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テレ東深夜ドラマの快進撃がすごい。
低予算だがユニークで、コアなファンを集める"名作""迷作"が多いからだ。
2005年にドラマ24の枠で、金曜深夜24時台の放送が始まった。『モテキ』『マジすか学園』『勇者ヨシヒコ』『孤独のグルメ』『バイプレイヤーズ』など話題作がめじろ押し。今クールの『下北沢ダイハード』も"あり得ない設定"と"どんでん返しの連続"ですごいことになっている。

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早見あかり/Akari Hayami, Mar 17, 2015 : 写真集「Twenteen」発売記念イベントに登場(写真:MANTAN/アフロ)


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この勢いを駆って、今春からドラマ25の枠が新設された。『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』が第1作。そして今クールの『デッドストック~未知への挑戦~』は第2作だが、ホラーとして一級の仕上がりになっている。「"深夜に見てはいけない"テレ東深夜ドラマが怖すぎる・・・」という記事が出たぐらいで、本当にヤバい出来になっている。

■主人公は村上虹郎

父は俳優の村上淳、母は歌手のUA。
いわゆる二世俳優だが、独特のやや暗い雰囲気を持ち、女性ファンが急増中だ。

テレ東の新人AD・常田大陸を演じている。2016年にテレ東が社屋を移転した際に発掘された大量の番組素材を整理する部署"未確認素材センター"に配属された。
そこには同僚ディレクター・二階堂早織(早見あかり)とベテランディレクター佐山暁(田中哲司)がいる。理想とはかけ離れたVTR整理の日々だが、本来映ってはならない怪奇現象が記録されたテープを発見することで物語が展開していく。

第1話は、使われなくなったトンネル内でクラクションを3回鳴らすことで起こる怪奇現象がテーマだった。
第2話は突然動き出す市松人形。3話は丑(うし)の刻参りの呪いの話。4話はこっくりさんで、早織の子供の頃の友達との関係が明らかになった。5話は落ち武者の怨念。6話は街中で発見された女性の変死体の都市伝説。7話は富士山麓の樹海で消えた自殺者の遺体の話。

■未確認素材センターの"因縁"

7話まではそれぞれ独立した一話完結話の物語だった。ところが8話から、未確認素材センターの"因縁"を軸に物語が展開し始める。
いつも通り、ひとり倉庫でネタ探しをしていた常田大陸(村上虹郎)。物音に振り向くと、床に1本のテープが落ちていた。不思議に思いつつ映像を再生すると、そこに映っていたのは母・常田忍(中村優子)の最後の瞬間だった。
翌朝、出社して大陸がそのテープを見たと知った佐山暁(田中哲司)は顔色を変え、二階堂さおり(早見あかり)に衝撃の事実を告げる。1本のテープに収められた、大陸が知った、そして佐山が隠したかった出来事とは、幼かった大陸が知らないところで、母が何をしていたのか、そしてどう亡くなったのかだった。
幼かった大陸は、突然の仕事で出て行ったきり帰ることのなかった母の幻影と、成長した今も自宅で会話するという状態だった。それまでのストーリーでも、時々母と電話したり、自宅で会話するシーンが出て来ていた。何処か違和感のある登場だったが、8話でフラッシュバックのようにこれまでのシーンが思い出され、それらの意味合いが氷解するようにできている。
そして心配して訪ねて来た早織により、大陸はようやく母の死を現実として受け止める。

■母と佐山、そして大陸の謎

そして第9話。
母・忍の殺害現場を収めたテープを見てしまった大陸は、振り返ったカメラマンの顔を見て愕(がく)然とする。それは若き日の佐山暁(田中哲司)だった。
佐山が語りだしたのは、当時忍が中心になって行われていた「特殊能力者」達の集会のこと。その場には多くの能力者達が集まり、お互いの不思議な力を認め、時に慰め合っていた。ただひとり、美濃部知世(我妻三輪子)を除いて......。
第9話では、映像を見ていた大陸が、突然画面の中に入り込んである病室に辿(たど)り着くような編集となっている。これまで怪奇現象を追ってきた大陸にも、特殊能力があるのか。
これまでホラーで引っ張ってきた同ドラマは、にわかにミステリー色を強め、かつ大陸の自分探しのトーンも強めている。制作陣はどんな結末を用意しようとしているのか、一挙に興味がわいてくるのが9話の出来だ。

もう1点、同ドラマのエンディング曲はUAの「Moor」。
主人公・大陸を演ずる村上虹郎の実の母でもあるUAだ。毎回ひどい目にあって憔悴(しょうすい)しきっている村上虹郎を、まるで母が抱き留め慰めるかのように最後に流れてくる優しいメロディとUAの独特の歌声は、ホラーで緊張したわれわれ視聴者の心も癒やしてくれていた。不思議な後味を残していたが、8~9回あたりから大陸と母・忍の関係と、村上虹郎と母UAの関係がシンクロして、一段と意味合いが出て来る。
「なるほど、ここにつながっていたのか!」とつい感嘆してしまう演出だ。

ホラーが苦手で、これまであまり見ていなかった人も大丈夫。
ミステリー色が強まり、村上・早見・田中の人間ドラマを前面に押し出した9話から見ても、当ドラマは十分楽しめる。ホラーの新たな境地を切り開く歴史的瞬間に立ち会ってはいかがだろうか。

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文責:次世代メディア研究所

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