPANKYらしさなのかなと。例えばテーム・インパラやテンプルズ、レモン・ツイッグスといった海外インディーのネオサイケ的なサウンドにも、共感する部分はあるんじゃないでしょうか。

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GLIM SPANKY、アルバム『BIZARRE CARNIVAL』をリリース


松尾: 彼らですか? もう、大ファンですね!(笑)テンプルズやレモン・ツイッグスは、この間もフジロックで見たばかり。やっぱり、私が共通して「すてき!」って思ってしまうバンドって、いつの時代だろうが60年代のサイケ感とつながっているというか。それを「新しい解釈」で鳴らしているところに惹(ひ)かれるんですよね。私の原点である60年代のサイケデリック・カルチャーは、きっと今見直しても面白いところがたくさんあるんだろうなと。だからこそ、彼らのようなバンドが今もなおたくさん登場するんでしょうね。私たちもテンプルズやレモン・ツイッグスと全く同じで、決して「懐古主義」ではないけれど、60年代半ばのあの時代にマジカルなパワーを感じるので、自分たちなりに表現しているという感じです。

――「自分たちなり」の表現とは?

松尾: 例えば、60年代のサイケの人たちが、シタール(インドの古典楽器)を使って演奏していたインド音階的なフレーズを、私たちはあえて別の楽器で鳴らしてみるとか。あるいは逆に、普通のロックンロールにエスニックなパーカッションを入れてみるとか。ベックがヒップホップにトロピカルなサウンドを取り入れたような、そういうミクスチャー感覚を大事にしたいです。

――ああ、なるほど。確かに「アイスタンドアローン」は、エスニックな音階をストリングスで鳴らしていたりするし、組み合わせの"異化作用"による新しさを追求しているなと思いました。

亀本: 意外に思われるのですが、僕らはそんなにビンテージ楽器マニアというわけでもなくて。当時使用していた楽器や機材へのこだわりってあまりないんです。新しい楽器や機材もバンバン使って音作りをしているから、そこも"今っぽさ"につながっているのかもしれないですね。きっと、さっき話に出たテンプルズとかテーム・インパラも、割と現行の楽器を普通に使っていたりするみたいなんです。その辺の価値観にも親しみを覚えますね。

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GLIM SPANKY、アルバム『BIZARRE CARNIVAL』をリリース


――もはや「サイケデリック」って、人によりさまざまな定義付けがされていると思うのですが、お二人にとってサイケとは?

松尾: 私がロックで一番ミラクルだと思うのは、トリップできることだと思っていて。それは別にサイケじゃなくてもいいんですけど、例えば現実で何か嫌なことがあったとしても、その音楽を聴いているつかの間は、そこから逃避できるというか。それによって心を解放したり、生きる力をもらったりするような、そんな音楽が「サイケデリック」じゃないかなと思っています。最近、VRなどが巷(ちまた)で話題になっていますけど、ロックというかサイケにも、「ここではないどこか」へトリップさせてくれるパワーがあるので、再びそのパワーが見直されるべきじゃないのかな......(笑)。

亀本: 僕は、サイケデリックって「音」だけじゃないと思っていて。音楽と、ヴィジュアル、そしてアートワークが密接に関わり「カウンター・カルチャー」として成立していたのが60年代のサイケだと思うんですよ。例えばクリームもジミ・ヘンドリクスも、グレイトフル・デッドもそう。あ、そういえばビートルズも、一流のクリエイターと一緒に「イエロー・サブマリン」というサイケなアニメーションを作ったりしていたじゃないですか。そういう、カルチャーと一体となった音楽が僕らは昔から大好きなんです。

――以前、インタビューさせてもらった時にレミさんが、「GLIM SPANKYは音楽だけじゃなく、ファッションやアートワークも含めて表現していきたい」とおっしゃっていて。そういう部分でも、サイケデリックとGLIM SPANKYはつながっているのかもしれないですね。

松尾: うれしい。確かにそれはありますね。日本のミュージシャンの中でも、やはりサイケかどうかは関係なく、音楽とファッション、アートワークなどが一貫している人たちに惹(ひ)かれます。

■ 大衆から嘲笑されようとも真剣に夢を求めていたビートニクスに、自分たちを重ねたくなった

――リード曲「吹き抜く風のように」はどのようにして作られたのですか?

松尾: 今年の春先くらいに祖父が他界して。自分の家族を亡くすというのは、今回が初めての経験だったんです。うちは無宗教なので、お葬式もなく「お別れ会」という形で見送ったんですけど、でもいざ、祖父が焼かれて骨になった時、思わず手を合わせたくなったんですよね。無宗教とは言え、日本で生まれ育つと知らないうちに仏教的な宗教観が身についていたことに、すごく驚きました。それで、宗教について自分なりに深く考えるようになっていくんです。無宗教っていうのは、どの宗教にもとらわれない自由な立場ではあるんだけど、その自由は自分が強くないと持て余してしまうし、不安になってしまう。きっと、ただ流される人になってしまうのだなって思いました。サビの部分の、"どこにもない 縛られるものなどない"というくだりは、その気持ちを率直に歌ったものです。

