ここから本文です

今春から始まったテレビ東京の深夜ドラマシリーズ「ドラマ25」。とにかくユニークぶりが半端ない。
春クールの『SRサイタマノラッパー~マイクの細道~』は、2009年の第19回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門でグランプリを獲得した映画『SR サイタマノラッパー』のテレビドラマ版。監督や役者の多くが映画と共通で、撮り方もTVドラマなのに映画風のロングが多用され、風変わりぶりは群を抜いていた。
夏クールの『デッドストック』は、一転して一級のホラー仕立てで、視聴者の心臓をわしづかみにするようなテンションの高いドラマだった。一話完結型の上質なホラーと思いきや、第8話以降でがぜんストーリーが動き出すなど、やはりテレ東深夜ドラマならではのユニークな作品だった。
そして今クールは、ただ"喋るだけ"なのに、クスッと笑えて心温まる青春コメディ漫画『セトウツミ』をドラマ化。此元和津也による漫画が原作で、去年映画化され、今回TVドラマになっている。大阪の男子高校生"瀬戸と内海"が放課後に、河原で繰り広げる関西弁の会話劇を描いた作品だが、前クール『デッドストック』から一転、ゆるい作りへの落差は驚きだ。

サムネイル

高杉真宙, Jun 27, 2017 : 映画「逆光の頃」の完成披露上映会(写真:MANTAN/アフロ)


【無料配信】「セトウツミ」毎週土曜日 見逃し配信>>


■ドラマの設定

原作のキャッチコピーは、「この川で暇をつぶすだけのそんな青春があってもええんちゃうか」。高校2年生の男子・瀬戸小吉(葉山奨之)は、先輩を無視してフリーキックを蹴ったのがきっかけでサッカー部を辞めさせられ、暇つぶしのために放課後は川辺にいる。瀬戸の同級生・内海想(高杉真宙)は、塾に行くまでの時間をつぶすために放課後に川辺に赴く。そんな2人が何をすることなく、ただ会話している場面を中心にドラマ化している。その脱力ぶりに、あんぐりだ。

寡黙でクールな内海と、社交的でお調子者の瀬戸。
そんな2人を多彩なキャラクターが取り巻く。瀬戸のラブコールを受けながらも内海に思いを寄せるヒロインの女子高生・樫村一期(清原果耶)。同級生の田中君や瀬戸に恋するハツ美ちゃん。印象に残らない顔の馬場君・ゴリラ先生・ヤンキー・謎のバルーンアーティスト等々。
まったりと流れる日常の中で、物語は徐々にゆっくり意外な展開を見せていく。

■第1話のあらすじ

ドラマは毎回3つほどの小話で構成されている。
第1話の最初の小話は「ウツとソウ」。河原の階段に座る瀬戸と内海の沈黙から始まった。
やがて2人に会話が生まれるが、主な議題は省略語の良し悪し・好き嫌いの話。例えば内海が最も気に入らないのは「自販機」。「自動販売機」の5文字を1文字ずつ飛ばして"うまく略した"然としているのが嫌だという。相手も知ってて当然という感じが受け入れられないという。

2つ目の小話は「羽根と心根」。2人のバドミントン対決が始まるが、明日のお昼がかかっている。この対決のルールは、「思いやり感」があるかどうか......。本当にゆるい展開が続く。

最後は「瀬戸と内海」。ここで初めて2人がなぜ出会ったのかが解き明かされる。しかも樫村一期(清原果那)というヒロインが、2人の間に入っていることも仄(ほの)めかされる。

■第2話のあらすじ

最初の小話は「アメとムチ」。
樫村一期を好きな瀬戸が、内海にアメとムチを駆使して、徐々に相手を支配することが大切とノウハウを教えられる。ところが結末は意外な方向へ......。

次は「サンドイッチとおにぎり」。2人がお弁当を交換するやりとりだが、瀬戸の貧しい弁当をめぐる両者の攻防は、くだらないがクスっと笑えるリアリティがある。

そして最後は「樫村一期」。お寺の娘だが内海が好きらしい。瀬戸を含めた3人の関係が複雑骨折している様子が描かれ、今後の展開について視聴者に、興味を一挙に抱かせるような展開になっている。

■番組のみどころ

瀬戸と内海のヒマつぶしのためのくだらないトークから、クスッと笑えて心温まる青春を垣間見られる。そして"音楽もほとんどなし"という無謀で独創的なスタイルをとっている。やりとりはお笑いのコントのようだ。爆笑でもなく、笑えないというのでもなく、クスッと笑って、さらっと次へ行く。後に引く感じが、なんだか面白い。

こんなシンプルなコンセプトで素材だけで勝負するようなドラマは、まずお目にかかれない。
そして瀬戸と内海の対極する役柄を、高杉真宙と葉山奨之はイメージぴったりな演技で、見事にこなしている。2人の掛け合いや微妙なタイミングも、本当に漫才コンビかと思わせるほど、息がぴったりだ。
最近のドラマは、極端なキャラクター、大きな演技、「絶対失敗しない」などの大言壮語が横行している。そんな時代に、等身大で、特に派手なハプニングのない高校生ドラマとは、実に面白いところを狙ってきた。この独特な世界観に触れることで、われわれは作り込まれた一般的なドラマの実相を、逆に理解することになる。実に面白い体験をさせてくれる番組である。

【無料配信】「セトウツミ」配信中>>

文責・次世代メディア研究所

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