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日本で最も多くソロ・コンサートを行った歌手・さだまさし。その数は4200超と日本一を誇る。
さだは来月でデビュー45年なので、毎年100近いコンサートを続けてきた勘定だ。しかも作った曲は900以上。そんな偉業を成し遂げた"さだまさし"。「(客が)飽きないようにトークを磨いたから」と本人は言うが、『サワコの朝』(MBS/TBS系全国ネット、土曜・午前7時半)では正に彼のトーク力が全開となった。

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さだまさし, Jul 08, 2017 : 永六輔さんの一周忌イベントに出席(写真:MANTAN/アフロ)


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■さだまさしの半生

1952年に長崎で生まれたさだまさし。
木材を扱う豪商の家に生まれ、3歳でヴァイオリンを習い始めた。ところが5歳の時に父の事業が失敗し、一家は豪邸から小さな長屋に移った。ただし給食費が払えないほどの極貧の中でもヴァイオリンを続け、やがてヴァイオリン指揮者の鷲見三郎に認められ、中学から上京してクラシックの勉強に邁進(まいしん)した。
ところが中学では、加山雄三やサイモン&ガーファンクルから影響を受け、ギターを弾きながら歌を作るようにもなった。そしてヴァイオリンの方は専門高校の受験に失敗し、さらに音大入試にも失敗し、熱意を失ってしまう。失意の中で國學院大學を中退し、長崎でくすぶるように暮らし始めた。

1972年、高校時代からの友人・吉田正美が訪ねてきて、バンド「グレープ」を結成。74年に2曲目のシングル「精霊流し」が大ヒット。続く翌75年にも「無縁坂」が当たり、さらに「縁切寺」と続いたが、自分たちのやりたい音楽と受け手との齟齬(そご)が生じたため、76年に解散。
以後、ソロ活動を始め、「雨やどり」「関白宣言」「親父の一番長い日」「北の国から~遥かなる大地より~」「案山子」「道化師のソネット」「防人の詩」「檸檬」などのヒットを飛ばし続ける。

■さだまさしの特徴

さだまさしには都市伝説がある。
「2時間半のコンサートで2曲しか歌わなかった」というものだ。トーク好きを象徴するエピソードだが、実際は講演会に呼ばれ、最後に1曲歌って欲しいと頼まれ、その後のアンコールを含め2曲歌ったというのが真相だ。彼の軽妙洒(しゃ)脱なトーク力から、こんな物語が生まれてしまったようだ。

そんな彼のトーク力は、ヴァイオリンの勉強のために中学から上京したのに、ギターを弾きながらの作詞作曲、落語、小説執筆、スポーツなど、さまざまな分野に首を突っ込んだ所に原点がある。しかも豪商から事業失敗と、極端から極端に振れた父や家族の人生も反映している。

■『サワコの朝』の見どころ

そんな彼が認めるトークの天才は永六輔。「決められた時間ぴったりに起承転結を見事に入れ込んで話を展開する」と絶賛する。
番組では、「記憶の中で今もきらめく曲」の紹介があるが、さだは小学生の時に聞いたという、永六輔・中村八大が作り坂本九が歌った「上を向いて歩こう」を挙げた。この歌を初め永六輔の歌には、子供の頃の思い出、青春の葛藤、老いていく自分を見つめる視線など、人生の全てがあるという。900超のさだの曲は、まさに永六輔の方向性とシンクロする。
しかもさだのトークは、永六輔を絶賛しながらも最後にきっちりオチをつけて笑いを取る。永六輔のトーク力を褒めながら、さだ本人のトーク力を見せつける腕前である。

さだまさしが大量の名曲を作った背景には、ヴァイオリンを学んだことでギターに難なく移行できた点もある。1日でシンガーソングライターになれた真相である。

ところがそんなさだにも悩みがある。シンガーソングライターであることは、作曲家・作詞家・歌手・演奏家が1人の中に同居していることを意味する。ところが作曲家は、「どうせお前歌えないだろう」と歌手の下手さ加減、演奏家のまずい伴奏が気になる。歌手は「なんでこんな面倒な曲つくるんだよ~」と作曲家や作詞家への不満が出る。こうした葛藤を抱えた音楽活動の深層は、さだでなければ語れない話だ。

そんなさだまさしが選んだ「今、心に響く曲」は、ミーナ・マッツィーニが歌う「BRAVA」。「こんなに歌えたら、自分の人生は変わっていたなあ」と腰を抜かした曲だという。確かにちょっと聴くだけで、われわれを圧倒する破壊力のある曲だ。音楽は本当に奥が深い。

他にも核家族化と女性の力が強くなる時代にあえて「関白宣言」を作った深層、45年も歌い続けた本当の理由などが番組では開陳される。
活字で読むだけでは伝わらない、さだのトーク力と音楽で聴くさだの半生。そこには"人の心に灯りをともす"ということへの思いが込められている。事実と音楽とトーク力の三拍子がそろった今回の『サワコの朝』は、まさにトーク番組の白眉と言える傑作である。

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文責:次世代メディア研究所

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