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 人気料理番組「料理の鉄人」の演出を手掛けた田中経一の小説を、二宮和也、綾野剛、西島秀俊、宮崎あおいという日本を代表する俳優で映画化した『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(11月3日公開)。本作でメガホンをとったのは映画『おくりびと』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督だ。数々の傑作を世に送り出してきた滝田監督が選んだテーマは「料理」。そこにはどんな思いがあったのだろうか――。

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映画『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(11月3日公開)


二宮和也ほかキャラクター紹介! 映画「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」特集>>

映画「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」クチコミ(Yahoo!映画 作品ユーザーレビュー)>>

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■料理シーンは俳優さんに自由にやってもらう

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メガホンをとったのは映画『おくりびと』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督


――田中経一さんの原作のどんなところに惹(ひ)かれたのでしょうか?

滝田: 料理を題材にした映画はあまり多くないですが、食べることって人間の必然的行為の一つ。見たことがない、国家が威信をかけて作る料理というのはどんなものなんだろうという興味がわきました。あとは、絵と音でどれだけ料理をおいしく見せることができるのかというチャレンジも面白いなと思ったんです。

――この映画のもとには二宮さん、綾野さん、西島さん、宮崎さんという、これからの日本映画を背負っていくような実力派俳優がそろいましたね。

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映画『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(11月3日公開)


滝田: 二宮くんをはじめ、本当にいろいろな人が出演してくれました。それぞれタイプは違いますが、みなさん持ち味があって新鮮でした。年輩の方のキャスティングは、今回あえて「日本映画でいつも見かけるような方はやめましょう」という話をし、伊川東吾さんや笈田(おいだ)ヨシさんという、フランスやイギリスでご活躍されている舞台俳優さんにお願いしたんです。彼らの存在も若い俳優さんにはいい影響を与えたのかなと思っています。

――こうした豪華俳優陣にはどんな演出をされたのでしょうか?

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映画『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(11月3日公開)


滝田: 僕らは役柄にアプローチするための材料を用意するのが仕事。俳優さんたちは、その材料を使ってしっかり準備する。なので、現場に来てからは、それぞれが持ってきたものを披露すればいい。よっぽど間違っていれば直しますが、基本的にはお任せです。監督っていう仕事は、自分の思う通りになってほしいと思いつつも、それじゃつまらないと思うわがままなものなんです。

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映画『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(11月3日公開)


――料理シーンは俳優さんたちが実際におこなったと聞きました。

滝田: 西島さんなどまったく問題なかったですからね。彼は大変だったと思います。芝居しながら料理して、しかもロシア語も中国語も話すわけだから。まあ良く考えたらムチャクチャだよね(笑)。でもかえってやることが多すぎて、ピュアに取り組めたのかもしれません。とてもシンプルにやっていただけました。

■二宮&綾野の「現代パート」と西島&宮崎の「満州パート」

――二宮さん綾野さんの現代パートと、西島さん宮崎さんの満州パートはまったく別で撮られたんですよね。

滝田: 時代はまったく別ですが、映画の流れのなかでは、ほぼ同時に進行していくので、二つのパートがどうやって違和感なく感情を含めて流れていくのかが、とても読みづらかった。最初に現代パートを撮ったのですが、過去とのつながりを想像しなくてはならないので、二宮くんは大変だったと思います。一方で満州パートは、現代版の映像を撮ったあとだったので、流れも計算できたので、多少はやりやすかったですね。

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映画『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(11月3日公開)


――竹野内豊さんもとてもいい味を出していました。

滝田: 彼は面白かったよね。「頭丸めてちょうだい」なんて言ったりね。すごく乗って演じてくれましたね。

――滝田監督は現場でモニターをあまり見ず、カメラの横にいることが多いと西島さんがおっしゃっていましたが。

滝田: カメラのアングルだけを見ているわけじゃないからね。寄りを撮ったとしても、その背景はあるわけで......。そこも意識してもらわないといけない。あとはモニターで見るより、側で見た方が、目の力とか表情とかが伝わるでしょ。そこからいろいろなインスピレーションも受けるし。そもそも昔はモニターなんてなかったから(笑)。

■近い歴史を描くときは史実とフィクションのバランスが重要

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映画『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(11月3日公開)


――満州パートで意識したことはありますか?

