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今春のTBS『あなたのことはそれほど』と、夏クールのテレビ朝日『黒革の手帖』で、すっかり"怪演"女優の評価が定着した仲里依紗(なか・りいさ)。実は仲のそんな怪演は、連続ドラマで初主演を演じた『日本人の知らない日本語』(2010年7月クール・全12回・読売テレビ)から始まっていた。

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仲里依紗/Riisa Naka, Oct 15, 2015 : 日東電工の「Nitto Innovation Museum」オープニングイベントに出席(写真:MANTAN/アフロ)


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"2番目に好きな人"と結婚した主人公・渡辺美都(波瑠)が、ずっと思い続けていた中学時代の同級生、有島光軌(鈴木伸之)と偶然再会し、不倫関係に陥っていく物語『あなそれ』。主人公の夫・渡辺涼太(東出昌大)の"怪演"が話題になったが、"地味な女性"として有島光軌の妻(仲里依紗)の反撃も怖いと反響を呼んだ。やがてドラマは、"W不倫"&"W怪演"として人気を博して行った。

銀行から大金を横領した派遣社員が、借名口座のリストを盾に銀座でのし上がって行く物語『黒革の手帖』。主人公の原口元子(武井咲)のライバルとして、悪女対決を展開したのが波子(仲里依紗)だった。美と醜、壮絶なバトルと迫力、悪知恵と沈着冷静な行動力。人間のさまざまな側面に、老若男女を問わず多くの人が魅せられたドラマだが、仲里依紗の冴(さ)えない派遣行員からホステス、そしてママへの変貌ぶりが脚光を浴びた。「くゆりと歪んだように笑う口元が凄い!」「変わり過ぎ!」と評価され、"怪演"女優の地位は確定したと言えよう。

■怪演の原点は『日本人の知らない日本語』

実は仲のそんな怪演は、連続ドラマで初主演を演じた『日本人の知らない日本語』(2010年7月クール・全12回・読売テレビ)から始まっていた。
高校教師にあこがれながらも、TPOをわきまえないで、華やかなファッションで面接に臨んだために夢を叶えられなかった嘉納ハルコ(仲里依紗)。カリスマショップの店員をしていたが、元恩師から「三ヶ月務めれば高校の国語の教師の職を紹介する」と言われ、学校に赴く。本人は予備校と思い込んでいたが、実際には外国人に日本語を教える日本語学校だった。
彼女の目の前には、アニメオタクのイタリア人・忍者に恋するスウェーデン人・任侠マニアのフランスマダムなど、個性豊かな生徒たちが並んでいた。
それでもハルコは、華やかで活発、誰とでもすぐ打ち解けることができるリーダータイプの女の子。さらに負けず嫌いでもあり、自分の信念を貫いてユニークな指導を始める。その仲里依紗の演技は、当時20歳の女優の枠を超えた"怪演"だったと言えよう。

■第1話の概要

「超ウケるんですけど~」
昨日まで渋谷でカリスマ店員をしていた嘉納ハルコ(23)の目の前には、外国人たちが座っていた。高校教師となることが夢だったのに、まさか外国人相手の日本語教師とは。顔が引きつるハルコ。
「やる気がないなら帰っていいぞ」とベテラン教師の鷹栖(池田成志)に言われるも、引き下がれない理由がハルコにはあった。鷹栖から教科書を奪い今日教えるページを開く。『助数詞』だった。
「小学生レベルじゃない。日本語教えるなんて簡単よ」と教壇に立つハルコ。

「モノの数え方について質問ある人? 先生が何でも答えてあげるよ」
ロシア人のクールビューティー・ダイアナが手を挙げた。ハルコが指すとダイアナが座ったまま答えようとした。立って発言させるためハルコは言った。

「立って言って」
「た」
「...?」

ダイアナは『た』と言う様に言われたと思ったのだった。
波乱満載、日本語バトルの幕開けだった。

「ストローは一個です」と答えるダイアナに、細くて長いものは『一本』と教えるハルコ。
すると、食いしん坊の中国人・王が「蛇も一本ですか?」...生物か無生物かで数え方が違うと教えるハルコ。
動物はその大きさでも数え方が違う。蛇は『一匹』、象は『一頭』。するとダイアナが意気揚々と知識を披露する。
「ブラジャーも数え方が違います。Aとか、Bとか」
「......それはサイズですから」

黒板に『鮪』とかいて『マグロ』と教えると、中国人のお嬢様・金麗が「違う!中国ではその字は『チョウザメ』よ!」 聞けば『鮭』も『フグ』 のことらしい。
ハルコがうろたえていると、アメリカ人・ボブが「ラーメンゆでる時の網編みのカップは何て名前か?」と聞く。答えられないハルコ。お構いなしに次々とカルトな質問が。

「醤油を入れる四角くて仕切りのあるお皿の名前は」
「持つところが一つの大きい鍋は何あるか?」......
バカにしているのかとハルコは怒った。しかし生徒たちにとっては、それは生きるために必要な質問だったのだ。
生活費のためラーメン屋で働くボブが、麺を茹でる網=『てぼ』が分からず店主に怒鳴られるのを目撃するハルコ。
意を決したハルコは翌日、生徒たちを教室から連れ出した。それは教育機関の常識をぶち壊す前代未聞の行動だった。

"怪演"とは、常識を超えた行動を、「なるほどこれなら理解できる」と説得力のある演技をした時に思うものだろう。外国人を相手に、元カリスマ店員が場違いな教師をやるという状況で、みごとに"怪演"してみせる仲里依紗はやっぱりすごい。"栴檀(せんだん)は双葉より芳し"とは、このことかと納得がいく。
彼女の"怪演"の原点をぜひ目撃してはいかがだろうか。

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文責:次世代メディア研究所

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