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ドクターヘリに乗るフライトドクターと言えば、この夏、平均視聴率14.8%を誇った『コード・ブルー』を思い出す。しかも女性ドクターと言えば、新垣結衣か戸田恵梨香が思い浮かぶはず。
ところが現実の女性フライトドクターは、その二人とはまた違う、笑顔がとってもかわいらしい方だった。

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イメージ画像(写真:アフロ)


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宮崎大学医学部附属病院救命救急センター医師・篠原希(しのはらのぞみ・31歳)。
医師5年目の今、宮崎初のフライトドクター候補生として頑張っていた。そんな彼女の活動ぶりは、ドラマとは全くことなることばかりだった。

■ルール1 離陸の際に窓から手を振る

篠原医師が決めている7ルールの一番は、ドクターヘリが離陸する際にヘリの窓で手を振るという、一見するとたわいもない動作だった。ところがこれには、ドクターヘリの制度を前提にした大きな意味があった。

宮崎県のドクターヘリは時速250キロで飛び、30分以内に県内全域に医師を運ぶことができる。2012年4月に運用が始まり、2016年の実績としては406件出動した。これにより救われる命は実にたくさんあった。
ところが運航費用は年間約2億3000万円かかっている。
「(このシステムは)理解を得られるのが大変なんです。ヘリの離着陸には騒音も結構あってうるさい」
「地域の人の協力がないとヘリは運航しないので、みなさんと一緒にありますよって意味も重要なのです」
彼女のルール1には、こんな配慮と思いが込められている。

■ルール2 病気ではなく患者を診る

大学病院に搬送すると、複数の医師により治療が始まる。ところがドクターヘリに搭乗した救急医は、そのまま患者を診るのではなく、パソコンに向かってしまう。
「早く記録を書かないと、次の要請で飛んじゃうので、後はお任せする」というのである。これはドラマ『コード・ブルー』とは大きく異なるようだ。
搭乗の頻度もドラマのように頻繁ではない。宮崎では全員で15人ほど医師がいて、輪番制で搭乗するので月に3~4回程度で済むという。持続可能性を考慮しているのか、現実はドラマチックではない。

彼女の医療チームは、5~6人の医師からなる。各専門の見地で複数のチェックがされるそうだ。
そのチームの中で、彼女はもっぱら患者に言葉をかけて回る役を果たしている。
「患者さんの個人情報は覚えるように心がけています。犬を飼っているとか、食べ物は何が好きとか。人ありき、次に病気という順番にしている。自分が病気をしてからですかね」

■篠原医師の原点

篠原医師の両親は教師で、彼女も教師を目指していた。
ところが高校時代に転んで、そのけがで右の股関節を痛めてしまった。近くの病院に行ったが「ただの捻挫だね」と返されただけ。ところが医師の言葉に反して、痛みは引かず、歩くことも困難になってしまった。
1年ぐらい通ったが、病院の先生が「痛いのはうそなんじゃないか」みたいな感じで言ってきた。
「専門じゃないから違うとこ行ってよ」ということで紹介されたのが大学病院だった。
そしてレントゲンとCTを初めて診た大学病院の先生が、「これは痛かったね」ってひと言。
それを聞いて、「病気とかけがとか全然治ってないし、痛みもとれてないのに、全部救われた気がした。
お医者さんのひと言ってこんなにすごいんだ。救われたなあとその時思った」という。

股関節の痛みは先天性の病気だった。放置すれば一生車いすの可能性もあった。手術とリハビリで完治まで2年間を要した。そして退院後に受験勉強を一からやり直し、20歳で宮崎大学医学部に合格。医師の道を歩み始めたのである。
「体だけではなく、心も労わりたい」その彼女の言葉が、周囲の患者の笑顔につながっていたのである。

これを聞いたお笑いコンビ・オードリー若林正恭のリアクションがすごい。
「(僕は)チヤホヤされたくて芸人始めたんだなって思う。(篠原医師は)最初から利他的なひと。どういうステージの人間なんだ。ちょっと今帰りたい」と、自らをとことん反省してしみせた。
この番組はスタジオベースだが、VTRとスタジオのバランスは絶妙である。視聴者はスタジオゲストの受け止め方を見て、VTRに出てくる主人公の見方を再確認できるようになっている。

■番組の転調

しんみりした後で、番組は転調する。
ルール3で「彼氏をゆずの北川悠仁に近づける」と紹介され、恋人(5歳下の研修医)の一真さんと一緒の買い物シーンとなる。

ルール4は「特別な日には100円のなめらかプリンを食べる」。いいことがあっても、悪いことがあっても、プリンの味と共にその日を振り返るという日常の紹介だ。

そしてルール5が「一眼レフで撮るのは空だけ」と来た。自分が大病で長く入院したので、退院した時の空が感動的だったという。そうした経験が、ちょっとしたことだが、普段のルールになっているようだ。

■ルール6 男と張り合わない

"普通の若い女性"風な構成の次は、一転厳しい話だ。
「ご飯も食べない、笑わない、胃潰瘍になって血を吐いたりとかした」という医師になり立ての頃の厳しい経験が紹介された。
「私が入局した時は女性がいなかった。全員男だった。みんなみたいにガツガツやらないと、この世界やっていけないんだ、みたいに考えた」
まわりが男ばかりで、男にまけないよう、男以上に気を張ったという。

その結果、「男の医者に代われ」と言われてしまったようだ。
「患者さんも気づいていた。男社会で生きていくため、ツンツンした態度とか、たぶん見透かされてた気がする」という。
患者に寄り添う医師を目指していたはずが、患者に拒絶された。ところがこの経験から篠原医師は蘇(よみがえ)る。
「虚勢を張っていても仕方ない。女性救急医としてできることを探す」と方向転換を図ったのだという。
看護師と医師の間のような存在、患者・家族と同じ立場で話し合えるような存在を目指しているという。

■ラストのどんでん返し

番組ラストで、とんでもない構成となった。彼女がある日、長い髪をバッサリ切ったのである。
「(長い髪は)邪魔なんですが、結婚式で自分の髪で髪形を作りたいっていう夢がある」ということで、4年間伸ばしたままにしていた。
ところが、それだけこだわった髪を切ってしまったのである。
「もしやっ......」とスタジオゲストに緊張が走る。

果たしてその真相は何なのか。しかも、これが篠原医師のルール7となっていた。
結婚も考えているが、自身のキャリア設計とどう折り合いをつけていくかが悩みどころでもある。
普段の『セブンルール』と比べ、起承転結の構成が絶妙の今回。プライベートと仕事のバランスを考えている女性には必見の回と言えよう。
どんでん返しのラストは、ドキュメンタリーの白眉と言える。

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文責:次世代メディア研究所

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