滝田: まだご健在の方もいらっしゃるぐらい近い歴史なので、フィクションとはいえ、あまりうそはつけない。個人的なエピソードで伝わっていないことはまだたくさんあると思いますが、基本的な歴史は崩せないですよね。そのなかで、個人史を描くのは難しい。本当はそんなこと気にしなくてもいいのですが、基本的な事実はしっかりと反映しました。

――調理シーン、料理の絵は本当におなかが空いてしまうぐらいダイナミックでおいしそうでした。

滝田: 実際もすごくおいしいんですよ。服部幸應先生や服部栄養専門学校の方にご協力いただいて、本当にいい素材をうまく料理していただきました。普通は映画だと、見た目がおいしそうであればいいのですが、この作品の料理は本当においしいんです。エキストラさんが食べているラーメンなんか1杯3000円ぐらいするんですよ。それだけすごい料理を、スクリーンを通しておいしそうに伝えることは使命ですよね。やっぱり見ている方に、匂いを感じてほしいという思いは強かったので。できあがった料理と、芝居を合わせるのはとても難しい作業でしたね。

――俳優さんも料理がおいしい最高のタイミングに合わせて芝居をしなければならないのでプレッシャーですね。

滝田:それはあったでしょうね。でも綾野くんなんか自分でカットかけたよね。ワンカットでやっているのに「チャーハンがうまくいかなかった」って自分で「もう一回」ってやっていましたよ(笑)。それぐらいのめり込んでくれていましたね。調理しながら芝居するのは大変だったと思いますね。

――料理を題材にした個人史を壮大なスケールで描いていて、幅広い層の方が楽しめる作品になっていますね。

滝田:本当に二宮くんの映画でありながら、西島さんの渋さなども含め、年輩の方々の存在感も堪能していただける映画だと思っているので、多くの人に見てもらいたいです。

――最後に座右の銘を教えてください。

滝田: 前は「逃げ足はやく」なんて言っていましたが、いまは「無我」ですかね。無になって夢中になれればいいですね。人に対しても映画に対しても......。

1930年代の満州で、天皇の料理番が考案した、幻のフルコース。歴史に消えたレシピの謎を追うのは、どんな味でも再現できる、絶対味覚=麒麟の舌を持つ料理人。天才的な味覚を持つ男が料理によって過去を辿っていくという、斬新な発想のミステリー。最後の一皿に隠された、壮大な愛とは?

『母と暮せば』(2015)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した二宮和也。その最新主演映画で初タッグを組むのは、『おくりびと』(2008)でアメリカのアカデミー賞外国語映画賞受賞という日本映画史上初の快挙を成し遂げた名匠・滝田洋二郎監督。共演は、西島秀俊、綾野剛、宮崎あおい、竹野内豊など豪華俳優陣。企画は秋元康。
映画『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』は2017年11月3日(金・祝)公開。

映画「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」特集>>

※文中の「宮崎」の「大」は「立」表記
(取材・文・写真:磯部正和)
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滝田洋二郎(たきた・ようじろう)
1955年12月4日生まれ、富山県出身。1981年に映画監督デビューを飾ると、1986年公開の映画『コミック雑誌なんかいらない!』が高い評価を受ける。その後も『秘密』(99年)、『陰陽師』(01年)などの話題作を手掛けると、『壬生義士伝』(03年)では、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。さらに2008年に公開された『おくりびと』はアカデミー賞外国語映画賞をはじめ数々の映画祭で高い評価を受けた。公開待機作には『北の桜守』(18年)がある。座右の銘は「無我」。

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
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