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桜井画門の大ヒットコミックを佐藤健、綾野剛で実写映画化した『亜人』(9月30日公開)。本作でメガホンをとったのが、『踊る大捜査線』シリーズなどを手掛けた本広克行監督だ。これまで数々のヒット作を世に送り出している本広監督だが、彼ならではの独特の映画作りが本作には色濃く出ている。

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本広克行監督 映画『亜人』(佐藤健、綾野剛が出演、9月30日公開)


【予告編映像】映画『亜人』>>


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■経験に基づいた本広監督の映画作り

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映画『亜人』(佐藤健、綾野剛が出演、9月30日公開)


――非常に人気の高いコミック、しかもアニメ化して大成功を収めている作品の実写化は大変だったのではないでしょうか?

本広: もちろんプレッシャーはありますが、いまの僕の映画作りのスタンスは、各部門、例えばアクションだったらアクション監督を立てるし、CGだったらCGのエキスパートに任せるというやり方を徹底しているので、そこまで重圧というものはなかったです。

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――以前からそういうやり方をされているのですか?

本広: 昔は、連続ドラマやバラエティなど幅広くやっていたのですが、20本ほど撮ってきたころから、一人でやるのは限界があるなと感じたんです。そこからはチーム制をとるようになりました。普通、○○組というと、長年一緒にやっている気心の知れたスタッフが多いと思うのですが、僕の場合、作品ごとに毎回スタッフを変えるんです。珍しいと思います。

――それはなぜですか?

本広: 長年やっていると、もちろん良い部分もありますが、慣れ合いが生じてきてしまうんです。言い方が悪いですが、金魚鉢のなかの熱帯魚みたいで、混ざり合いが悪くなるとけんかをするし、仲が良すぎると恋愛が勃発したり......難しいですね。

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映画『亜人』(佐藤健、綾野剛が出演、9月30日公開)


――でも初めてだと意思疎通がしづらいというデメリットもありませんか?

本広: もちろん、そういう懸念もありますが、そうならないために意見の言いやすい場を作るのです。キャストはもちろん、どんな立場の人でも、しっかり話をして、良い意見は取り入れます。助監督も、ただ仕事としてやっている人ではなく、監督になりたいという思いがある人を呼んでいます。だから意見もどんどん出してもらうようにしますし、あるパートなどは「撮ってこいよ」って助監督に言うこともあります。

――助監督にとってはやりがいがあるのでしょうね?

本広: 最初は「無理です」なんて言うのですが「いつか映画監督になるんだろう?」ってはっぱをかけると良い絵を撮ってくるんです。逆にそういう子たちが他の現場に行って、意見したりすると「なんでおまえが、演出みたいなこと言うんだよ!」って怒られることもあるみたいですよ。僕が若いころは助監督が意見できるような状況ではなかったんです。だからこそ、一生懸命勉強している若い人たちの意見やアイデアはしっかり取り入れたい。なんでも言える環境を作ることが僕の仕事だと思っています。

■アイデア豊富な俳優・佐藤健&綾野剛

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――その意味では、本作の佐藤さんや綾野さんなども、非常にストイックに役柄に取り組む俳優さんというイメージがあります。

本広: 良く引き受けてくれたなって思います。人気者2人で、忙しいだろうし、しかも、この作品は結構アクションが肝になる作品なので、撮影前にも準備が必要なんです。だからこの2人がキャスティングできたことは大きかった。健くんも綾野くんも作品を良くしようと、いろいろなアイデアを出してくれました。でもこの2人、アプローチ方法は全然違うんです。綾野くんは、基本的に毎日話をして情報交換しながら役を作っていったのですが、健くんは「僕は大丈夫です」みたいな感じなんです。でもメチャクチャ映画のことは考えていて、あるシーンの撮影のとき、どうもしっくりこないセリフがあったら、健くんが台本に自分でびっしりと赤を入れてきたんです。本当にしっかりと作品のことを考えてくれる2人です。

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――いまのお話の通り、佐藤さんと綾野さんのアクションシーンはすごいですね。

本広: 基本的にアクションチームにお任せしました。その他カメラ、照明、美術、録音、CGチームがそれぞれ本当にしっかりアイデアを出してくれて、本当に素晴らしいアクションが完成しました。チームワークのよさが映画に出ていると思います。

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■『亜人』実写化でこだわったこととは?

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映画『亜人』(佐藤健、綾野剛が出演、9月30日公開)


――本広監督は、「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズで総監督を務めるなどアニメにも造詣が深いですが、アニメやコミックを実写化する上で意識されていることはありますか?

本広: 2.5次元と呼ばれるコスプレを見たいという人もいるので、そこを意識しつつ、キャラクターを表面上だけではなく、もうちょっと深いところまで落とし込みたいという思いでやっていますね。僕も実写を見ていて、例えば『ルパン三世』が実写版になるとき、ジャケットの色が赤なのか、緑なのか、次元はどういう葉巻をくわえているかとか、僕はマンガと一緒であってほしいタイプなんですよね。

――『亜人』実写化でこだわった部分は?

本広: キャラクターうんぬんは役者さんにお任せして、僕がムチャクチャこだわったのは、子どもたちだけで見に行ける映画にしたかったということです。原作の描写のままだとR18指定になってしまうので、映倫と何度も話し合って、そこは徹底しました。作品の世界観はちゃんと『亜人』という存在の悲しみを表現しつつ、誰が見ても大丈夫なようにこだわりました。子ども同士で見に行ってほしいですね。

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――川栄李奈さんもすごいアクションをしていますね。

本広: 川栄ちゃんの場合、自分で考えた演技もするのですが、言ったことがすぐできちゃうタイプなんです。トレーニングもまじめに一生懸命やるし、逸材ですね。アイドルから、あの手の役者になる方は、なかなかいないですね。

――IBMもすごい映像でした。

本広: 僕がやった功績は、アニメの「亜人」の会社に交渉してCGのデータを使わせてもらったことぐらいです。CGのIBMデータがあったから無駄な作業が省けたんです。あれがなかったら、まだ作業が終わってなかったかもしれません(笑)。

――座右の銘を教えてください。

本広: 「人よりも三倍」ってことを肝に銘じています。くじけそうになったり、しんどいとき「人より三倍考えよう、動こう」って思ってがんばっています。

(取材・文・写真:磯部正和)
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本広克行監督 映画『亜人』(佐藤健、綾野剛が出演、9月30日公開)


本広克行(もとひろかつゆき)
1965年7月13日生まれ、香川県出身。1992年、テレビドラマ「悪いこと」で演出家デビュー。その後も数々のテレビドラマの演出を手掛け、1996年には『7月7日、晴れ』で映画監督デビュー。1997年から放送開始されたテレビドラマ「踊る大捜査線」で演出を務めると、映画シリーズも手掛け、2002年公開の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』は、2017年8月までの邦画実写映画の興行成績歴代1位を記録している。座右の銘は「人よりも三倍」。

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