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テレビ朝日が土曜の「ナイトドラマ」を新設し、"オトナの学園ドラマ"をスタートさせた。
初回の視聴率は5.4%。夏クールの金曜ナイトドラマ『あいの結婚相談所』初回が5.1%だったことを考えると、まずまずのスタートといえよう。
主演の三浦春馬を始め、コメディドラマ王・高橋克実、6月に第2子を出産しドラマ復帰第1作となる黒木メイサと、豪華キャストで贈る作品だ。ところが有名俳優を起用しながら、半端ない弾けっぷりは「驚き」の一語に尽きる。ドラマ「オトナ高校」とは、童貞・処女を卒業したら即卒業できるありえない学校のこと。前代未聞! 不器用なオトナを対象とした"学園ドラマ"なのである。
テレ東深夜ドラマの向こうを張って、テレ朝も23時台でギリギリを狙ってきたって感じである。

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三浦春馬, Oct 04, 2017 : ドラマ「オトナ高校」の制作発表記者会見(写真:MANTAN/アフロ)


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■『オトナ高校』の設定とは

日本の人口は、今年で8年連続の減少となった。
しかもこの1年で約31万人減り、減少幅は過去最大。今や少子高齢化は、日本の将来を脅かす深刻な問題なのである。

2017年秋、国家の行く末を案じた日本政府は、国民も巻き込んだ実験に取り組もうとしていた。
少子化対策の一環として「第2義務教育法案」を打ち出し、強行採決した。国じゅうがのけぞる珍法案だ。
具体的には、性体験のない30歳以下の男女"やらみそ"(=やらないまま三十路)を対象に、公的教育機関"オトナ学校"へ強制的に入学させ、"本当のオトナになるための英才教育を受けさせる"という奇想天外な法案だった。
2015年に厚生労働省が30代の男女を対象に行った調査では、性体験のない男性は25%以上・女性30%以上という事実が浮き彫りになった。高齢童貞・高齢処女が思いのほかたくさんいるのである。
もちろん"性体験の有無と少子化"を直結させるのは暴論だ。だが、そんな現実をドラマに盛り込んでしまう強引さが、まず半端ない弾けっぷりと言えよう。
しかも「童貞、処女を卒業したら即卒業!」というルールを、国家権力の名の下で実施に移す。地上波テレビがそんなドラマを作って良いのかと目を疑うような、分かりやすい設定で、でも笑ってしまうようなコメディドラマとなっている。

■第1回から弾けた物語

トップバンクで働く将来有望のエリート銀行員・荒川英人(三浦春馬)。
30歳、東大卒のエリートだが童貞、ルックスもバッチリ、高身長、高収入、ただしプライドはチト高い。
ある日突然に見知らぬ男・嘉数喜一郎(杉本太郎)からピンクの書状を渡される。政府が発した「第2義務教育法案」がまとまり、「オトナ学校」が設立された。嘉数はこの学校の校長で、英人に渡された書状は入学召喚状だ。まるで70年前に戦地に赴く兵隊に渡された「赤紙」のようなもの。ただし色は赤ではなく、ピンクになっている点もクスっと笑える。

「自分のプライベートをなぜ国家が知っているのか!?」......英人は激しく動揺し、入学を断固として拒否しようとする。しかし入学を忌避すれば即逮捕。そこで入学期日までに"童貞卒業"を成し遂げようと"エロ活"に邁進(まいしん)する。ただしアタックされた女性は、当然のことながらドン引き状態。とうとう野望は打ち砕かれ、入学の日がやって来てしまった。

同じクラスメイトには、キャリアウーマンで処女の園部真希(黒木メイサ)がいた。恋愛では常に2番手であることから、あだ名は"スペア"。また英人が務めるトップバンクの国際部部長・権田勘助(高橋克実)も召喚されていた。女好きと言いながら実際は寒いオヤジだったことから、あだ名は"サショー"。
プライドの高い英人は、自分のことを棚に上げて、童貞・処女の他のクラスメイトを見下しながら授業を受け始める。
果たして英人が、一皮むける日は来るのだろうか。

■物語の見どころ

この奇想天外なドラマは、数々のヒットドラマを生み出した橋本裕志の完全オリジナル脚本で、音楽はベテランの瀬川英史が手がけている。
ドラマでは『ショムニ』『華麗なる一族』『運命の人』、映画では『テルマエ・ロマエII』『ビリギャル』などの話題作を書いた橋本裕志。アニメも含め幅広い創作活動を続け、最近では『就活家族』を手がけ、現代の社会問もテーマにしている。今回の『オトナ高校』も、一見ふざけた"エロ路線"に見えるが、実は現代の若者の問題に向き合っており、硬派なテーマをコメディタッチで切り開いていく発想は興味深い。しかも口に出せば吹き出してしまいそうなセリフ、心の声をド真面目に演じさせる演出は、爆笑ポイントも複数あり楽しめる。
古くは『29歳のクリスマス』、最近では『勇者ヨシヒコと導かれし七人』『スーパーサラリーマン佐江内氏』を手掛けた瀬川の音楽は、シンセサイザーを駆使したコメディタッチにぴったりの軽めのアレンジ。都会的なセンスでラウンジミュージックとしても楽しめる作品となっている。音楽だけでも聞き心地がいいのに、痛快なコメディに乗せることで、ダサいとレッテルを貼られた"童貞・処女"も、スタイリッシュに見えてくるから不思議だ。

テーマは少子高齢化。登場人物は、国家権力により強制的に入学させられたキャラの濃い在校生たち。ゴールは童貞・処女の壁を越え、果たして無事卒業できるか否か。
高い志の問題意識を、大上段に論ずるのではなく、エロのお話をふんだんに動員して、視聴者にアハハと笑いながらも考えさせるドラマだ。この難しい路線に挑戦した姿勢に、期待を込めて拍手を送りたい。

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文責:次世代メディア研究所

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