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"しぶとい"とか"地道"というのは女優・沢口靖子のことではない。
彼女は1984年に第1回「東宝シンデレラ」でグランプリに輝き、すぐに『刑事物語3 潮騒の詩』に抜擢(ばってき)された。以来33年、第一線で活躍してきた押しも押されもせぬ大女優だ。
"清楚(せいそ)なお嬢様"路線で人気が出たが、本人いわく「イメージが一人歩きして、本来の自分よりどんどん大きくなって、私自分もその虚像を必死で追いかけている」とい感覚だったという。

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『科捜研の女』の初回と平均視聴率


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では"しぶとい"&"地道"とは何か。
実はこれ、『科捜研の女』という番組の視聴率のことである。1999年にSEASON1が始まり、今回はすでにSEASON17となっている。この間にスペシャルも10回放送している。かくも長く続いたというのが、"地道"な努力の上に、"しぶとく"生き残ってきたという意味である。

■これまでの実績

同ドラマは最初、平凡な数字に留まっていた。
初めてドラマ化されたSEASON1は、初回こそ10.4%とまずまずだった。ところが2~6話が一桁、平均視聴率も9.3%と低調だった。
同じくSEASON2も平均9.2%と一桁、SEASON3でようやく12.3%と二桁の及第点にのったものの、SEASON4では10.2%と二桁ギリギリとなってしまった。
ところがSEASON6以降で上昇を続け、SEASON9では平均で14.5%まで上げた。しかし好調な時代は長くは続かなかった。SEASON10やSEASON11は初回こそ16.4%・17.1%と好調だったが、途中で失速し平均は13.7%・12.8%と今一つで終わってしまった。
その後SEASON15では、平均が11%と一桁の危険水域に近づいていた。ところがSEASON16では11.7%と少し持ち直した。まさに"しぶとさ"を発揮して"地道"に19年目に突入したのである。しかもSEASON17の初回は12.3%。再び上昇気流にのせようという"しぶとさ"を見せている。

舞台は京都。
京都府警科学捜査研究所(通称:科捜研)で、法医研究員・榊マリコ(沢口靖子)を初め、クセのある個性豊かな研究員たちが、法医・物理・化学・文書鑑定などの専門技術を駆使して、殺人事件の謎を解明していく。
初回から、榊マリコ役を演じている沢口靖子の清潔感のある爽やかな正義感は、変わることなく健在で、これが"しぶとい"&"地道"の原動力になっている。

■初回ストーリー

肉を熟成するための熟成庫で、両手首を吊(つ)るされた銀行員の男性の遺体が発見された。
榊マリコ(沢口靖子)は、"生きたまま吊(つ)るされた"と考えた。ところが絞殺された跡もなく、目立った外傷は見られない。では毒殺だったのか。
被害者男性の身元は、所持品などから割り出された。人気口コミグルメサイトで「舌三郎」という、カリスマレビュアーだった。そこに藤倉甚一(金田明夫)に連れられ、民間鑑定所の鑑定士・江藤(中川大志)があらわれる。

被害者が発見された肉の熟成庫で鑑定を進めると、そのレストランの社長・里美(櫻井淳子)が現れ、「温度や湿度など厳密に保っている熟成庫に捜査関係者が入ることで、管理ができなくなり店の経営に関わる重大な問題だ」と抗議する。そして事件と無関係であることを証明するために、里美自身が民間鑑定所に調査を依頼した。科捜研は藤倉の命令で、江藤にデータを提供することになる。

科捜研のチームは、それぞれの専門分野に分かれた研究員で成り立つ。
物理担当の橋口呂太(渡部秀)は熟成庫の温度と湿度の鑑定、化学担当の宇佐美裕也(風間トオル)は熟成庫の菌の鑑定、マリコは被害者の死亡推定時刻を割り出し、地道な鑑定作業に入った。
いっぽう江藤はわずか1時間の違いを指摘し、熟成庫の風速の変化までも計算に入れた、抜け目ない仕事ぶりを見せ、マリコも映像担当の涌田亜美(山本ひかる)も感心する一方だった。
被害者はグルメサイトのカリスマレビュアー『舌三郎』だったが、犯人はどうやって割り出されて行くのだろうか。

■ドラマの彩り

ミステリードラマに欠かせない演出といえば、音楽の存在が大きい。
『科捜研の女』は第3シリーズ以降、川井憲次氏が担当している。グルーブ感のあるシンセオケを基本とし、ミステリーの典型的なスタンダードな演出から、90年代のスタイルを意識した軽快な演出も織り交ぜ、このシリーズがいかに長寿番組であるかが音楽からも窺(うかが)える。
メロディやリズムを主張するのではない効果音としての音楽と、作曲家の作風が見える個性が共存する。広がりのある演出、さらにセリフも生かす沈黙もあり、熟練した技使いに感心する。

何人かの若手を研究員に加え、新鮮味と笑いを誘いながらも、初回から変わらず出演しているキャストたちが、安定感のある演技を見せている。

放送時間は、20時からという早めの時間帯で、1日を終え夕食を食べながら見る方も多いのではないだろうか。
毎回の完結型のストーリーは、一度見逃しても次の回から見ることができるし、1回ずつ話が終わることで、次への期待感は膨らむばかりだ。
「科学はうそをつかない」ストーリーは、ミステリーファンを大いに喜ばせてくれるだろう。今シリーズも、"しぶとい"&"地道"に期待したい。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所

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