ここから本文です

米倉涼子主演の人気シリーズ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日、毎週木曜よる9時)。過去4期を振り返ると、ある程度の波がある。
第1期(2012年秋)は、終盤で記録的な視聴率をマークした。ところが第2期(2013年秋)は、中盤以降でやや失速した。ところが第3期は、中盤から盛り返し、終盤は歴代最高となった。そして第4期(2016年秋)は、盤石な展開となった。過去4期全ての平均は21.7%。今世紀で最高の実績を誇るシリーズとなっている。

サムネイル

『ドクターX』各シリーズの視聴率比較


【無料配信】「ドクターX~外科医・大門未知子~(2017)」配信中>>


米倉が目をカッと見開いて吐く「いたしません」「私、失敗しないので」も、もはや最も定着した決めぜりふとなった。"組織のしがらみに縛られない"し、"どんな困難にも、リスクを恐れず挑戦する"。しかも"絶対に失敗しない"というのは、現実世界ではあり得ない。それは分かった上で、一匹狼(おおかみ)の暴走ぶりが痛快な当ドラマである。見始めるとつい最後まで思考停止したまま見入ってしまう、巧妙な出来なのである。

■第1話の概要

絶景を背に、露天風呂に入る大門未知子(米倉涼子)。お決まりのV字開脚がオープニングから見られる。この絵1枚で、規制の道徳や価値観に縛られない主人公の実存を、120%説明し切っている。誰のアイデアだったのか知らないが、秀逸なカットだ。

温泉を満喫した未知子は、路線バスに乗車。峠の山道を走行中、バスの運転手・車田一久(松澤一之)が意識を失い、心肺停止に陥る。それに気づいた彼女は即座にハンドルを取り急停車させ、車田の応急処置をする。
偶然通りかかった志村まどか(大地真央)。助けを求められるが、無視してその場を離れてしまう。助手席の同乗者が重要な布石になっているのだが、そこは憎いほどさり気なく通過する。
ところがまどかはワゴン車を運転して戻ってくる。それでようやく車田を麓の小さな医院に運び、緊急手術を行う運びとなる。
その医院で外科医をしていたのは、かつて未知子に憧れ、医局を飛び出した森本光(田中圭)だった。森本を助手として、未知子は、車田の救命措置としてのオペをする。その確かな腕を志村は、鋭い審美眼で見逃さなかった。

その志村まどかは、新たに"東帝大学病院"に就任した初の女性院長だった。ここになぜか未知子が登場し、「車田のオペをする」と宣言。志村も未知子を雇うと言う。ところが車田の執刀医は、未知子ではなくアメリカの世界的権威を持つ心臓外科医・ジャイケル・マクソン(ブレイク・クロフォード)。手術支援ロボット"コロンブス"を遠隔操作して執刀するという。
この決定に憤慨し、昼食を取りに行きつけのとんかつ屋に入った未知子は、有名ジャーナリスト・一色辰雄(升毅)と相席する。ところが一色が、突然意識を失って倒れる。毎度のことだが、実に都合よく急病人が未知子の前に出現するが、まあそれはさて置くとしよう。とにかく一色は"東帝大学病院"に搬送され、緊急手術をする運びとなる。
かくして布石は出そろい、思わぬ展開へと物語が転がり始めていく。

■風刺と諧謔(かいぎゃく)

人気シリーズゆえ、米倉涼子の出演料も本格的なセットのコストも上がっているという。制作陣は"絶対、失敗できない"プレッシャーの中で第5シリーズに突入したと思うが、その重圧を跳ね除けるような出来栄えだ。随所に"進化""工夫"の跡がみられる。

まずは初の女性院長が提議するのが「医師ファーストではなく、患者ファースト」。明らかに"都民ファースト"から始まった今の政治状況を反映させたキャッチフレーズだ。
次にいったん飛ばされていた蛭間重勝(西田敏行)の院長返り咲きは、志村まどかの不倫スキャンダルがきっかけ。"愛人ファースト、ゲスの極み"という今の日本の風潮も取り込んだ展開にしている。
さらに世相反映は続く。蛭間の第2秘書のロボットは、"ソンタくん"という名前。安倍首相の森友学園・加計学園などの疑惑で有名となった言葉を引っ掛けて来た。
しかも世界的権威のアメリカ心臓外科医は、"ジャイケル・マクソン"という名前。劇中で挑戦するのが、ITとロボットという現代の最先端テクノロジーを駆使した"太平洋横断テレサージェリー(遠隔手術)"。
風刺・諧謔(かいぎゃく)・ブラックジョークのオンパレードで、クスっと笑えるポイントが随所にちりばめられている。

■才能の結集

こうしたユーモアをかき集めた脚本は、林誠人・寺田敏雄・香坂隆史の3人がかりの力作。各氏ともに数々のドラマや映画、また舞台などの脚本を手掛けている。今作では実力派のコラボとなっている。

音楽は沢田完。
作曲家であり、編曲も行うアレンジャーとしても活躍している。数々のドラマ・映画・アニメの音楽を担当し、そのジャンルは幅広く多彩。この『ドクターX』でも、その才能を遺憾なく発揮している。
オーケストラを基盤に、迫力感、切迫したストレスフルなオペの緊張感を演出し、キャラクターを重視した楽器選び音域の選択など、卓越した経験とセンスがキラリと光る。

力のあるスタッフが集結し、見ごたえのある俳優陣がそろう同ドラマ。
初回は確かに期待を裏切らない出来となり、視聴率も初回20.9%と今年最高記録を樹立した。このまま12月まで、テンポよく"進化""工夫""風刺""諧謔"を楽しめることは間違いないようだ。そのためにも、第5期の大枠はきちんと理解しておきたい。初回拡大版は、見逃せない1話と言えそうだ。

【無料配信】「ドクターX~外科医・大門未知子~(2017)」配信中>>

【無料配信】「ドクターX~外科医・大門未知子~」(2016)ope.8>>


【無料配信】「ドクターX~外科医・大門未知子~」(2016)ope.9>>


【無料配信】「ドクターX~外科医・大門未知子~」(2016)ope.10>>


【無料配信】「ドクターX~外科医・大門未知子~」(2016)last ope>>


文責:次世代メディア研究所

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