――この曲の"生き様や価値観に答えはないよな"という部分は、とかく物事に白黒つけたがる、今の息苦しい世の中についても歌っているようにも聞こえます。

松尾: そうですね。最初のきっかけは「祖父の死」から始まっているんですけど、やっぱり多くの人たちに共感してもらえるような普遍性を持たせたつもりだし、今この時代を生きている感覚というか、気持ちも入れられたらと思ってこのフレーズは入れました。

――亀本さんは今回、どんな音楽にインスパイアされました? 例えば1曲目の「THE WALL」のブレイクビーツ感など、ちょっとプライマル・スクリームを彷彿(ほうふつ)とさせますね。

亀本: プライマル・スクリームに似ているというのはレミさんにも言われたんですけど、僕は全然意識してなくて。最初は「カサビアンみたいな感じにしたいな」と思い、イントロとかサビ前でドラムだけになるところは、ちょっとベックっぽい感じが欲しいなと。さらにイントロのフレーズは、B'zのあの曲を......みたいな(笑)。そうやって、作りながら思いつくさまざまな断片をコラージュ的につなぎ合わせ、結果的にどの曲にも似ていない僕なりのトラックに仕上げていくという感じです。「END ROLL」も、カサビアンの新譜を聴いて触発されて作ったリフが中心になっているんですけど、そこにザ・ローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」っぽくしようと思ってコンガを入れたことで、全くカサビアンっぽくなくなるんですけどね(笑)。結果、アークティック・モンキーズやホワイト・ストライプスっぽいテイストも入れられたかなと。

――なるほど。ある意味では連想ゲーム的な作り方なんですね。

亀本: そうそう、連想ゲーム(笑)。まさにそんな感じです。

――「ビートニクス」は映画『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』(2017年10月21日公開)の主題歌なんですよね?

松尾: はい。リクエストをもらって書き下ろしました。『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』の映画の裏テーマが、「人間は何を大事にしているか?」「人間らしさとは何か?」みたいな。地位や名誉、お金よりも大事なものがあるんじゃないか? ということを問いかけているんですね。それで、自分の中で連想したのが「ヒッピー/フラワームーヴメント」の源流である「ビート・ジェネレーション(ビートニク)」。
私の父が、ビートの詩人(ジャック・ケルアックやアレン・ギンズバーグら)が大好きで、それで昔からよく読んでいたんですけど、2度の戦争を経験した彼らは当時、物質主義にひた走る社会に対し警鐘を鳴らしていましたよね。それって2017年の今、人工知能やロボットが進化し、今まで人間がやってきた仕事、人間らしさというものがどんどん奪われていく中、「人間にしかできないことってなんだろう?」と考えざるを得ない状況に、すごく似ているんじゃないかと思ったんです。ビートニクスって実は、当時メディアが揶揄(やゆ)的に使っていたというエピソードも聞いて、たとえ大衆から嘲笑されようとも真剣に夢を求めていたビートニクスに、自分たちを重ねたくなったんですよね。

――では、最後に全国ツアーへの意気込みをお願いします。

松尾: 前回が13カ所で、今回20カ所に拡大し、東京では2DAYSできるようになったんです。前回は、シンプルなバンド編成でのアンサンブルを突き詰めて演奏したんですが、今回は例えばコンガのゲストを入れるなど、レコーディングで挑戦したいろんなことが、ちゃんとライヴで再現できるような新たなサポートメンバーもお呼びしたい。照明やセットも、どんどん進化していきたいと思っていますので、ぜひその辺りを楽しみにしてほしいです。

亀本: レコーディングは自分たちのやりたいことをやりたいようにやっているんですけど、ライヴはお客さんと一緒に作っていくものだと思うので、とにかく何も考えずに楽しめるようなライヴにしたいです。僕らも、誰よりも楽しんでやる! という気持ちで臨みたいですね(笑)。

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GLIM SPANKY、アルバム『BIZARRE CARNIVAL』をリリース


【一挙配信】過去のLIVE映像やミュージックビデオを配信中>>

◆ GLIM SPANKY
60~70年代のロックとブルースを基調にしながらも、新しい時代を感じさせるサウンドを鳴らす、松尾レミ(Vo/Gt)&亀本寛貴(Gt)からなる男女二人組新世代ロックユニット。アートや文学やファッション等、カルチャーと共にロックはあることを提示している。2014年に1st ミニアルバム『焦燥』でメジャーデビュー。松尾レミの日本人離れしたハスキーな歌声が、多くのクリエイターを夢中にさせ、既に9つものCMで歌唱を担当。
2nd フルアルバム『Next One』はオリコン週間アルバムランキングで堂々9位、iTunesロックアルバムチャートでも1位を獲得する等大注目を集める。昨年公開映画『ONE PIECE FILM GOLD』主題歌「怒りをくれよ」、映画『少女』主題歌「闇に目を凝らせば」などを、新人では異例の大抜擢(ばってき)での担当。今年6月には日比谷野外大音楽堂でのワンマンもSOLD OUT。10月からは全国20公演、そして初の台湾・香港でのワンマンライブも決定している。
座右の銘:松尾「No Reason」、亀本「一生夏休み」

【ミュージックビデオ】「怒りをくれよ」(映画『ONE PIECE FILM GOLD』主題歌)>>


【ミュージックビデオ】「闇に目を凝らせば」(映画『少女』主題歌)>>


(取材・文・写真/黒田隆憲)

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