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『下北沢ダイハード』とあるように、舞台は全話が下北沢。
小劇場で活躍する11人の人気劇作家が書きおろす、個性豊かで自由な1話完結のシリーズだ。バーのママ(小池栄子)と行きつけの客・ジョン幕練(古田新太)が、案内役を務め、下北沢で起きた11人11様の"人生最悪の一日"が毎週展開される。

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小池栄子, Jul 16, 2016 : 経済情報番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)の10周年と放送500回を記念した会見(写真:MANTAN/アフロ)


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放送枠の「ドラマ24」は、低予算だがユニークで、コアなファンを集める"迷作"が多い。『モテキ』『マジすか学園』『勇者ヨシヒコシリーズ』『孤独のグルメ』『バイプレイヤーズ』など話題作がめじろ押し。
今クールの『下北沢ダイハード』は"あり得ない設定"と"どんでん返しの連続"で攻めまくっている。

■初回から全力疾走!

とにかくすごいシリーズだが、初回から全力疾走だったのには脱帽した。
第1話「裸で誘拐された男」は、選挙を間近に控えた衆議院議員・渡部修(神保悟志)が、SMプレイで全裸になってスーツケースに入れられ、そのカバンが間違って持ち去られ誘拐事件の現場に行ってしまった話だった。しかも誘拐犯は自分の息子。と思いきや、それは息子の演劇の舞台で、スーツケースは劇の小道具と間違われていたと来る。
さらに舞台の後の楽屋が秀逸。
亭主関白な夫で独断専行の父だったために、妻や息子から見放され、家族は崩壊寸前だった。ところが演劇と知らずに息子のために本音を激白したがゆえに、バラバラの家族3人は再び1つの家族に戻る。
現実から演劇空間にワープした物語が、もう一度現実に見事に着地する展開。その心憎い演出は、本当に「ブラボー!」と叫びたくなるほど、やられた感満載だった。

■奇抜な展開のオンパレード

他にも、違法風俗店で警察の摘発に遭遇してしまった役者。女装癖のある夫が、ママ友と一緒のところにやってきてしまい、バレないかヒヤヒヤものの主婦。バンドマンの彼がようやく売れ始めたと思ったら彼の浮気が発覚し、後悔させるために女のプライドをかけ最高のSEXをしかけようとする女。同棲(どうせい)するカノジョが風俗嬢であることが発覚し、辞めさせるためにパチンコでその日のうちに50万円を稼ごうとするヒモなど。
いずれも"ありそう"で"あり得ない"設定。しかも展開が"どんでん返し"の連続で、よくもまあ奇抜なアイデアが次から次への出てくるものだと驚いてしまう。

例えば第5話は夏菜が演ずる「最高のSEXをする女」。
浮気相手に乗り換えようとしている彼に対し、最高のSEXを仕掛けて後悔させようというバカバカしい話だ。圧巻の一つは、1分間に7回も"SEX"を連呼するシーン。"SEX"以外にも「体の相性が良い」などの表現や、「私のことを思い出す(SEX)」「死ぬ瞬間も思い出す(SEX)」「いつまでも忘れられない(SEX)」「あの男の生きてきた証のような(SEX)」「人生の記念になる(SEX)」なども連打される。これらも含めると"SEX"は12回登場したことになる。そして留めは「スーベニアセックス」という造語だ。

第8話「彼女が風俗嬢になった男」では、『コード・ブルー3』で患者に寄り添わず「冷たい視線がスゴい!」と話題になった馬場ふみかが、ガンガンお金を稼ぐ人気風俗嬢を演じた。そのヒモ男・田川のりお(青柳翔)は、足を洗わせるために1日で50万円を稼がなければならなくなる。すったもんだの末に目標額を手にした田川は、人気風俗嬢と別れ、パチンコで勝たせてくれた愛子(森川葵)と結ばれる。
そのプロセスに"奇想天外"&"どんでん返し"がいくつか出てくるが、最も傑作なのはカップルとなった田川と愛子がテレ東のバラエティ番組に出演してしまうくだり。やっぱり誰も思いつかない物語の着地には、開いた口がふさがらない。

■期待を裏切らない第9話

先週放送の第9話「幽体離脱した男」もやはりオチが卓越していた。
アイドルグループに所属するタクヤ(金子大地)は、グループ内で一人だけパッとせず、事務所社長から小劇場に出演して、演技を学ぶよう言いつけられる。そこで主演の座を用意されたタクヤ。しかし本番直前も、演出家から何度もダメだしされてしまう。
そんな中、劇場内では突如、怪奇現象が起こる......そして『劇場霊』の話題が出る。そんな話をバカにしていたタクヤだったが、なんと不注意から彼自身が幽体離脱する羽目になる。本番まであと1時間。
絶対に結果を出さなければいけない舞台の初日......このままでは舞台に立てない。
それどころか命さえ危ない!?
絶体絶命のピンチに、幽霊の紗奈(岸井ゆきの)が現れる。果たしてタクヤは紗奈の手を借りて元の体に戻ることができるのか。運命の舞台初日の行方は......。
こんな展開だが、優れているのは一見ホラー&スリラーに見えて、オチはセンチメンタルなファンタジーになっている点だ。やっぱり『下北沢ダイハード』の攻める姿勢は半端ない。

深夜放送とあって、「地上波テレビでもここまでできるのか」と思わず目を疑ってしまうほど自由な作風。
そして"あり得ない設定"と"どんでん返しの連続"で、瞬く間に40分が終わるという優れモノのドラマシリーズ。しかもオチは見る者の予想・期待を毎回見事に裏切ってくれる。
1話完結なので、途中から見ても誰もが理解できる『下北沢ダイハード』。ぜひ一度、下北沢ワールドに触れてみてはどうだろうか。

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文責:次世代メディア研究所 鈴木祐司

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